フジロックに、音楽フェス好き社員が初参戦してみた
音楽フェスが好きだ。
普段は部屋で1人歌詞の世界に入り込んで心の溝を埋めたり、変態的な転調やコード進行にニヤニヤしたりしているが、そんな私のような音楽オタクでもはっちゃけられる日ーそれが音楽フェスであり、
何度足を運んでも「ここにこんなに大勢いるけど、みんな音楽が好きなんだよなあ」と、当たり前のことを思っては面白く感じてしまう。
そんな風に、自分と同じ趣味の大集団が見れるという意味でも、音楽フェスが好きなのだ。
フェスも今や全国各地大小様々開かれていて、それぞれによってコンセプトも異なる。
その中でも特に規模も大きく歴史もある「4大フェス」と呼ばれているのがROCK IN JAPAN FESTIVAL、SUMMER SONIC、RISING SUN ROCK FESTIVAL、そしてFUJI ROCK FESTIVALである。
ROCK IN JAPAN FESTIVALー通称ロッキンは、現在千葉県蘇我で開催されているフェスで、程よく野外の解放感を楽しむことができる初心者にもおすすめのフェスだ。私が初めて行ったのもまさしくこのロッキンで、コロナで開催されなかった年を除いてはほぼ毎年行っている。
SUMMER SONICー通称サマソニは、千葉県の幕張メッセとZOZOマリンスタジアム、大阪府の舞洲SONIC PARKで開催されているフェスで、都心で海外アーティストが出るフェスに行くならサマソニ、というイメージ。私が行ったときもZeddのパフォーマンススケールに驚いた記憶が鮮明にある。
RISING SUN ROCK FESTIVALー通称ライジングは北海道石狩市で開催されているオールナイトのフェスで、たまたま行った年の天候があまり良くなく、かつ夏でも北海道の夜はかなり寒くなるので、行ったフェスの中で最も過酷だと感じたフェスだった。
だからこそ、そういう環境の中で見た山下達郎、サカナクションなどに救われた想いもあって、強烈に印象に残ったフェスだった。
上に書いたように、4大フェスのうち3つは行ったことがあった。
残すは、音楽フェス好き社員座談会でも「一番玄人感ある」と言われていたフジロック。
でも音楽好きとしても、フェス好きとしても行っておきたい。
ならば。
座談会にて「徐々に攻めていけば切り崩せるよ!」というTさんの言葉を信じて行ってみるか、と思い切ってチケットを確保してみた。
これはフジロック初心者が、座談会を経て今年初めて参加してみた、というレポートである。
(2024.4 追記)
2024年のアーティスト情報も続々解禁されていますね!くわしくはこちら。
▽座談会の様子はこちら。
そもそもFUJI ROCK FESTIVALとは?
日本のロックフェスティバルの先駆けとして、1997年から開催されている音楽フェス。
初年度は名前の通り山梨県の富士天神山スキー場で開催され、台風で豪雨に見舞われるなどで継続が危ぶまれたが、2年目には東京都の東京ベイサイドスクエア、そして3年目からは現在と同じ、新潟県の苗場スキー場地区で行われている。
国内外のアーティストが出演し、ライブだけではなくアウトドア体験や豊富なフードも楽しめる、真夏の一大イベントである。
まずは事前準備!
行くと決まればまずはパッキングだ。
準備にあたり、座談会でのTさんの話はもちろん、フジロックの教訓や準備風景を載せてくれているYoutubeを見漁る。
・とにかく雨対策はしておけ
(野鳥の会が出している長靴が最強。)
・キャンプ泊であれば諸々のキャンプギアが必要。宿泊の人は毎年決まった宿に泊まっている人が多い。
・手ぬぐいはめちゃ便利(by Tさん)
…なるほど。
結果、持ち物として持って行ったのはこちら。
レインコート/レインブーツ/替えのTシャツ/タオル/日焼け止め/帽子/ドリンク類
ちなみにレインブーツはこちら。
「あれ、野鳥の会は?」と思った方もいるかと思うが、そう、YouTubeのアドバイスまる無視である(?)
天気予報は晴れ、そして何より荷物を減らしたかったので、晴れの時でも最初から履いておけるようにスニーカータイプのレインブーツにした。(結論から言えば雨は降らなかったのでこれでなんとかなったが、山の天気は変わりやすいのでやはり万全なのは長靴タイプのレインブーツかと思われる)
そして、宿もテントも用意なしで向かったのだが、1日だけの参加だし、オールナイトでライブもやっていたので大丈夫だろうという算段だった。
この「テントなし、宿なし」が反省点を生むことになるのだが、それはのちのレポート部分でお伝えしようと思う。
そもそもなぜ今年のフジロック参加に踏み切ったかというと、注目していたアーティストがいたからである。
2023フジロック注目アーティスト
今年のフジロックに参加しているアーティストは200組を超える。
国内外からやってくるアーティスト1組1組に魅力があり、できることなら全て見て回りたいくらいだ。しかし、フジロックは時間の被りがあるため全てのアーティストを見て回ることはできない。
ここでは私が特に参戦するにあたって注目していた2組のアーティストに絞って紹介する。
フジロック注目アーティスト① Cory Wong
Cory Wongとの出会いは、タワレコ通いが趣味だった大学時代に、彼がギターとして参加しているVulfpeckの新譜が並んでいて、それをたまたま試聴した時だった。そんなVulfpeckや、もちろん彼自身のバンドの生み出すグルーヴ感にずっと虜で、だからこそ来日することがあったら絶対にその初演を見に行く!と決めていた。
そしてなんと今年のフジロックが彼にとっての初来日のライブとなった。
これはもう行くしかない、チケットを取ったのはDAY2だった。
タンタン的フジロック注目アーティスト② ELLEGARDEN
ELLEGARDEN、通称エルレは前回の座談会でも、オリジナルタイムテーブルでトリに置いている人がいたり、自分の音楽体験を「エルレ以前、以後」で分けていたりととても話題になっていた。
エルレのアクトは見たことがなかったので、やはり邦楽ロック界のレジェンドは見ておきたかった。
公式アプリを事前にインストールし、そのほかにも見たいアーティストにはチェックを入れておく。
準備は万端だ。
いざ、フジロックへ!
入口に向けて
眠い目を擦りながら乗った新宿7時発のバスは約4時間かけて苗場にある会場を目指す。
会場についてチケットをリストバンドに交換するとキャンプエリアが現れて、2日目ということもあってすでにたくさんのテントが並んでいた。
途中に「当日テント貸し出し」の案内も出ていて、「事前申し込みじゃなくてもテント借りれるんだね」などと話しながら進む。当然オールナイト予定だったので気にせずスルーした。
オフィシャルとアーティストのグッズ売り場も見えてきた。
ものすごい列だが、こういう物販は結構進みが早い覚えがある。すでに相当な暑さになっていたが意を決して並ぶ。
……結論、リアルに1時間弱並んだ。
その日の日焼けのほとんどは、この列並び中によるものなんじゃないだろうかと思っている。
そしてレジに進むと結構な商品が売り切れていた。これは来年以降は事前注文が良さそうだ。
だが、問題ない。
私の目的はTさんおすすめの手拭いをゲットすることだった。無事フジロックオフィシャルの手拭いを買うことができた。
そして手拭いをもって、急いで水道に向かって濡らす。
「つ、つめた〜〜〜〜い!」
灼熱のフジロックで救いだったのは、水道の水がつめたかったことだ。さすが苗場。
濡らした手拭いを首に巻く。この時点でかなり消耗していたHPが、少し回復した。
フェス飯・フェス酒・アクティビティを楽しむ
そして「ところ天国」でクラフトビール、「KOKAGE×ところ天国 FUJIROCKセッションIPA」をいただく。
フジロック限定醸造のクラフトビールが出品されることはリサーチ済みだったので、取材できるよう上司に既に交渉済み。
早起きして、グッズも頑張って並んだのも全てはこのため(?)、最初の1杯をいただきます。
「FIELD OF HEAVEN」ステージに移り、シンガーソングライター・ラッパーなどマルチに活躍しているタイのアーティスト、THE TOYSのアクトを見にいく。
この暑さにありがたい爽やかなポップチューン、そしてイギリスのギター雑誌「Total Guitar」の読者が選ぶ「今、世界で最もアツいギタリスト100選」8位にもランクインした日本のギタリスト、Ichika Nitoとのコラボパフォーマンスも披露。観客も食い入るようにその指先を見つめていた。
移動中、砂袋を投げて穴に入れるコーンホールというゲームでも遊んでみた。
投げる体制はカッコつけているが、どう見ても越えてはいけないだろうラインを踏み越えている(そして一投も穴に入らなかった)。
そして、楽しみにしていたフェス飯を食べる。
ご飯はとにかくどのお店も長蛇の列で、今年から導入された「FUJI ROCK PLUS」という、エリア内のバスに乗れたり、フードを優先購入したりできるプレミアサービスはなるほど検討の余地があるかもしれないと思った。
ここで既に16時近くである。
夏フェス慣れしているつもりだったが、さすがの暑さに日が出ているうちは体力を減らしては回復してを繰り返すしかなかった。
先は長い、そう言い聞かせながらゆったりと座って羊文学や、ALANIS MORISSETTEの歌声に耳を傾ける。
Saucy、エルレ、Vaundy、Cory Wong…怒涛のライブ続き
腹ごしらえもし、日も落ちてきてだんだんと気温も下がってきたのでようやくステージに近づいてみる。
「RED MARQUEE」ステージに移動しSaucy Dogのアクト。
フジロック出演は初めてだそうだが、新曲からスタートするというかっこよさ。大好きな『雀ノ欠伸』も聴けて嬉しかった。
ここからは、さっきのHP回復モードと打って変わって怒涛だ。
GREEN STAGEに移動し、ELLEGARDENの出番を待つ。
登場のSEが流れ会場のボルテージがぶち上がる。
そして、登場した瞬間ロックファンたちの熱い歓声。
いかに多くの人がエルレを楽しみに苗場にやってきたか、この瞬間だけでも伝わってくる。
そのままライブが始まった。演奏、観客の一体感、熱気…これぞロックアンセム!
そしてこれまでを全て知っているわけではないので、少なくとも今年のフジロックを見て感じたことになるが、
いかに彼らが音楽や思いをとても丁寧に届けてきたのか、その真摯さみたいなものをすごく感じた。
多くの人に支持される、レジェンドたる所以が見えた気がした。
次のステージへの移動があったために全編を見ることができなかったが、またぜひもっとステージの近くで、もっと曲を聴き込んでライブを見たい。
気付けばエルレの途中あたりから、完全に夜になっていた。
そして、WHITE STAGEに移動しVaundyのアクトへ。
既に多くの人、人、人…。
のちに入場規制が掛かるほどの超満員だ。
Vaundyの出るフェスには度々行ったことがあったのでいつものようにライブを楽しんでいたが、アニメ「チェンソーマン」主題歌『CHAINSAW BLOOD』は初めて聴くことができた。そのタイミングでは次のCory WongのためにFIELD OF HEAVENに向かおうとしていた最中だったのだが、あまりのかっこよさについつい足を止めてしまったほどだ。
後に、最後にアルバムリリースの発表と新曲披露があったと聞いた。
聴きたかったな…新曲!
そして一番のお目当て、Cory Wongのライブへ。
▽FUJI ROCKに向かうバスの中で、こちらのnoteで予習させていただいた。ご本人にも相関図をお渡ししたと聞いて…羨ましい!
これが本当にもう、良すぎた。「ヤバいものを見た」という興奮が、この文章を書いているフジロックから10日後の今日になっても未だ冷めていない。
Youtubeで擦り切れるほど見たCoryが、目の前にいる。
それだけで感動だったし、1曲目から観客の熱気もグルーヴ感もMAX。
SNSなどで積極的に探さない限り、どれくらいアーティストのファンがいるのかライブに行くまでわからなかったりする。
その日のヘッドライナーであるFoo Fightersと時間が被っていたのも気になっていたが、蓋を開けてみるとCoryの来日を心待ちにしていたファンたちでFIELD OF HEAVENが埋め尽くされていた。
ギタリストであるCoryと、ドラム、ベース、ホーンセクション、キーボードなどで構成されたバンドによる演奏なのでボーカルはいないのだが、インストの力だけでここまで興奮や熱狂を生むのか、と改めて思った。
途中、日本のシンガーソングライター・Reiも参加しコラボパフォーマンスも披露。
できればコラボでもう何曲か聴きたかった…!
朝までもうこのまま聴いていたい、と思うも束の間、
アンコールも終え、その日のFILED OF HEAVENは全ステージ終了となった。
オールナイト、のはずが…
完全に燃え尽き症候群と化した時には、日付が変わろうとしていた時間だった。
昼は行列を作っていた「苗場食堂」もだいぶ人が捌けていたので、フジロック名物のとろろめしをいただく。
新潟県産の白米に、とろろに、温玉という冷静にみると白×白×白のあっさりした一皿だが、日中思い切り日光を浴びて汗をかき、夕方以降立て続けにライブを見た体にはとても優しく、まさに回復食だった。
糖分も足りていない、とクレープも食べる。
本当はこの近くに新潟の地酒飲み比べの店もあって、フジロック行く前は「夜にしっぽり日本酒を飲もう!ちゃんと地酒の出店についてもレポートしよう!」と意気込んでいたのだが、今ここで日本酒なんて飲んでしまったらこの芝生の上にひっくり返って寝てしまいそうだったので断念した。
夜もオールナイトでライブを見るぞと思っていたのだが、そんなうとうと状態だったので何かしら視覚的な刺激を求めていた。
そういえば、同じく仕事でフジロックに来ていた同期から「夜はサーカスがあるよ」という情報を聞いたのを思い出し、探してみることにした。
あんなに事前にフジロック攻略動画を身漁ったのに、誰も「夜のサーカス情報」について話している方がいなかったので半信半疑である。
が、
サーカス、やってた。
ものすごい勢いで子どもがくるくると回っていた。
近くには音楽ステージもあって、オルタナティブな音楽が流れている。
もはやここは夢の中なのではないだろうか。
本気でそう思った。
結果、みんな各自のテントに戻っていくか、フジロック慣れした方々がここでの再会を楽しんでいるかという中、近くの日帰り入浴施設で温泉に入ることにした。
宿泊者でなくてもお風呂に入らせてもらえるところがあって本当によかった…。
そして朝5時、フジロック2日目は完全に終了した。
初フジロックの反省点
今回1日だけ参加してみて思ったが、改めてTさんのようにフジロックに通しで行っている人を尊敬する。
ここではまたフジロックに行くことがあるときの為に、備忘録として反省点を記録しておく。
反省1 暑いとは思っていたが想像以上だった
まず、苗場だからといって涼しいわけではない。もちろん東京の日中に比べたらいくらか涼しいが、それでも炎天下に居続けたらとても暑かった。のちのちSNSを見ると、ドラッグストアなどに売っている冷タオルが良いらしいということを知った。
今後は事前に「これがあると涼しかった」という情報をキャッチしてから現地に向かいたい。
(ちなみに同行者が持ってきたシーブリーズも結構よかった。これからの夏フェスにも持っていきたい)
反省2 1日のみでも拠点はあった方が楽
泊まるわけではないと身一つで行ったが、見たいライブがない時間帯やちょっと休みたいときに車なり、ホテルなり、テントなり、どこかしら戻れる拠点があった方がやっぱり良かった。日帰り温泉も時間帯によっては長蛇の列だったようなので…。
最初に「当日テントあります」をスルーしなければ、と何度か思うことになった。
反省3 グッズは事前購入を
狙っていたかわいいTシャツやバケットハットがあったのだが、売り切れていたのは残念だった。
あと、やはりあのグッズ列が日焼けと体力消耗スポットだったので、来年以降は事前に購入して、素敵なグッズを見につけ余裕の入場をしたい。
それでもやっぱり最高だった、フジロック
いろいろと反省点はあったが、どんな音楽フェスも初めての時は「来年こうしよう」がつきもの。
結論としては初めてのフジロック、とっても楽しかった!
やはり海外のアーティストが来ると特別感を感じるし、国内のアーティストも「フジロックでのライブ」であることを大切にしている感じが伝わってくる。
そしてライジングサンの時も感じたが、郊外型の野外フェスはキャンプしたり、川遊びをしたり、みんな思い思いの場所で好きなことをやっていてとても自由だという雰囲気がそれはもう最高である。
これにて4大フェス全て制覇したことになるが、やはりどのフェスにも個性があって(全国各地のフェスも含めて)どれも楽しい。
そして確かに野外だったり、オールナイトだったりするので玄人向けと言われるのもわかるが、初めてフジロックに行った私も、実は同行していたのは音楽フェスもほぼ初めての2人だったのだが、そんな音楽フェス初心者でもとても楽しむことができた。
フジロックに少しでも興味があってまだ行ったことがないという方に、少しでもこの記事が後押しになったら幸いだ。
そして、フジロックの魅力を知ってしまったからには、来年またチケットが売り出された時にはソワソワしてしまうのであろう。
まだ今年のフジロックの余韻の中にいるが、
フジロッカーの皆さんやこれから初参戦の皆さんと、いつかまた苗場に集合する夏を楽しみにしながら、いつもの日常を送ろう。
(文・タンタン)
フジテレビNEXT ライブ・プレミアムでは、「FUJI ROCK FESTIVAL '23」のDAY1からDAY3まで3日間の模様を計12時間にわたって放送されます。
スカパー!でのフジテレビNEXT ライブ・プレミアム視聴はこちらから。