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3月&4月見聞録 【読書編】 -2019-

映画編ライブ編とまとめ終え、ようやく読書編へ。
平成のうちにまとめ終えられてよかったぁ〜。


『82年生まれ、キム・ジヨン』 - チョ・ナムジュ

感想はすでに書いた通り。この本を読んでいる間ずっと、『21世紀の女の子』の山戸結希監督作品、「離ればなれの花々へ」が頭の中に浮かんでいた。21世紀に生きる私たち自身、まだまだ生きづらさを感じることがある。それでも、母や祖母、曽祖母の戦いがあったからこそ、私たちには生まれた時から享受している自由もあるのだ。


『彼女は頭が悪いから』 - 姫野カオルコ

実際の事件を下敷きに書かれた本小説。あらゆる「差」の呪いが引き起こした、かなしい事件だと思う。男/女とは、もしくは家柄のいいもの/そうでないものとは、日本の最高学府の学生/一般大学の学生とは「こうあるべき」、「こういうものである」という考え方が、目の前の人間を認知する時に歪みの装置として機能してしまうなんて、あまりにもつらい。

この記事もぜひ読んでほしいところ。


『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』/イ・ミンギョン

『キム・ジヨン』は問題提起の本、『私たちには〜』は問題解決のための実践本と呼ばれているが、その通りだと思う。セクシスト(性差別者)に直面した時、どのように受け答えをすべきかという指南書だ。ただ、それだけではない。この本は、私たちが見落としがちな、ある「前提」について明らかにしている。それは「話をするかどうかは自分が決めていい」、その上で、「話さなくていい」、「答えなくていい」ということだ。「受け答えをすること」より前にも選択肢があるということ。当たり前のようにも思えるけれど、「問われたら答えるべきだ」、「対面したら話さなければならない」と思い込んでいる人は多いのではないだろうか。私もそうだった。ハナから私たちと対話する気のない人たちに丁寧に応対し、一方的に傷を負う義務はない。案外、すべてのコミュニケーションに通づるところがあるだろう。


『ミカ!』 - 伊藤たかみ


中学生の頃に読んだのを最後に、久しぶりに読み返した。心の底からほっこりとした。日常に疲れた社会人にぜひ読んでもらいたい。


『ミカ×ミカ!』 -伊藤たかみ

『ミカ!』の続編。小学生だったミカと双子の兄・ユウスケが中学生に。思春期ならではの心の揺れがキュートに描かれている。こちらもぜひ。


『少女のスカートはよくゆれる』 - 岡藤真依

少女たちに訪れる、または襲いかかってくる、「性」にまつわるさまざまなこと。怒りも苦しみも戸惑いも、すべてが詰まっている。「よくこんなの描いてくれたなぁ」という気持ちでいっぱい。なかったことにされていることがちゃんと描かれているんだもん。これ、男の人が読んだらどんな気持ちになるんだろう。読んだ人がいたら、感想を知りたい。ちなみに1話だけお試し読みができます。ただ、性的なトラウマがある女の子にはおすすめできません。


『どうにかなりそう』 - 岡藤真依

こちらは思春期の少年少女の「恋」や「性」に対するモヤモヤについてのお話。どのお話にもちょっとずつ、「み、見覚えがある……」ともぞもぞしてしまう。思春期ってなんなんでしょうね、いま思い出しても、なんであんなにいちいちはずかしかったのか、逆にはずかしくなかったのか、よくわからない。ものすごく絶妙で複雑なバランスの上で成り立っていた時期だったんだなぁ、と思う。


『ヘルター・スケルター』 - 岡崎京子

岡崎京子の作品は、精神衛生がしっかりしている時でなければ読めない。痛みが伴うから。でもなぜか、ぐいぐい引き込まれてしまう魅力も持ち合わせている。整形でつくりあげられた「りりこ」の一生。壊れゆく様が壮絶だ。昔読んだ、百田尚樹の『モンスター』を思い出した。


『みんなでつくるAI時代 これからの教養としての「STEAM」』 - 伊藤恵理

たまたま著者の講義を聴く機会があって、理解を深めたいと思って買った。STEAMとは、S(Science:科学)、T(Technology:技術)、E(Engineering:工学)、A(Art:美術)、M(Mathematics:数学)の頭文字を取っている。AIが普及したこれからのコミュニケーションに必要な基礎教養のことだ。「これからは理系の時代。文系学科は役に立たない」なんてどっかのえらい人が言っていた気がするのだけれど、それは間違いだということがよくわかった。よかった、これまで学んできたことにはちゃんと意味がありそうだ。

すごいボリュームでまだ読めてない『センスメイキング』も、たぶん同じようなことについて書いてある。これ、5月中に読み終えられるかなぁ。


ちなみに現在は、恩田陸の『蜜蜂と遠雷』を読んでいます。文庫化するのをずっと待っていて、ようやく。まだ上巻の半分くらいまでしか到達していないけれど、おもしろすぎて、読み進めるのがもったいない気持ち。噛み締めながら読んでいます。おもしろい!と思える小説を読めるしあわせたるや……。


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