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子供の時の経験が大人になっても体重に罪悪感を感じさせてしまう【DoctorTのスポーツ・エクササイズ医学】
こんにちはDoctorTです。かなり暖かくなってきましたがいかがお過ごしでしょうか。最近電車通勤をしていますが、昔より階段を使う人の数が増えたように思います。素晴らしい変化だと感じました。
今回は「大人になっても自分の体重をネガティブに捉えてしまう要因」についてLancetの記事を紹介します。
![](https://assets.st-note.com/img/1713517429385-jDezXV95US.png?width=1200)
https://www.thelancet.com/journals/lanepe/article/PIIS2666-7762(24)00061-9/fulltext?s=06 (結果の具体的数値はここでの説明が難しいため原文を参照してください。)
歪んだ体重の受け止め
みなさんは自分の体型をどう感じていますか?
ある程度の年令になるとそれほど気にならなくなりますが、思春期の頃はやせたい、ダイエットしなきゃといった思いに駆られたのではないでしょうか?
「やせ」が問題視されるようになり、ひと昔ほど体型を揶揄した言葉を聞くことは減りましたが、それでも「私は太い、もっとやせたい」という言葉を耳にすることは多々あります。
大人になっても自分の体重をネガティブに捉えてしまうIWS
今回の研究は31歳の時に「私は体重のせいで他のほとんどの人と比べて魅力がない」「自分の体重のために自分のことが嫌いだ」と答えた人とそうでない人の背景を調べています。これを英語でInternalized Weight Stigma (IWS)というのでここからはIWSと呼びます。
摂食障害以外にも精神的な負担になる
「自分は太っている」「自分の体は魅力的ではない」こういった思いは摂食障害だけではなく、自己肯定感などが下がり、摂食障害以外の心理的な問題の原因にもなります。病気の域に達していなくても、自信を持てずに生きていくのは辛いですよね。
生まれる前から31歳になるまでを追跡した調査
イギリスのブリストルという地域で1991−1992年に胎児だった(母が妊娠していた)子供たち全員を2022年の31歳になるまで追跡した調査です。途中で質問に答えないなど脱落した人はいるものの、その地域に生まれた全員を対象にしているので参加者の偏りが少なく、より一般的な結果と考えられます。
31歳で自分の体重に烙印を押してしまう要因
女性、性的マイノリティ、母の学歴が低い、自分に無職の期間があったことと、IWSを抱えていることは相関が高かったということです。これらは不可抗力な要素なので、事実として知っておくことは必要ですが、変えることはほぼ不可能です。リスクの考え方はこちら↓
いずれの年齢でもBMIが高かったこと(身長に対して体重が重かったこと)は31歳でIWSを抱えていることとはっきりとした関連がありました。やはり実際に体重が重かったひとは、31歳になってもIWSを持ってしまうことが多いということです。
体重をからかわれたり、体重を減らすようにというプレッシャー
注目したいのは上記に加え、13歳のときに家族やメディアから体重を減らすようなプレッシャーを感じたり、(体重以外の理由でも)嫌がらせを受けたりしたひともIWSを抱えていることが多かったことです。思春期での経験が20年後になっても体重を気にする原因になってしまうと言うことです。
肥満教育の仕方を考える
この調査の結果を「肥満についてコメントしてはいけない」と解釈するのではなく、健康のために運動する、よい食事を摂ることを促すことに焦点をあてようと理解するのがよいと思います。肥満は体に良くはなく、改善する必要があるのは変わりありません。
そして、体重が適正になった場合にはそれを本人に伝え、いつまでも自分の体重に罪悪感を感じないように、終止符を打ってあげることも大切です。
まとめ
歪んだ体重の捉え方は摂食障害以外にも精神的負荷になる
子供の時の生活環境が大人になっても体重の捉え方に影響を与える
家族からの体重に関する"からかい"や減量のプレッシャーも悪影響となる
肥満をどう解決するかに焦点を当ててサポートする
減量できたら本人とその事実を共有して将来罪悪感を感じ続けないようにする
今回は体重に関して、子供の頃の経験が大人になっても苦手意識を持ち続ける原因になる可能性があるという研究でした。これは運動にも当てはまるのではないでしょうか。
私が子供時代の体育の授業は、足が速いなどいわゆる運動神経の良し悪しに注目が行きすぎ、体を動かすこと自体が健康にいいというメッセージがかなり弱かった気がします。その結果、運動に苦手意識を持った子供たちは大人になっても運動を億劫と考え、動かなくなっているのかもしれません。
競争も必要ですが、それ以上に「体を動かすことが大事なんだ」と子どもの体育で教えることは大切だと思います。
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