真っ直ぐな 道
線路が 真っ直ぐに伸びていた
途中下車した駅は 単線で
次の駅まで 真っ直ぐに伸びていた
乗ってきた電車が
がたんがたん と 次の駅へと向かう
日差しが じりじりと
身体を 焦がす
電車は
見えているようで 輪郭が朧げになり
いつの間にか 風景と一緒になった
胸が きゅっとした
きっと この気持ちは
まっすぐへの 憧れだ
*
まっすぐなことは いいと言われてきた
寄り道をせず 最短距離を走れと
そう 言われていた
メディアでも 何かに人生を費やした人たちの
成功例が 溢れかえる
早い時期から 何かに集中し
結果を残してきた物語は
あるべき姿が それなんだと
いわれているような 気持ちになる
触れるたびに
紆余曲折ある自分は どうなんだろうと
問いが ざっくりと身体に刺さる
痛いなぁ 痛い
まっすぐになれない 自分
*
最近 知ったのだけれど
それでもいい という考えも
どうやら あるらしい
一つのことに 集中するのではなく
好きなことを 次々と仕事にしていくという
そういう生き方もある と
なるほど 確かにその通りなら
曲がりくねった この道にも
何かの名前が つくのかもしれない
言われてみれば
まっすぐな道だけが 正解だなんて
そんなに単純では ないと思うけれど
半信半疑な 自分がいる
そうだと嬉しいのだけれど
そんな都合のいいことが
あるのだろうかと
でも仮に
その可能性が ほんとうに
ほんとうに あるのならば
僕の歩いている道には
一体どんな名前が つくのだろうか
次の電車が来るまで だいぶ時間がかかり
線路はまだ 真っ直ぐに伸びている
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