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腰痛シリーズ①どこが痛い?どうすると痛い?【DoctorTのスポーツ・エクササイズ医学】

こんにちは!Doctor Tです。前回の投稿から随分時間があいてしまいましたが、いかがお過ごしでしょうか。私は、バスケットボールチームのチームドクターの仕事を始めました。慣れないことばかりで凹むこともありますが、頑張って新しいことに挑戦したいと思います。

ミシガン州Ann Arborに行ってきました。

さて、今回は腰痛についてです。

ある患者さんが「腰が痛いので3日ほど安静にしていました」と仰いました。「同じ状況なら私も同じようにする…」と思う人は少なくないはずです。しかし、多くの腰痛の場合、じっとしているより痛みのない範囲で普段どおりに動くほうが良いと医学的には考えられています。

「腰痛時は安静にすべき」という誤解が、腰痛をこじらせることもあるのではないかと思い、今回テーマに選びました。

痛みを長引かせると問題がこじれる

そもそも不快感、長引かせたくないですよね。そして長引かせることによって、最初に痛んだ場所以外が痛くなったり、キズは治っているのにそこの痛みを感じ続けたり、最初の問題以外を巻き込んでしまうこともわかっています。早い段階で適切に対応することが大切です。

*ただしこれは一般論なのであなたの主治医のアドバイスが最優先であることを忘れないでください。

「どこが痛いか」と「どうすると痛いか」を自分なりに探そう!

この2つを明らかにしてもらいたい理由は以下の通りです。

  • 自分の体に目を向ける・知る

  • 診断の重要なヒントになる

  • 痛い動作を避けられる

自分の体を知る

意外に私達は、自分の体のことに気づいていません。患者さんにストレッチの指導をしていると、自分の股関節の柔軟性が右と左でだいぶ違うことに驚かれることがよくあります。

痛い時も、なんとなく痛いで終わっていませんか?

でも、意識して痛い場所はどこか、どうしたら痛みが強くなるか、もしくは和らぐかを探してみましょう。冷静に分析すると新しい気付きがあると思います。

自分の体に目を向けるうちに、自分の腰痛の傾向がわかって、腰痛の予防ができたり、いざ痛くなっても焦らなくて済むかもしれません。これはとても大切なことなのです。

診断時の重要なヒントになる

痛いと一口に言っても、①痛みの場所、②性状や強さ、③どの動作で痛くなるかや楽になるか…などバリエーションがあります。それを総合して私達医者は腰痛の原因を探り、絞っています。患者さんからの情報頼みということです。情報が具体的であればあるほど、診断が正確になります!

CTやMRIは万能ではない

CTやMRIを撮りたいために受診される患者さんは少なくありません。しかし、これらも患者さんからの痛みの情報がないと正確な診断に至らないことがあります。

CTやMRIはじっとしている時の状況だけを見ているので、ある一定の動きで痛みが出るときにそれがキャッチできないことがあります。

もうひとつは、画面上の情報が多すぎてどれが痛みの原因の変化なのか絞るのが難しいのです。皆さんの顔が違うように、体の中の臓器の形も全く同じではなく、その違いが、必ずしも異常ではないことが多々あります。これは医師向けの情報(アメリカ家庭医療学会)でも強調されています。ここで「その違いが異常」か否かかの判断に患者さんからの痛みの情報がとても重要なのです。

Brunkner&Khan's Clinical Sports Medicine 5th edition, Vol1, Chapter 29
この変性を持つひとが必ずしも将来痛みを伴うとは限らないと書いてありました。

痛い動作を避けられる

痛い動作を把握しておけば、それだけを避けてその他は今まで通りに体を動かすことができます。これが腰痛の管理でとても大切です。

それは①収まりかけた炎症のスイッチをまた入れてしまうのを避ける②その他の元気な体の部位を弱らせてしまうことを避けるという理由からです。

収まりかけた炎症のスイッチをまた入れない

「痛い場所」を安静にさせることによって痛みの原因となっている炎症反応を落ち着かせることができます。その間に、痛い動きをするとせっかく落ち着いた炎症の反応をまた引き起こすことになってしまいます。

元気な部位が弱るのを防ぐ

痛い場所の安静は必要ですが、痛くない場所も同じように休めてしまうと、筋肉が弱り痩せてしまいます。そうすると痛みがなくなった時に体を今までのように動かせなくなってしまうことがあります。それを防ぐためにも安静にする部分は必要最小限にすることをおすすめします。

まとめ

  • 腰痛になったときの正しい対応が治りをよくする。

  • 痛みが長引くと問題がこじれる。

  • 痛い場所、痛い動作を自分なりに探す。

  • 腰痛の診断は患者さんからの情報頼み。

  • 痛い動作を避けて元気な部位は今まで通りに動かす。

痛みが長引くと、周りの神経や更には脳にも影響が出てきます。そうすると、ストレスや睡眠不足など、ケガした場所でないものがきっかけで痛みを感じたり、痛みを強く感じたりするのです。次回以降、そのことを話したいと思います。

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