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ふと思い出す。
流れてきた記事を何気なく読んで、唐突にある人のことを思い出した。
昔、私がまだ若い頃。
とある国で1年程過ごした。
バックパックを背負って、各地で働きながら、旅をした。
農場で働くことが多かったんだけど、安宿から農場まで移動するには車がいる。私は車なんぞ持ってなかったから、車を持ってる人と知り合ってガソリン代を出し合って農場まで通うしかない。
それでもなんだかんだ、各地でいろんな出会いがあって、なんとかなるもんだ。
私の「まぁなんとかなるだろう」のテキトー精神は、この時に養われたんだと思う。
さて、とある場所で、たまたま知り合った日本人がいた。
名前は「すーさん」本名は知らない。年齢不詳。
たしかヴィンヤードで働いてた時だった気がする。季節も忘れた。いろんな経緯も忘れたし、どこのヴィンヤードだったかも忘れた。
長いことインドを旅していたそうで、インドの話をたくさん聞いた。
おいおい、すっげぇーな…っていう感想しかなかったように思う。
具体的なエピソードは忘れてしまったけど、その時に思ったことを、今朝ふと思い出したのだ。
「これから先の人生に、すーさんに会うことは二度とないだろう。『一期一会』って言葉はこういうことなのか…」と。
いつか、きっとこの風景を思い出すだろうな…と漠然と思ったのだ。
旅で本当に色んな人に出会ったし、中には今でも交流が続いてる相手もいるけれど、名前を思い出せない人がほとんどだ。
それなのに、どうしてか、あのすーさんにだけは『一期一会』を感じていたのだ。
何だったんだろう。
淡々とした佇まいで、熱くもなく、冷たくもない。事実をサラッと話すだけ。
自分の思いを語るでもなく、説教するわけでもなく、あぁそういえば…といった雰囲気で、ポツポツ話す。
あの時の空は、日本の秋の空に似てたな…と、それだけはハッキリ憶えている。
すーさん、元気にしてますか?