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エンタメをデザインで考察する|ドラマの色彩が気になっていたら「カラーグレーディング」という言葉に出会った話

最近は「今クールのドラマ全部見ています!」というドラマっ子とはほど遠く、見たいものだけ完走するスタイルになっているので、全体を俯瞰した上で語っているわけではないことにはご留意いただきつつ今回はドラマについての話題をつらつらと。

現在放送中のドラマ、清原果耶さん主演の「マイダイアリー」(テレビ朝日系)の色彩が気になる!

というお話です。

「エンタメをデザインで考察する」連載とは…

「このアーティストのジャケットとかグッズがおしゃれ!」「このドラマの小道具気になる!」というのをチェックするのが大好きな編集部&社員が、最近気になるトピックスを皮切りに、「なんでおしゃれだなって感じたんだろう」「どうして流行っているんだろう」というところまで、ゆる〜いエンタメ×デザインについての考察をしていきたいと思います。

ふと目に止まった、2色


たまたまテレビをつけていた時に初回放送があって、そこから見続けている「マイダイアリー」。過去を日記という視点で振り返る回顧録のような構成も面白いし、登場人物たちの台詞や仕草が丁寧で優しくて、日曜深夜のゆったりとした時間に沁みゆきます。

以下あらすじです。

社会人1年目となった主人公が各話、些細なきっかけで過去の大切な思い出を振り返る構成で、大学時代を共に過ごした仲間との何気ない日常とその繋がりをノスタルジックに紡いでいくヒューマンドラマ。
描かれるのは、自分と他人との間に見えない距離を感じ、言語化できない悩みを抱える若者たちの等身大の姿。育った環境や性格もバラバラな彼らが偶然出会い、次第に互いを受け入れ合うことで、やがて〈心の居場所〉となっていく様子を情感豊かに写し出します。

このドラマを見終わった時、あなたもきっと大切な誰かを思い出すはず…。
そんな〈青春時代を経験したすべての人〉へ贈る、心温まる物語です。

つまり、1つのドラマの中で「現在」と「過去」の2つの時間軸が描かれることになるのですが、その「過去」での色彩がとりわけ素敵だなあと思って見ています。

作品全体の雰囲気を表すために、例えば全体的に明るく・暗くしたり、淡くしたり、青みがかったような印象にしたりするというのは一般的にもされているのかなと思うのですが、「マイダイアリー」は、とりわけ青緑色オレンジ〜山吹色が真っ先に目につきます。
かつ、そうした色味の調整を際立たせるかのように、俳優さんたちの衣装や小道具にも程よいバランスでその2色が使われているように感じます。

もちろん他のドラマでもそういった微調整はされているのだと思うのですが、ここまで特定の色が鮮やかに目に入るのがなんだか珍しい気がして、ついつい見入ってしまいます。(テレビ画面で見ると心なしかより強調されて見える気がします)

思い返せば、
2022年放送、神宮寺勇太さん主演の「受付のジョー」(日本テレビ系)も、「オレンジとエメラルドグリーンとイエローが綺麗で、小物もそれに揃えてある!」と興奮した覚えがあるので、私にとってそこが強調されているというのが刺さったり、印象に残りやすい配色なのかもしれません(笑)。

▼ 会社の印刷物やファイルに貼られたテプラさえも統一されていてすごいな〜〜〜と当時隅々と見た記憶があります。


そうして気になってドラマの映像の色彩について調べていくと、
「カラーグレーディング」
という言葉に出会いました。

「カラーグレーディング」とは?


「カラーグレーディング(Color grading)」とは、映像の色彩やトーンを演出するプロセスのこと。映像を鮮やかにする・淡くする…といった調整や、どの色を強くする・弱くするかも、このカラーグレーディングのプロセスが担っているようです。

もちろん色の調整にはセットや小道具、衣装なども関わるので、全体の色彩はもっと上流の段階で決められているのだと思いますが、その全てが集まった映像を見ながら最後に味付けをして印象を変えたり雰囲気を持たせたりしていく作業、めちゃくちゃ面白そうです。

(……と思って、試しにYouTubeで「映像を韓国ドラマ風にするカラーグレーディング」という動画を見てみたのですがこれがもう高度すぎて全くついて行けませんでした(苦笑)。普段スマホで撮った動画も簡易的にアプリなどでフィルターをかけたりはしますが、もっと細かな色味や質感の調整がされているのだと思うと、いろんなドラマの色彩のこだわりを知りたくなってきます。)

そしてこの「マイダイアリー」、とくに青みの色が強いのではと感じるのは 時間軸が大学時代=昔 のシーンの時でした。もしかしたらこれはたまたま私がそう感じてしまっただけかもしれないのですが、過去を振り返ったときの、「若さ」「青さ」みたいなものを表している(逆に、現在はリアリティを持たせるために落ち着いた色味にしている…?)のかもしれないなと。


そうやって気にしてみてみると、テレビに流れているCMもかなり色味の調整がされていることに気づきます。商品名の明言は避けますが、赤色の乳酸菌飲料のCMでは赤が目立つように、青色がブランドロゴのカラーになっている学習教材のCMでは青が目立つように映像が加工されていました。

また、山田智和さんが手掛けているあいみょんさんの「マリーゴールド」MVも、身に纏う衣装やキックボードが目立つ加工に。

「マリーゴールド」は花の名前でもありますが、そこから転じて色名(#F79428)にもなっています。そんな、マリーゴールド色が強調されるよう調整が加えられているのだと思われます。


物語の雰囲気や設定やコンセプト、サービスのイメージカラーや商品の存在感を際立たせるという意味でも、「カラーグレーディング」が重要な過程なんだなと気付かされます。
ぜひ皆さんも、ドラマや映画、CMやMVなどの映像作品をご覧の際には注目してみていただけたらなと思います。

(映像ではないのですが写真で2色を強調してみたものをサムネイルに当てはめてみました。旅行先で引いた実際のおみくじの写真なのですが、小吉なのはお気になさらず…(笑))


前回までの記事はこちら


見方を変えてみると新しい発見があるかも


#エンタメをデザインで考察する


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