Spliceで、ネオソウル・R&B風トラックをつくってみた
こんにちは!Hello! Splice編集部のDTMおじさん、3104(サトシ)です。
今回はspliceから選んだトラックを組み合わせて、ネオソウル・R&B風のトラックをつくってみようとおもいます。
■STEP.1 メインループを見つける
最初にトラックの中心となる、全体の雰囲気を決めるループを見つけます。すべての楽器がはいっているループにしてしまうと、トラックを組み合わせていく楽しみがなくなるので、
・リズムのループ
・コードのループ
をバラバラに見つけてきて組み合わせるのがオススメです。
ネオソウル・R&Bというと、なんとなくBPM100前後のイメージなので、
Genres : funk
BPM : 90 – 110
Instruments : Drums
で、絞り込みます。プルダウンから選択していくだけで、リアルタイムで該当する音源・素材が絞り込まれます。上の条件だと、drumsだけでも5539個のループファイルがありました。
順番に聴くこと10分ほど・・・。Sample Magicが作った「Flipped Funk by 」から、ループを選びました。
FF_100_drum_loop_rich_full
レコードから抜き出したような、ファットすぎない70年代ソウル/ファンク風のリズムです。ボンゴも気持ちいいですね。BPMはきっちり100の4小節のループです。
次に、コード感のあるループを見つけます。ドラムやベースが基礎となる楽器としたら、その上にのっかるという意味で「上モノ」とも呼ばれますね。こちらも70年代ファンクにしちゃうとそのままになってしまうので、
・コード
ジャンル:R&B
BPM: 90 – 110
Audentity Recordsというトラックメーカーが作った「Lofi Funk x Rnb Vibes」というパックから、イントロっぽいループを選んでみました。
LFRV_wahwahkeyguitar_100BPM_C#Minor
アルペジオのコードとシンセサイザーのフレーズ、程よくレトロな空気感がいいですね。こちらもBPMは100。前半4小節と後半4小節でコードが少し違う8小節のループです。
☆TIPS〜おなじような雰囲気のループを探す2つの方法
・パック&作者から探す
「パック」というのは、同じトラックメーカーがつくったサンプルを文字通りパッケージしてひとつにまとめたものです。単発の「シングル」と「アルバム」みたいなものというと分かりやすいかもしれません。どれを組み合わせても相性がよく、1つの曲として成り立つのと「パック」単位での購入も可能です。おなじく、おなじ作者(トラックメーカー)から探すのもいい方法です。
上モノループと同じKey / BPMで楽器構成がちょっと違うループ
・Spliceのレコメンド機能をつかう
「People also viewed these packs」「Show Similar Sounds」というレコメンド機能はAIが似たような雰囲気、一緒にダウンロードされている素材をピックアップしてくれます。思わぬ出会いがあります。
■STEP.2 メインループをあわせてみる
リズムと上モノの2つのトラックをDAWに並べて再生します。
そして出来たのファイルがこれ。
・2つのトラックをミックス
どうでしょうか?まるでもともと1つの曲だったかのようにピッタリあってますね。別のトラックメーカーが作った素材を組み合わせて、新しいトラックができる瞬間が、Spliceの一番の刺激的なところだと思います。
■STEP.3 ドラムに抑揚をつける
次に、ドラムループをよりかっこよくしていきます。
・フィルインをいれる
フィルインとは4小節や8小節の区切りでドラムのパターンを変化させること。なんでか知らないですが「オカズ」とも呼ばれます。まずは、同じようなファンク系のループを検索し、もう少し派手な・手数の多いドラムループを探します。このときに上のTipsで紹介したレコメンド機能を使うのもオススメです。
Genres : funk
BPM : 指定なし
Instruments : Drums
THE_DIP_drum_loop_kissing_my_snare_03_246_85
見つかりました!ちょっと”ドカドカ”叩いてるかんじのハネてないドラムループ。BPMは少し遅い85です。
同じくDAW上で並べます。もし2つのループファイルのテンポが違う場合は、僕のつかっているLogic Proだと、「オーディオのリージョンを選択」→「テンポ」→「リージョンのテンポをプロジェクトテンポに適用」のコマンド一発で曲全体のBPMにあわせてファイルの長さをストレッチしてくれます。どのDAWでもコマンド1つで調整できるとおもいます。
・フィルターとディレイを掛ける
さらに基本となるループ(赤)の最後の1拍をカットして、新しいフィルインのループ(オレンジ)が入れ替わるようにいれてあげます。こうすることで、スムーズで印象のループができます。
・フィルイン完成!
逆再生音は「reverse」で検索、シンバルはROLAND TR-808の音がほしかったので「808 cymbal」で検索。あっという間に見つかりました。検索の精度、高いです!サウンド素材をつくっている人も、どのネーミングが分かりやすいか、ちゃんと理解してくれてますね。
・バックビートでグルーブ感をつける
さらにリズムの印象をかえるために、別のループを探します。
Genres : dub
BPM : 指定なし
Instruments : fx
Aquasonicaというループパック(水の中の音みたいな意味?)で、裏拍のみがなっているようなループを発見しました。
・隠し味のループ
裏でこっそり鳴っているループとして隠し味的にミックスしてみます。
■STEP.4 ソフトシンセでベースを足す
ここからはいわゆる「手弾き」。実際に楽器を演奏して録音していきます。
その前に、このループのコード進行を解析しておきます。ある程度、楽器の経験がないと難しいかもしれませんが、/ F#m9 / B7(13) / EM9 / C#m7 /の循環コードということにしておきます。splice上で表示されているキーは、短調(C#min)ですが、長調(Emaj・平行調)として解釈しています。アタマ拍を抜いた、際どいベースラインをのせてみます。
・ベース単体
・リズムと軽くミックスしたらこんなかんじ
低音が入るとそれっぽくなってきますねー。
■STEP.5 ギターを録音する
ソウルっぽいコードカッティングと単音のバッキングの2パートのエレキギターを追加してみます。Gibson / ES-175を引っ張りだしてきました。
ピックアップはフロント、軽く歪ませ甘めの音色。DAWのほうでエコーとフェイザーを掛けて、70年代ソウルっぽく加工します。ギターは9小節目から登場させます。
■STEP6 仕上げとミックスダウン
最後に全体でマスタリング代わりに軽くリミッターをかけて仕上げ。こんな感じになりました!
いかがでしょうか?
ソウル・R&Bの2つのループを組み合わせるところからスタートし、生楽器の演奏もあわせてトラックを作ってみました。
Spliceはサンプリング派だけでなく、MIDI打ち込み派・生演奏派にもオススメ。自分らしく、カッコいいトラックづくりにチャレンジしてみてください。