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イベントビジネスとは〈2〉~イベントの構造を理解する~

イベントビジネスについて全4回に分けてお話しをさせていただくこの連載。第1回となった前回は「イベントビジネスを理解する前に」というタイトルでBtoBとBtoCの購買プロセスの違い、BtoBにおけるマーケティング活動とイベントの活用についてお話ししました。第2回となる今回はいよいよイベントのお話しへ。テーマは「イベントの構造を理解する」です。ぜひ最後までご覧ください。

※第1回の記事は下記よりご覧ください。

【BtoBにおける購買とマーケティング。そしてイベントの役割とは】

前回、BtoBの購買プロセスをふまえたマーケティング活動において、イベントは全ての工程で活用できる、とお話ししました。ではここでは、まず、各フェーズにイベントをあてはめてみましょう。
「認知・啓蒙」のために――展示会へ出展してお客さまにアピールする。
「興味」を深めてもらうために――自社商品のプライベートショーなどを行う。
「比較・検討」してもらうために――商談会を行う。
「行動」してもらうために――受注即売会を開催する。
このようにイベントは、あらゆるフェーズで活用することができるのです。

【BtoBに活用できるイベントの種類と強み】

■BtoBイベントの種類について

展示会やプライベートショー、商談会、受注即売会の他にも、BtoBイベントにはたくさんの種類が存在します。

例えば、専門家による講演やパネルディスカッション、ブースでの展示などを組み合わせて行われる大規模カンファレンス。また、業界やテーマなどを設定してリアルとオンラインを組み合わせて開催されるハイブリッド合同展。そして、医療系の製薬会社などが活用しているオンライン学会。さらに、社内イベント記者会見もBtoBイベントの一種です。他にも、各地を移動して開催されるキャラバンイベントも。このように多様なイベントが、「ファネルモデル」の中で使われているのです。

■イベントの強み

では、数あるマーケティング施策の中で、イベントが選ばれる理由、つまりイベントの強みとは何でしょうか。それは参加するお客さまがターゲティングされている、ということです。つまり、限られた、狙い通りのお客さまにアピールできることが、イベントならではの強み。マーケティング活動において、イベントは圧倒的な影響力を持っているともいえるでしょう。

【BtoBイベントに関わる人々と、それぞれの狙い】

■イベントを創るステークホルダー

ここからは、イベントビジネスの仕組みについて説明していきます。
まず、イベントを創るステークホルダー(利害関係者)とは誰かを理解しましょう。イベントの主要なステークホルダーは、主催者と出展者来場者。必ずこの三つで語られます。

主催者とは、イベント全体の計画、運営管理を担当する企業や団体を指します。例えばカンファレンスは企業が主催し、合同展は団体(さまざまな業界団体や協会など)が主催者となります。
出展者は、イベントで自社製品やサービスを展示・紹介する企業や団体、個人を指します。大抵は企業が協賛金を主催者へ支払って出展しますが、コミックマーケットなどは、個人が出展している例ですね。
来場者は、イベントに参加して展示や講演を見学する人々のことと一旦定義しています。

この三つが主要なステークホルダーですが、イベントを創り上げる関係者は他にもたくさんいます。例えば、イベントを支援してくれる企業や後援団体です。会場担当者公共交通機関も関係者であり、地域住民も巻き込んで地域を挙げてイベントを開催することもあります。

その他、裏方の仕事を担ってくれるシステム会社施工会社電気・ガス・水道・運搬・廃材処理会社も関係します。このように、一つのイベントは、様々な企業・団体の動きの上に成り立っているのです。

■主催者・来場者・出展者。それぞれの狙いと関係性

では、それぞれの関係性はどうなっているのでしょうか。

図にあるように、
主催者は、イベントを主催して来場者を集め、来場者は主催者に個人情報を提供します。
来場者は、出展者に対して、情報収集や検討している内容の相談を行います。
出展者は、イベントに出展し、主催者からリード(個人情報)の提供を受けます。

出展者主催者の間には、出展料を支払う対価として、リードを入手する契約が事前に取り交わされているのです。出展者は、イベントで見込み顧客の情報がたくさん手に入れば入るほど、イベントへの出展は成功したと感じます。

裏方の関係者(装飾会社、システム会社、電気ガス水道など)は、主催者が依頼することも、出展者が自社のブースを出すときに独自に依頼することも、両方のケースがあります。
一方、支援企業・団体との関係性は、主催者が築きます。その支援企業・団体と組むことでイベントにどのような効果があるのかを考えてパートナーシップ関係を構築しています。

■イベントにおける事務局とは

ここで、イベント運営に欠かせない事務局について説明します。
事務局とは、主催者の仕事を代行する事務方の裏方のこと。主催者からの情報を関係者へ伝達したり、出展者などの情報を集約したりするハブ役を担当します。

具体的には、主催者とマニュアルを制作して出展者に配ったり、主催者が用意した便利なシステムを出展者にお知らせしたり、出展者の出展内容について情報を収集したりします。来場者に対しても、アクセス方法や事前登録方法などのFAQを作成したり、当日の入場方法を伝えたりします。
こうした事務局の働きに支えられて、スムーズなイベント運営が実現できているのです。

【イベントの構造と、それぞれの役割】

ここまでイベントの種類、そしてステークホルダーについてご説明しました。
ここからはステークホルダーの1つ、「来場者」について、その心理を見てみましょう。
来場者がイベントに行く目的はさまざまです。情報収集をメインの目的とする場合、「自分の仕事をもっと良くしたい」「会社の売り上げは上げたいし、コストは下げたい」などの思いを抱いているのではないでしょうか。

こうした来場者に対して、最適な商品やサービスを紹介し、来場者を喜ばせることができれば、主催者や出展者は新しい受注を引き寄せることができるのです。

■来場者はどこから情報を得るのか

では、来場者が探している情報は、どうやって伝えられるのでしょうか。
イベントの場合、情報を伝えるコンテンツは大きく分けると講演か展示の二つのみです。

■カンファレンスにおけるセッション(講演)とは

セッション(講演)には「キーノート」と「ブレークアウトセッション」、「オープンシアター」などいろいろな種類があります。

キーノートは基調講演ともいい、一言で言うと「お客さまを集める施策」として実施されるものです。キーノートに著名人や芸能人を招くイベントも多く、たいてい朝一番に実施します。すると、著名人や芸能人を目当てに多数の来場者を呼ぶことができるというわけです。
ちなみに、イベントのシステムの負荷テストは、キーノートの来場者を想定して行っています。

ブレークアウトセッションは、キーノート終了後にテーマ別の「分科会」として行われるセッションです。参加者が求めている情報の理解を深めることに効果的です。

オープンシアターは、セミナー講演があったり、5分くらいの短いプレゼンがあったりするコーナーです。参加の予約が不要で、終了後に講師と話せることもあります。オープンセミナーも、講演の情報を伝えるコンテンツの一部です。

キーノートやブレークアウトセッションなどの講演は、部屋や特定のスペースの中で行うため、参加できる定員が決まっています。そこで来場者には、どの時間に誰が参加するのか、を事前に登録してもらう必要があります。
ここで、デジタルエクスペリエンスの「EXPOLINE」を使うと、スムーズに事前登録ができるのでおすすめです。

■カンファレンスにおける展示とは

カンファレンスの展示には、いろいろなパターンがあります。
主催者自身が自分たちの商品を直接紹介する自社展示や、スポンサーが展示ブースを持って展示していることもあります。パネルを並べて紹介するパネル展示や、新商品やイチオシ商品のデモ機の展示など、様々なパターンをまとめて「展示」としています。

さらに、展示ブースは、来場者がふらっと立ち寄って話を聞くことができます。もちろん予約は必要なく、「ご自由にどうぞ見てください」と来場者が気楽に見られるように設営されています。


以上、第2回は「イベントの構造を理解する」というテーマでお話しをさせていただきました。イベントに関わる人々やそれぞれの思惑、そしてイベントの中身などをご理解いただけたのではないでしょうか。次回は「イベントにまつわるおカネの話」をテーマにイベントの費用対効果、マネタイズについてお話しをしていきます。是非次回もご覧ください。


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