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クリエイターのための漫画名言集
デザイナーのつぼたです。みなさん漫画は読みますか。私はそれほど多くはありませんが読むのは好きです。漫画読んでる時ってワクワクやドキドキがありつつ、仕事と関係ないリラックス時間でもありますよね。でも「漫画を読む行為もデザインの向上には関わっているんだ」と私は考えています。小林賢太郎さんが『小林賢太郎テレビ8』の中でこう語っています。
こうやって車運転してても、コントは作っているんですけどね。それはソフトクリームを食べてようが、海で遊んでいようが頭ん中でコントは全然進んでるんですよ。本当にそう思う。何やってても。
漫画読んでてもデザインは進んでいるんです。というわけで、今回は「クリエイターのための漫画&アニメの名言」を紹介しようと思います。読みやすいように「、」「。」「……」「『 』」を足したり少し変更したりしています(言葉自体は変えてません)。ご了承ください。
●ファンタジー・SF 漫画
優しいだけじゃ人は救えないんだ
いいかい!優しいだけじゃ人は救えないんだ!!! 人の命を救いたきゃ、それなりの知識と医術を身につけな!!! 腕がなけりゃ誰一人救えないんだよ!!!!
能力は、気持ち+技術です。いくらやりたいと言っても技術がなければ任せてもらえません。いくら技術が高くても気持ちがなければいいものは作れません。何かしたいと思ったら必ずセットでなければ無駄になってしまうどころか、時には迷惑になってしまうのです。
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世の中が正しく、はみ出す者が間違っているなどと誰が言い切れよう
世の中が正しく、はみ出す者が間違っているなどと誰が言い切れよう。
どこの世界にもはみ出す者はいるものだ。今のお前達と何が違う?
ーそんな事もある……極みを論ずれば……戦争時の「英雄」も生きる時代を間違えれば「人殺し」でしかない。
空島でガン・フォールがコニスとパガヤに語りかけるシーンですが、アニメと漫画で少しセリフが異なります。自国の英雄でも敵国から見れば最悪の敵であるように、時代だけでなく、どちらから見るかでも正しいか間違っているかが変わります。モノづくりをしている者として、先入観に囚われず、できるだけ中庸で客観的な視点と考えを持ちたいですね。
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別に俺はどっち側にも揺れちゃいねェ
可能性の話をしてるんだ。別に俺はどっち側にも揺れちゃいねェ。信じるも疑うも……どっちかに頭を傾けてたら…真相がその逆だった時、次の瞬間の出足が鈍っちまうからな。
人は無意識のうちに「どうなってほしいか」で信じるものが変わってしまいます。これを“確証バイアス”と言いますが、ジュリア・ゲレフがTED『間違っているのに正しいと感じるのはなぜなのか』で、この確証バイアスに左右されてしまう思考を「兵士のマインドセット」、左右されない思考を「斥候のマインドセット」と名付けています。この“斥候のマインドセット”を持っていないと冷静な戦況分析も計画立案もできません。例えば会社とかで「競合他社の製品は性能が悪い」とネガティブキャンペーンばかりする人がいますが、消費者は良いと感じているからそれを買っているわけです。“斥候のマインドセット”を持っていれば「競合他社にはこういう強みがあるから、別の強みを持った製品の方が戦えるだろう」という冷静な判断を下すことができます。デザインやクリエイティブを行う上で、最も大切な思考だと思います。
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最悪の事態には、必ず相応のチャンスが眠ってるもんだ
最悪の事態には、必ず相応のチャンスが眠ってるもんだ
最悪の事態にはそんなこと思える余裕はないかもしれません。デザインをしていても、とても厳しい条件が来て頭を抱えることがあります。でもその“厳しい条件”は今まで誰もクリアできなかったから“厳しい条件”として残っているのです。クリアできれば今までにない物になるはずです。
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食事は暇な時にすることじゃない
食事は暇な時にすることじゃない。睡眠をとって食事をしたら、生き物ってのは、ようやくやりたいことができるようになるんだ。
クリエイターって夜遅くまで仕事してたり、寝不足だったり、食べるのを忘れて作業してますよね。私はADHDで過集中の気があるので、気づいたら朝の4時みたいな時もありますが、寝不足の脳はアルコールで酔っているのと同じくらい脳の処理能力が落ちているそうです。筆が進んでいる時にその流れを止めたくない気持ちもありますが、アイデアは寝かせ、クリエイターも寝た方が自分の作品を客観的に捉えられます。「作品は寝かせろ、クリエイターは寝ろ」です。
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冷静さを失ったらそこで負けが決まる
オレだってわけわかんねーよ。だけど親父がよく言ってたぜ……人間、冷静さを失ったらそこで負けが決まる!!勝機を見出だすには周りを見渡すくらいのゆとりを持てってな。
“ゾーン”という言葉があります。言ってしまえば集中ですが、このゾーンというのは「集中しているが視野が広く周りを見られている状態だ」と聞いたことがあります。デザインしているとそればかりに目が行きがちですが、デザイン以外のことも把握して知識や経験を総動員する状態、これがいい集中だと思います。
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あきらめたらそこで終わりだって事を
お父さんに習わなかった……!?何事もあきらめたら“そこで終わり”だって事を…
この言葉は主人公である高槻涼の母親、美沙が涼にかけた言葉です。これ系の名言では、漫画『スラムダンク』の安西先生の名言「あきらめたらそこで試合終了だよ」が有名ですね。ただ私は『スラムダンク』は通っておらず、『ARMS』を読んでいたので、こちらが印象に残っています。諦めてしまえば楽なことも多いです……でもやっぱりお母さんの言うように、何事も諦めてしまうとそこで終わるので続けていきたいですね。
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考えるだけの天才より、行動する馬鹿が勝つって事だ
考えるだけの天才より、行動する馬鹿が勝つって事だ!!もちろん僕は別格だぞ!!僕は行動する天才だからな。
考えてから動いた方が効率的に動けることもあります。でも、考えても何も出てこない時は動いた方が早いです。うだうだ悩むならまず描く!まず作る!悩むのはその後!!
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勝てる勝てないじゃなく、ここで俺はお前に立ち向かわなくちゃいけないんだ
俺がお前に勝てないなんて事は俺が一番よくわかっているんだよぉッ……!それでも!やるしか!ないんだ!俺しかいないんだ!勝てる勝てないじゃなく、ここで俺はお前に立ち向かわなくちゃいけないんだ!
なんの変哲もない自転車に乗って現場に現れる、たいして強くないC級ヒーローの“無免ライダー”の言葉です。熱すぎて読んでて泣きそうになりました。現実では都合よく“自分の能力と同じレベル”か“それ以下”の仕事が来るとは限りません。自分には不釣り合いな大きな仕事や課題が降ってきます。メンタルが整っていない時には勇退も必要ですが、戦える時は勝てる勝てないに関わらず戦わないとレベルアップはできないと思います。
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渾身の一撃じゃ足りない
渾身の一撃じゃ足りない、その百倍の力をひねり出せ!!
デザインをやっているとアイデア出しってよくやるんですよ。アイデアの出し方を教えることも時々あるんですが、よくある間違いとして、多くの人は「頑張って考えれば一撃で良いアイデアが出る」と考えています。ハッキリ言うとそんなものは出ません。刃牙の烈海王の名言「キサマ等の居る場所は既に、我々が2000年前に通過した場所だッッッ」と同じです。そんな悩んですぐ出るようなアイデアは既に誰かが思いついて実行しています。
アイデアは単語で膨大に出し、単語の意味を調べ、調査をし、実物を触ってみて、そこからスケッチをして、試作をして、悩んで、アイデアを出して、「……もう出ない!頭が割れる!」となってからが勝負。そこからやっと誰も辿り着いていないアイデアに到達できるのです。百倍です。
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「結果」だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ
私は「結果」だけを求めてはいない。「結果」だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ……………近道した時、真実を見失うかもしれない。やる気もしだいに失せていく。
手段、目的、結果……似ているようで全然違います。SNSでプロフィールに売上〇〇万円達成と書いているクリエイターにモヤるのは“ここ”がゴッチャになっているからです。スキル・技術は手段、解決する・幸せにするが目的、そして利益は結果です。ベン・ホロウィッツがこう言っています。
会社にとって利益は空気のようなもの。それがなくては死んでしまうが、人は空気を吸うために生きているわけじゃない。会社もそれと同じだろう
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川も同じように流れていてもその水は違う
スワン仙人:人は変わる、世界も変わる。ずっと同じものがあるか。
静留:あるよ。
スワン仙人:そうか。しかしそれは同じに見えているだけだ。
晶:変わらないとすれば、それは同じところにとどまるべく動き続けているから。
スワン仙人:その通り。永遠や不滅など存在しない。変貌を知りたい私と不滅を取り戻したいお前たち。これだから面白い。
川も同じように流れていてもその水は違う。街も人も世界もそうだ。同じように見えて違う。変わっていくのだ。世界は元に戻らん。変わり続ける。
正直なところ『終末トレインどこへ行く』は訳の分からんアニメですが、このスワン仙人の言葉が刺さります。過去の思い出に浸りたい時もあります。戻りたくなることもあります。でも人は変わるし世界も変わる。同じように見えても同じものはないのです。
仕事で緑色の製品をデザインした時に「あー……緑色って売れないんだよね」と言われたことがありました。色に自信のあった私は、頑張って説得をしてなんとかカラーバリエーションに入れてもらいました。結果として緑色は好評で、かなり売れたと聞きました。時代が変われば物事の捉え方も変わります。過去の失敗を教訓にするのは大切ですが、過去に売れたものが今も売れるとは限らないし、過去に売れなかったものが今も売れないとも限りません。
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奇跡を待つより地道な努力よ
奇跡を待つより地道な努力よ
よくされる質問「アイデアって降ってくるんですか?」。ペンを咥えてうんうん唸ってもアイデアは降ってきません。アイデアは降ってくるのではなく“たどり着くもの”です。調査や検索やスケッチをしたり人に聞いたり地道な作業の積み重ねです。
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●スポーツ・部活 漫画
基礎を手ェ抜いたらすぐダメになる
基礎を手ェ抜いたらすぐダメになる。最後まで倒れねぇで立ってられんのは、基礎からしっかり造ったヤツだけだ!
よくSNSでバズったデザイン系のポスト(ツイート)が流れてくるのですが、中身を見てみると“How to のもの”ばかりです。「この色の組み合わせがおすすめ」とか「おすすめの“あしらい”10個」みたいなヤツです。私もイラストレーターで実験したりしたものを「せっかく面白いのできたし誰かの役に立つかな」と思ってポストすることがあります。ですが、“これ”は基礎ではなくただのスキルで、“これ”ばかりやっていても、小手先のスキルが上手くなるだけでデザインはそれほど上達しません。基礎とは「デザインとは何か」を考え、「どうすれば伝えたいことが捻じ曲がらずに伝わるか」、「真に伝えたいことは何か」、「何のためにデザインをするのか」を突き詰めグラフィックやプロダクトに落とし込むことです。
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ないもんねだりしてるほどヒマじゃねえ
ないもんねだりしてるほどヒマじゃねえ。
あるもんで最強の戦い方探ってくんだよ。一生な。
すべての漫画の中で一番好きな名言かもしれません。一見悪そうなヒル魔ですが、弱いフィジカルでどうすれば戦えるのかを考えまくってきた努力家です。デザインも「好きなように作ってください」なんてあり得ません。サイズ、機構、機能、基盤、ターゲット、価格、製造方法……さまざまな条件が提示されて、その中で最高のものを作るのがデザインです。渡されたカードで最強の戦い方を探るのです。
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“6人”で強い方が強いんだろうがボゲが!
“俺が俺が”ってウルセェェェ!!!てめえ一人で戦ってるつもりか!冗談じゃねーぞボゲェッ!!てめーの出来が=チームの出来だなんて、思い上がってんならぶん殴るぞ!1対1で牛島に勝てる奴なんか北ーには居ねえよ!!けどバレーはコートに6人だべや!!相手が天才1年だろうが牛島だろうが“6人”で強い方が強いんだろうがボゲが!!!
チームでもそうですし、デザインの要素でもそうですよね。デザイナー1人でできることなんて限られてますし、コピーライターや企画、技術者など様々な人がいるからデザインが世の中に出ていけるのです。要素も、写真にコピーがハマるから良いグラフィックになる。総合点が高い方が評価されるのです。
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才能は開花させるもの、センスは磨くもの
才能は開花させるもの、センスは磨くもの!!!
水野学さんの著書『センスは知識からはじまる』がヒットしたおかげなのか、最近はだいぶ「センスは生まれつきのものではない」という認識が広まってきましたが、まだまだ“クリエイティブ=生まれつきのセンス”と思っている方がいます。スポーツがそうであるように、クリエイティブのセンスは磨くものです。センスがいい人は努力をしている人です。
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平凡な俺よ、下を向いている暇はあるのか
でも半年に一回くらい、限りなくメンタルがマイナス寄りになった時に思う。自分は平凡なんだと。
ところで平凡な俺よ、下を向いている暇はあるのか。
名言揃いの『ハイキュー!!』の中でも最も有名かもしれません。田中龍之介はムードメーカーでスパイクも強い。でも周りに圧倒的な天才がゴロゴロいる。クリエイティブ業界でも上を見るととてつもない人がゴロゴロいます。そっちをみてしまうと「ああ、同じレベルにまでいけるのだろうか」と考えてしまう。でもそんなこと悩んだって天才との差は埋まらない。悩む暇があるなら天才以上に努力するしかない、と思います。
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つべこべ言わずに一回やれっ!
やらない理由なんかどーでもいい!つべこべ言わずに一回やれっ!
グサっときますね。人には“現状維持バイアス”があるので、やらないまま過ごしてしまう人が多いです。私もそうです。だから、やりたいこと・やらないといけないことがあっても「やらない理由」や「できない理由」ばかり考えてしまう。小林賢太郎さんも「僕が想像できたことなんて、他の誰だって想像できたことなんです。でも実際手を動かしてみて初めて気がつくことがあって、それは案外パッと気がつけることではなかったりして。」と言っているように、やらないと分からないこともものすごく多いです。
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やりたくないことも思いっきりやんなきゃいけないんだ
やりたいことを思いっきりやるためには、やりたくないことも思いっきりやんなきゃいけないんだ。
「好きなことをして食べている」と言うと「好きなことだけやっている」と勘違いをする人が多いですが、好きなことをやるためには必ず好きじゃないことが発生します。デザインをしていても半分くらいは苦しいことだと思います。でもその半分が楽しいことなら苦しいことも頑張ろうと思えます。
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着物をもう一度普段着にするには、こういう柔軟な挑戦が大事
半襟Tシャツ!!こんなものまであったとは。藤岡屋さんは京都の大手。そこがこんな新しくて合理的な商品まで扱って……イベントのときだけ着る特別なものになっちゃいけない。着物をもう一度普段着にするには、こういう柔軟な挑戦が大事!
若い女性が着物で外出したときに見ず知らずの年配女性から「帯締めの位置が低い」や「帯と着物の色が合ってない」、「ポリエステルでしょ」と言ってきて、ひどい場合は「勝手に触って直す」という“着物警察”がたびたび話題になります。自分が知っていて若い人が間違っていたら、言いたくなる気持ちも分かります。私は京都の美大に通っていて、漆や京唐紙、竹細工のような伝統工芸の授業がありました。それがあった上でこう言われたのを覚えています。「伝承と伝統を間違えるなよ。伝承はそのまま引き継いでいくもの。伝統は時代に合わせて変わっていくものだ」と。実際の伝承と伝統にそういう意味が含まれているかは分かりません。ですが、柔軟な発想ができない業界は必ず衰退します。多くの人が着物は美しいと思うのに、なぜ普段着の人が少ないのか。それは洋服が圧倒的に脱ぎ着や手間がラクだからです。そういう気崩しを許さない着物警察自身が着物を衰退させ、「イベントのときだけ着る特別なもの」にさせてしまっているのだ、と私は思います。
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●料理・グルメ 漫画
シンプルなものほど、ごまかしがきかない
このカクテル、氷もシェーカーも使わずとても作り方はシンプルなんです。でもシンプルなものほど、ごまかしがきかない。カクテルって簡単に見えるものほど実は難しいんです。
何事もそうですよね。グラフィックデザインも少ない要素では「何か足りない」という感覚になり、その結果色々と足してしまう人が多い。シンプルなレイアウトは絶妙なバランス感覚とデザイン力が求められます。プロダクトデザインでも、シンプルなものほど傷や歪みが目立ちます。何をしていてもシンプルが一番難しい。
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かけ算にならねば意味がない
葛原:カクテルに何が一番大切か…分かるかな?
佐々倉:バランス…でしょうか
葛原:そうです。ただし足し算ではいけない…かけ算にならねば意味がない
良いデザインに良くないデザインが混じるとすべてが台無しになってしまいます。また、“良いもの”と“良いもの”を掛け合わせると“良いもの”ができると信じている人がいますが、美味しいカレーと美味しい抹茶アイス、美味しい味噌汁を混ぜても美味しくならないように、良いもの同士を掛け合わせても良くなるとは限りません。逆にイマイチなもの同士を掛け合わせて最高のものになる場合もあります。クリエイティブはかけ算です。
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お客様の心を開き、今飲みたい一杯を探すのがバーテンダーの本当の仕事なんです
佐々倉:なぜバーにメニューがないか、あってもあまり出さないかご存じですか?
来島:お酒をよく知らないお客様に、酒の名前だけ並べても無意味だから。
佐々倉:それもありますが、メニューはお客様の心の中にあるからです。
来島:心の中?
佐々倉:たとえば同じウイスキー。常温ストレート、トゥワイスアップ、ロック、水割り、フロート、ミストと飲み方があり……入れる氷、水、ステアの仕方で味が変わります。そこに他の酒まで加えると……
来島:無限のメニューが生まれるわね。
佐々倉:その中からお客様の心を開き、今飲みたい一杯を探すのがバーテンダーの本当の仕事なんです。
最近、ロゴデザインをAIが作れるサービスというのが出てきて、AIクリエイターの人が「デザイナーは危機感を感じろ」ということを仰っていました。そのサービスというのはパーツを組み合わせ、サイズや色を調整し、ブランド名を入力すれば完成するというサービスです。言ってしまえば、デザインではなくカスタムです。バーテンダーと同じで、ロゴのデザインをする時も無限の考えがあり、用意されたパーツでは足りないほどのアイデアの幅を必要とします。将来的にAIがロゴを作れるようになるかもしれませんが、今はまだ使えるレベルではありません。今このサービスに食われてしまうデザイナーは、低価格でパーツを組んでカスタムしている人でしょう。
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努力しないで一流になったヤツだけは絶対にいない
努力すれば想いは叶うか……それは分かりませんよ。運もあれば、才能もあるでしょうから。ですが、確かなことがひとつだけあります。どんなに努力しても一流になれる保証はない。でも、努力しないで一流になったヤツだけは絶対にいない。
お笑い芸人であり世界的映画監督でもある北野武さんが「努力すれば叶う夢もある」と言っておられたそうですが、まさにこのことだと思います。運良く成功することはあるかもしれません。でも一流というのは一発当てただけでなれるものではありません。努力してもなれないかもしれない。でも努力してないと絶対になれないのが一流です。
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ラーメンを食ってるんじゃない。情報を食ってるんだ!
いいか?客はラーメンを食ってるんじゃない!!情報を食ってるんだ!”鮎の煮干し”っていうなッ!!
アイツらは自分の舌だけでは「うまいマズい」を判断できない。マスコミや
インターネットに載った裏付け情報があって初めてうまいと言う。それが高じると「あの店はうまい」っていう情報さえあれば、マズいラーメンでも、うまいと言うようになるんだよ!
美術館に行くと「作品よりもキャプションを見る時間の方が長い人」、または「キャプションしか見ていない人」いませんか。もちろんラーメンも美術品も情報があることで、良さを探そうとすることができるので有用なものではあります。
ですが、これほどまでに受け手は情報に左右されるので情報は重要ですし、出し方や出す内容は気をつけなければいけません。また、伝えたい情報は正しく伝わるように見せ方に気をつける必要があり、内容が良ければ読んでもらえるという過信もなくしましょう。
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プロは真に“旨いラーメン”を作るんだ。
確かにオマエは巧みに“上手いラーメン”を作ることはできる。だがプロは真に“旨いラーメン”を作るんだ。
スキルを学んで小手先で上手くデザインができるようになっても、それは真にデザインができるとは言えません。言葉でも「上手い言葉」と「感動する言葉」は別ですし、絵も「上手な絵」と「作品になる絵」は別です。お笑い芸人で言えば「上手いこと言う」と「面白い」は別ですよね。似てるようで非なるものです。この違いがアマチュアとプロフェッショナルの違いで、長く食べていけるかにも影響しているのだと思います。
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金の介在しない仕事は絶対に無責任なものになる
ほとんどのバイトは1時間あくせく働いて、ようやく千円前後の時給を貰える……。その大変さを知ってる人間なら、たとえ意気込みを表わす言葉にせよ、「タダでもいい」などと軽々しく口に出したりしない。そいつはロクに働いたこともない怠け者で、一時の気分で舞い上がっているだけだ。
「金を払う」とは、仕事に責任を負わせること、「金にを貰う」とは仕事に責任を負うことだ。金の介在しない仕事は絶対に無責任なものになる。
何年も前に一度、ブランドのロゴデザインを無料で受けたことがありました。しかしその方は半年も経たないうちにブランドを辞めてしまいました。当時なりに私は時間をかけて良いロゴに仕上げたつもりでしたが、日の目を浴びることはありませんでした。お金を払わずに依頼したいと思う人は、払う人と比べてビジネスの覚悟はないのでしょう。
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60円の卵を1500円のオムレツに変える事の出来る技術と情熱
全てはクリアン(お客様)を幸せに導くタメ……そのためなら面倒な手間も惜しまないのが“キュイジニエ(料理人)”デス。60円の卵を1500円のオムレツに変える事の出来る技術と情熱……それこそが我々の誇りなのデス。
クリエイティブな仕事をしていると、「原価なんて〇〇円くらいでしょ、なんでこんなに高いの?」ということを言う人を目にします。そもそも原材料以外にも制作の時間、制作にかかる電気代・ガス代・水道代、道具代、場所代、送料もかかることがあり、そのレベルになるまでの学びの時間とお金もかかっています。そしてアランが言うように、原価を作品に昇華させる技術と情熱を持っているのがクリエイターなのです。そんなに原価原価言うなら原材料そのまま売りつけるぞ、って思います。
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失敗やミスが進歩につながって行く事も事実ではないですかな
悠木さん、料理の歴史というのは失敗の連続なんです。その人間的なミスや偶然が、数多くの素晴らしい料理を生み出して来たんですよ。
たとえば、温め直そうとして油の中に入れて出来た『ジャガイモのスフレ』……一晩放置しておいてたまたま出来上がった『シチューのゼリー寄せ』……洞窟の中のチーズにカビが生えて発見された『ロックフォール』……リンゴの焼き菓子の『タルト・タタン』は、あわて者のタタン姉妹がオーブンで焼く途中で、うっかり型ごとひっくり返してしまった事から名前が付けられたんです。それに、あなたが作った『帆立貝のパイ包み』のパイ生地にしても菓子屋で働いていた画家が……ある日バターを混ぜ忘れて練り粉を作ってしまい、後から生地にバターをはさみ込んで焼いてみた事から誕生したんですよ。
確かにコンピューターは人間のようにバカな失敗やミスはしない。しかし、料理の世界に限らず失敗やミスが進歩につながって行く事も事実ではないですかな。
近年、コンピュータvs人間の構図が強くなってきていますよね。どうすればAIに仕事を奪われないか。クリエイティブの分野でもその影響は顕著です。“コンピュータと人間の違い”に関して脳科学者の茂木健一郎さんが書籍『FILING 混沌のマネジメント』の中の対談で面白い話をされていました。
織咲 コンピュータは不純物やノイズをまず受け付けませんがハプティックな情報は不純物やノイズの塊のような気がします。
茂木 これについては面白い話があります。いまこうしてコンピュータが動いているわけですが、そこに0.1%でもノイズが入ったらおシャカです。ところが脳は、あるシグナルの処理をしていると解釈できる活動は全体の30%で、あとの70%は普通の意味でのノイズなんです。コンピュータという人工機械の設計原理と、脳のそれとでは全く違う。むしろ脳はノイズが当たり前というか、勝手に何かをやっている状態が前提のマシンで、そのことと人間が創造的であるということには、恐らく深い関係があるんです。膨大なデータの中からあるキーワードを間違いなく検索してくるような作業では、脳はITに全く敵いません。反対に脳がITに絶対に勝てるのは、新しい意味のあるものを作り出すということで、ノイズが本質的な役割を果たしているんですね。
こういったことから、私はアイデア出しは必ず手描きで行います。以前noteに「パソコンでの思考 vs 手書きでの思考」という記事を書いたので、読んでみてください。
今後AIが進化すればミスを再現できるようになるかもしれません。しかし、ミスを狙って生み出せるとしても“AIにミスを期待すること”は少ないでしょうし、今はまだミスを面白いと思う感情は人間にしか分からないでしょう。
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●その他の漫画
話を聞かないで疑う、大人の悪い癖ですな
話を聞かないで疑う、大人の悪い癖ですな。
1997年5月2日放送の『クレヨンしんちゃん』の「こいのぼりの修理だゾ」からです。人が話す時、必ずその人の思考の偏りが出てしまいます。一方の話だけを聞いていては必ず意見は偏る。だから、雇用主と従業員、メーカーとユーザー、製作陣と視聴者、できるだけ両方の意見を聞かなければいけません。さまざまな境遇の人と話すとどれだけ思考の偏りが異なるかも見えてきます。だからアイデア出しは門外漢を入れた方が今までにないアイデアが出ます。
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すっかり忘れて戻ってまいりましたあーッ
荀彧文若!ついに、あらゆるものを見聞し、頭の中に天下をおさめて、しかも、それらをすっかり忘れて戻ってまいりましたあーッ!
曹操率いる魏軍の軍師、荀彧の名言です。これに対し、曹操は「よくぞ最高の状態で戻って来た!」と返しています。このセリフは「ありとあらゆる物事をインプット&それに囚われない柔軟な発想ができる状態」を表していると私は考えており、クリエイティブで良い言葉だなと思います。
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海を泳いでる最中には海の広さはわからん
本当に強いものとはどういうものかがわかるのは……本当に強い者になったときじゃ。狭ーい世界に生きとる今はわかりゃせん。海を泳いでる最中には海の広さはわからんよ。
客観的な視点を持つことって大切です。ずーっと作業をしっぱなしの状態は「海で泳いでいる」のと同じで、何が良いか悪いかが分からなくなることがあります。そういう時は思い切って作業を止めて、寝たり違うことをしたりすることで客観的な視点を作れます。
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●さいごに
いかがでしたか。私は「何をしていてもデザインをしている」と思っているので、色々とデザインに繋げてしまいますが、やはり一流になると、どのジャンルの人も同じことを言い始めますよね。先日、料理研究家の土井善晴さんのお話を聞きに行ったのですが、とても面白く、非常に勉強になりました。すべては繋がっているので、何に触れていても学びはあると思います。では。
他の言葉系noteは、こちら。
→ note「短い言葉で学ぶデザイン」
→ note「クリエイターのためのラーメンズ名言集」
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