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モスの新業態ジューススタンドには野菜へのこだわりが詰まっていた

2024年8月9日、東武東上線池袋駅の中央1改札内に、モスバーガーを展開するモスフードサービスがジューススタンド「Stand by Mos(スタンドバイモス)」がオープンしました。

多くの方が「モスバーガーといえば野菜多いもんね~。その野菜を使ったジュースね~」くらいの認識なのではないでしょうか。しかし、そのジュースを飲んでみるとモスバーガーの野菜への並々ならぬこだわりが見えてきました。


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出店のきっかけは関係の深かった東武鉄道

モスバーガーの本社があるのは大崎。こういった新規事業の1号店を出店する場合多くの企業が本社の近くに出すことが多いのですが、なぜ池袋駅?と疑問に思っていました。

広報の方に話を聞くと、モスバーガーの1号店は東武鉄道東上本線の成増駅。その縁で、2022年に迎えた創業50周年の際には、東武鉄道の協力で成増駅を「なりもす」駅として駅名看板を変更するなど、友好な関係を築いてきたそうです。

「なりもす」駅に駅名看板を変更した成増駅
(画像:東武鉄道プレスリリース

今回「Stand by Mos」は、コロナ禍が明けて人流の回復に伴った新業態の構想がモスにはあり、それを東武鉄道に伝えたところ、元々別のジューススタンドがあった空テナントの紹介があったといいます。

4.95坪という狭さもあり、モスバーガーの通常店舗の運営は難しいですが、ジューススタンドを運営するには、ぴったりの場所です。

モスバーガーはもともと「新しいことに積極的にチャレンジする」社風があり、世の中の流れに合わせて大胆に新業態にも挑戦。コロナ禍では「お客さんが来れないのならこちらから出向こう!」とキッチンカーでの販売を行ったり、今年は音楽レーベル「モスレコーズ」を設立したりするなど、既成の枠にとらわれない新たな取り組みに挑戦しています。

これは商圏やニーズに合わせて多様な店舗形態を持つという方針の表れでもあり、他にも紅茶の専門店「マザーリーフ」や、13種類のグルメハンバーガーと8種類のクラフトビールを提供する高級バーガー店「モスプレミアム」なども展開しています。

「モスバーガーだけでも十分に人気なのだから大丈夫じゃないかな?」と思ってしまいますが、あくまで冷静に「時代の変化とともに商圏やニーズは変わってくるから」とチャレンジの姿勢を崩さないのは素晴らしいなと思いました。

シンプルな材料で素材の旨味を最大限に引き出す

さて、「Stand by Mos」では現在7種類の限定野菜ジュースと、モスバーガーでも買える2種類のシェイクを販売しています。

「Stand by Mos」のメニュー

「モスバーガー」といえばトマトが看板で、店舗での消費量も多くなっています。しかし、バンズに合うサイズのものしか使用できず、基準のサイズに満たないものはハンバーガーには使用できないそうです。

モスバーガー

さらに皮を剥かずに輪切りにして使用することもあり、少しでも緑色が残っているものや傷がちょっとでも入っているものも使用できなかったのだそう。もちろんこうしたトマトも味は変わらず美味しいのに、です。

規格外のトマト

そこで「Stand by Mos」の目玉は、モスバーガー店舗で使用しているものと同じトマトに加え、規格外品のものも使った「しっかりトマトなモストマトジュース」(420円)。

こちらはまるで飲むトマト!缶のトマトジュースの味とはまったく異なり、トマトをそのまま食べている味に限りなく近いのです。

しっかりトマトなモストマトジュース

本来は廃棄されてしまう親生姜を使用した「ほっこりスパイシーなモスジンジャーラテ」(420円)も気になったので飲んでみました。

親生姜とは、生姜を植えるときの親になるもので、特に辛みが強いのが特徴です。スパイスとミルクを加えていますが、かなりピリッとくる味わいがクセになりそう。

ほっこりスパイシーなモスジンジャーラテ

規格外バナナを主に使った「こっくりスイートなモスバナナミルクスムージー」(500円)は味の想像がつきやすく、一番人気だそうです。

飲んでみるとちょっと想像していたバナナジュースとは違います。濃厚で風味が強く、バナナの味をしっかりと堪能できるジュースになっていました。

こっくりスイートなモスバナナミルクスムージー

どのジュースも、想像していた「野菜ジュース」よりもしっかりと「野菜」を感じられる仕上がりになっていることに驚きました。

健康や美容のために市販の野菜ジュース・フルーツジュースを手に取る機会も増えていますが、いまいち「本当に栄養、摂れてるのかな?」「加工する段階で栄養抜けてないかな?」「保存料とか身体に悪いのでは」など、いろいろと考え過ぎてしまうこともあります。

しかし、「Stand by Mos」はその場でできたてを提供し、安心して美味しい野菜を摂取できることにこだわっています

全店舗で契約農家から仕入れた野菜を使用

そもそも、モスバーガーでは、契約した全国117産地・2,379軒の農家から野菜を仕入れています。これらの野菜は、できるだけ農薬や化学肥料に頼らない方法で育てられています

1,300店舗以上あるすべての店舗に丸ごとのトマトやレタスがそのまま届き、お店で洗ったりカットしたりして仕上げています

ほとんどのファストフード店ではいわゆる「セントラルキッチン」と呼ばれる工場である程度加工してからお店に届けることが多く、鮮度を重視しお店でカットから行うのは非常に珍しいのです。当然手間も人件費もかかりますが、この方法を遵守しています。

しかも、トマトは包丁でカットするけれど、レタスは包丁で切るとえぐみが出てしまうことから手でちぎることを徹底。ハンバーガーの直径に合わせ、手袋をした状態でフリルの形状も崩さずに仕上げるのはプロの技。熟練したスタッフでないと難しいそうです。

それも創業時から続く「医食同源」……美味しいものを食べて健康でいてもらいたいという考えから。美味しさと身体への影響を野菜を通じて真摯に伝え続けたいという想いが引き継がれています。

改めてモスバーガーのお店を訪れてみると、レジ横には野菜の産地が毎日しっかりと掲示されていました。Webサイトでは、「今月の産地情報」も公開されています。

モスバーガー店舗にある産地情報

「Stand by Mos」の野菜ジュースを通じて「モスバーガー」の野菜へのこだわりも再認…。別業態とはいえ、ジューススタンドを利用した方にも「そっか、モスってめっちゃ野菜にこだわってるね!」「ファストフードだけど身体にいいじゃん!」と認識してもらえる存在にもなっているんですね。

「5年で100店舗を目指す」と言わず、すぐにでもたくさん増えて欲しい

「Stand by Mos」の名前には、「ドリンクスタンドを目的地までの休憩(癒し)スポットと考え、“次の移動のStandby(スタンバイ)”との意味」が込められています。

「Stand by Mos」外観

しかし、実際にオープンすると平日の18時台の利用・土日は午後3時台が多いとのことで、意外にも「帰宅までのあと少し頑張る」という方のニーズがあるようです。

現在は商品は持ち帰りで提供されていますが、お店の前にスタンドテーブルを置くなど、検討中とのこと。その場で飲み終えてゴミは捨てて帰りたい…という人も多そうですもんね。

8月に行われた発表会では「5年で100店舗を目指す」と目標を掲げていましたが、健康を意識する方が増えている今、このような安心して野菜ジュースが飲めるお店はニーズが高まっているはず!

奇しくもこれまで駅ナカにあったミックスジューススタンド「ハニーズバー」が2023年8月末をもって一斉閉店。多くの跡地はいまだそのままになっています。この跡地を一斉に「Stand by Mos」にして欲しい…そんな妄想までしてしまったのでした。

執筆・写真:松本果歩


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