映画チャンネルに聞く、これから注目の作品と、テレビで楽しむ映画について。
スカパー!で映画を放送している8つの映画チャンネル担当者が集結した座談会。後編では、今公開中〜これから公開の映画の見どころから伺ってみました。
前編はこちら!
これから上映予定の注目作品は?
――続いて、今年注目の映画やこれから公開する作品で注目している作品があれば教えてください。
チャンネルNECO・姜さん「『ラストマイル』(現在公開中)が気になっています。人気ドラマの『アンナチュラル』と『MIU404』の脚本家と監督がタッグを組んで劇場版になった作品で、映画ではどういうストーリーでどういうスケールで描かれるのかなっていうところが気になっていて楽しみにしています」
ムービープラス・竹林さん「私は10月に公開される『ジョーカー』の最新作(『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』)が楽しみです。公開に合わせてムービープラスでも『ジョーカー』を放送したりもするのですが、ハーレイクイン役でレディーガガが出たり、前作から引き続きホアキン・フェニックスが出演したり、演技派かつインパクトのある二人を見るのが楽しみです」
WOWOWプラス・伊藤さん「個人的にアニメが好きなので…『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』。前作の『アクロス・ザ・スパイダーバース』がすごい気になるところで終わったのですごく楽しみにしています」
東映・須貝さん「『正体』という、藤井道人監督の作品が気になっています。予告編観たんですけど面白そうだったので」
―――「正体」は主演が横浜流星さんであることが発表されましたね。
東映・須貝さん「そうですね。藤井監督最新作が東映で制作されているものがあるので(タイトル未発表)それも楽しみにしています」
WOWOWプラス・伊藤さん「『正体』はWOWOWが制作したドラマ版(『連続ドラマW 正体』)をWOWOWプラスでも放送していますのでそちらも是非!(笑)」
ザ・シネマ・井伊さん「私は8月に公開の『フォールガイ』です。実はもう見ているんですけど、さっきも話に出てきた『ブレードランナー』の続編にも出ていて玄人好みの役者さんという感じだったライアン・ゴズリング、去年の『バービー』でアカデミー賞とかの授賞式の話題を掻っ攫ったので(出演している『フォールガイ』も)注目をしていて。スタントマンの話だからアクションシーンがいっぱい出てくるんですけど、彼自身の魅力がすごく出てるなって思いました。最初から最後まで楽しめたので、ぜひ見ていただきたいですね」
スターチャンネル・鈴木さん「先日、公開されたばかりですが『エイリアン:ロムルス』です。予告編見たらやっぱりいいなと思って。
『エイリアン』の1と2の間っていう設定なのですが…。実は早速、観に行ってきたんですが最高でした!
ネタばれしないように、これ以上は喋りません!」
―――1と2を見てからだとより楽しめそうですね。
衛星劇場・伊藤さん「個人的に見たいのは『シビル・ウォー アメリカ最後の日』ですね。大統領選挙もあるし、いいタイミングでやるなぁと思って。なかなかこういう映画も作りづらい世相なのかなとも思いますし」
スターチャンネル・鈴木さん「A24(『ミッドサマー』などを手がける制作会社)が作るというのも、意味がありますよね」
衛星劇場・伊藤さん「A24がお金をかけて映画を制作したらどんなものが出来上がるのか、楽しみです」
日本映画・池田さん「自分は、押切蓮介さん原作のホラー作品の実写化映画『サユリ』(現在公開中)です。『ハイスコアガール』っていうアニメがすごく好きで、それと同じ原作の方が手がけるホラー作品なんですけどSNSで 予告が流れてきて見たらもうこれはおもしろそうだなと思って。 引っ越してきた家に少女の霊が住み着いていて家族がどんどん殺されていっちゃって、最後に残ったのが孫と認知症のおばあちゃんなんですけど、その認知症のおばあちゃんが意識がはっきりして、サユリと戦っていくっていう…」
一同「(笑)」
――立ち向かっていくホラーというのは、確かに珍しいですね!
日本映画・池田さん「ちょっと変わったホラー映画として面白そうなので楽しみですね」
「テレビで見る映画」の魅力とは 映画専門チャンネルの挑戦
――みなさんは映画チャンネルとして、映画館で見る良さだけでなく「テレビだからこそ」あるいは「専門チャンネルだからこそ」の良さをご存知だと思います。その良さは、どのようなところにあると思いますか?
日本映画・池田さん「私は普段から映画を家で見ることが多いんですけど、ポップコーンをTOHOシネマズで買って電車で運んで(笑)、 家で好きなコーヒー屋さんの豆を淹れて飲むのが好きで、プチ映画館みたいなことしています。あと、テレビでは邦画でも字幕が付いていて、邦画でもセリフが聞き取れないところがあったりする時に字幕ONにするとこういうセリフなんだと分かる楽しみ方もあるなと思います」
ザ・シネマ・井伊さん「知らない映画との出会いを作り出すことが専門チャンネルにはできると思っていて、それって、自分たちが子どもの頃も地上波の映画枠が毎日どこかでやっていて、そこで映画と出会うっていうようなものに近くて。そういう役割ができるんじゃないかなと思います」
ムービープラス・竹林さん「たしかに、ムービープラスだとサメ映画とかインド映画とかちょっとニッチなジャンルの映画も放送してるんですけど、好きな方はもちろん選んで見てくださいますけれども、自分じゃ普段サメ映画なんて見ないよとか、インド映画は『RRR』以外知らないっていう方も、ポチッとつければ自ら選ばずとも色んな映画を放送しているところは専門チャンネルならではだと思います」
チャンネルNECO・姜さん「韓国ってCSチャンネルがない家がなくてみんなCSでテレビを楽しむのが当たり前で、父もいつも映画チャンネルばかりつけてたんですよ。それで、知らない映画だけどそのまま流れているのを見て、未だに記憶に残っているっていうのはやっぱテレビならではの力なのかなって思います。最近配信でコンテンツの量も増えてはいる中で、テレビでは全然自分の好みでもないものや、全然知らない作品に出会って、意外と面白かったっていうこともあるかなと思うので、チャンネルNECOとしても最近は配信に出ていない作品を探って、お客さんにこういう面白い作品もありますよっていうのをどんどん発信していけるチャンネルでいたいです」
――どうしても配信だと良くも悪くも「あなたにおすすめ」に影響されますもんね。
東映・須貝さん「昔の作品もたくさん放送しているので、その当時映画館で観た思い出も蘇らせることができるっていうのはテレビの力だと思います。来年の8月に東映最後の直営館(丸の内TOEI)が閉館になるんですけれども、60年以上の歴史があって、利用された方もたくさんいると思うので、そこで鑑賞した方の思い出を蘇らせる特集がチャンネルとしてもできたらいいなと思っています」
WOWOWプラス・伊藤さん「たしかに。『思い出と紐づく』という意味でいうと、生活とも密接に結びついているところがテレビの魅力かなと思っていて、例えばテレビで映画が始まるのに合わせて家事を終わらせたとか、昔録画した映画を観たら懐かしいCM流れてきたとか。そういう体験から、映画の内容は覚えていなくても、あの時テレビでこの映画観たなってことは思い出せるみたいなことってあると思うので。生活に紐づく“体験として”記憶に残るメディアというのがテレビの良さなんじゃないかなと思っています」
衛星劇場・伊藤さん「映画を別の魅力で見せていくことがテレビ放送でできることかなと思います。東京にいるといろんなことを体験できる便利さがありますけど、地方ってそうそうできないこともあると思うんです。そこで“活弁”(活動弁士。無声映画上映中に登場人物のせりふをしゃべったり、話の筋を説明する人)をもっと体験しやすい環境にできないかなって思っています。実は毎月のようにどこかで活弁のイベントがあるのですが、東京集中になりがちなので地方の人がどうしたら見られるかって言ったらテレビだなと思って。去年、今年と活弁付きの無声映画を放送したところ、『活弁を初めて見て、その面白さに気づきました』という声もいただきました。この活弁映画の放送をもっと増やし、活弁士の方々だけではなく声優さんを起用した作品も制作したいと考えています。」
スターチャンネル・鈴木さん「(伊藤さんのお話に)近いところでいうと、吹き替えの楽しさはテレビで伝えることができるのかなあと思います。昔、金曜ロードショーとかでやっていた映画とか、機内上映版とかの貴重な吹替版もあったりするので。ちょっとマニアックな映画ファンにも響くようなそういうものを探して、これからも視聴者の方々に届けていきたいです」
日本映画・池田さん「自分も、貴重な作品をあえて発掘するっていうのをやっていきたいと思っています!」
衛星劇場・伊藤さん『最古の忠臣蔵』という映画のフィルムは、ある活弁士の方がたまたま訪れた骨董品店で見つけたそうなんです。店先にフィルム缶が置いてあって、それを小道具として使おうかなと思い店主に作品名を訊いたら『ゲイ映画だよ』って言われたらしいんですよ。その方がそれを買って確認してみたら『最古の忠臣蔵』の現存する最長版だったんです」
――昔の映画は「データ」としてない場合がありますもんね!言葉通り“掘り出し物”なのですね…!
スターチャンネル・鈴木さん「眠っている映画はまだまだあるんでしょうね!」
――これからの映画ラインナップも、楽しみにしています!