シフォンケーキ(書籍「運転者」)
(ちょいネタバレてます)。
成城石井で売っているシフォンケーキは、中にクリームをはさんでいます。その形状から「フルーツサンドのフルーツ抜きオーダー」と間違われてしまいそうなのですが、食べてみるとちゃんとシフォンケーキなのです。ふわふわスポンジと、なめらかクリームとの邂逅。もう密着しているのに、お口のなかで「出会っている」感じ。昔シフォンケーキ作りに熱中した頃もあって、どんだけかき回せば気が済むんだ?くらい泡だてる工程を知っているので、もう作らなくなった今でもたまに頂きたくなるのです。
シフォンケーキを売られているお店で、クリームなしのケーキを見ると「クリームは別手配かあ」となるとやっぱり買うのを迷うので、この形状はいわゆるひとつのシフォンケーキとして正解なのだと腑に落ちているのです。
主人公がふと入った喫茶店でシフォンケーキを注文して食べるシーンの出てくる本「運転者」。私は小説をほとんど読みません。一番最近に読んで覚えている商業出版社系の小説は久坂羊氏の「廃用身」だったと思います(おい)。
ですがここで読んでみようと思ったきっかけは。大海を知ったオタマジャクシ様の記事。
「今を生きる全ての人にプレゼントしたい一冊(引用:当該記事)」と、おたま様に言わしめる1冊。
この記事を拝読して、めっちゃくちゃ読みたくなったのです。そして、note読書感想文コンテストの課題本でもあったのでした。
もちろん読むのが遅い私は、note読書感想文には間に合いませんでした。そして今になってレビューを書いているのは、自分の読後感を言語化しておきたかったからなのでした。
読んでみて、、、これはすごい本だと思いました。実はこの本の感覚、私にはずっとありまして、「運をためる」という、言葉にしてもらえて、「アンタはこれでよかったんだよ」と言ってもらえるような本でした。まさに今のタイミングで読めてよかったです。
あまりここでは書けないのですが、頑張ってきたことがなぜ報われない結果になるんだろう?ということが過去、何度もありまして、自分の頑張りが足りないから?とか、何か過去悪いことをしてきた報い?とか、自分を納得させる何かを悶々と思考したり、考えたくないのでわざと忙しくして忘れようとしたり、そんな傾向がありました。
あの環境にならなければ?という挫折。
私に回ってくる順番がもう少し早かったら?という挫折。
そして「コ〇ナがなければ」というタイミングの挫折も味わいました。
でも自分で貯めた運を、自分の大切な人、守りたい人に、自分がもう力の及ばない場に受け継げついてギフトに出来る。そんな感覚も今思えば覚えがありまして、もしかしたらこの本に書いてあることは真実かどうかは別としても、自分がそう思っていれば、物事の捉え方が変わるかもしれないです。
そして自分には「平常心」を課しているのですが、「上機嫌」というノリは、ちょっと自分にはハードルが高いものの、なるほどなあと、納得しました。
不覚ながら、ボロボロ泣くシーンもありました。ヤヴァイその話が出てくるの?というシーン。
読みやすい文章に、テンポのよい展開。読んでよかったと思える1冊でした。おたま様、素敵な本との出会いをありがとうございました。
(レビュー1901というすさまじい本でした)