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読書記録1 豆の上で眠る

 早速。
 湊かなえさんの、「豆の上で眠る」読了。

 湊かなえさんの作品を読むのは3回目で、例に倣って書き進め方が好きだし、描写がすっと入ってきて読みやすい。んー、やっぱり暗い暗い。そういうのだとわかって、そういうのが読みたくて手にとったんだけど。

 私は3歳下の妹がいて、あらすじを読んで「姉妹」にフォーカスした題材に惹かれて購入。妹(この本では姉)がすり替わる?そんなの絶対気づかないわけない。そんな印象から。

以下感想

 読み終わってからいくら考えても、ただの残酷な物語。お父さん、お母さん、お姉ちゃん、ハルカさん、結衣子、"万祐子ちゃん"、誰を浮かべても、辛い。
私が一番疑問に感じたのは、誘拐されてから万祐子ちゃんとして戻ってきた子が、誘拐される前とは違う子であるということを両親が結衣子に伝えなかったこと。自分たちは事実を知りながら、結衣子が戻ってきた万祐子ちゃんに違和感を感じることをタブーのようにして。私の推測だと、万祐子ちゃん(ハルカ)が、本当の血の繋がりのある母親との生活を望んだのが両親にとっては大きなショックであり、結衣子に伝えるのはあまりに可哀想だと考えた結果だと。そう考えても私は、血縁とか関係なく、一番繋がっていなかったのは結衣子だったと感じた。
 あとは、ハルカ(誘拐前の"万祐子ちゃん")のこと。心情が語られる場面は少なかったけど、身体が弱かったこともあり両親から大切にされていたことや、結衣子との思い出は結衣子視点から読者の記憶にしっかり残るよう丁寧に描写されていて、その分岸田姉妹の方へ行ってからハルカがすんなりと本当の血のつながりがある母親との生活を望んだことの残酷さが際立っていた。「そんなわけないだろ!」とは言えないけど、「意外とそういうものなのかな。」みたいな、本当に「豆の上で眠る」ような感じ。
 私もドラマとかでよくある、「生き別れた一度も会ったことがない親子や兄弟が偶然会ってビビッと」みたいなのを信じてるタイプだったし、血の繋がりがあっても、あくまで他の人間であるという現実を囁いてくる一冊でした。

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