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dorobouneco
点滴の効果が一番もたらすもの
診療において点滴という治療はよく行います。
血管からの静脈点滴だったり、犬猫では頚部背側などの皮下に短時間で注射する皮下点滴という処置をする事が出来ます。
目的は脱水を補正したり、循環を維持することです。
腎不全や下痢や嘔吐などで水分が不足している場合は、とても効果的な治療だと思います。
また、動物が病気などの末期の症状になり、食べ物などを全く受け付けず、有効な処置も無くなった時に飼い主さん達がこの皮下点滴を希望されることがあります。
そして皮下点滴を実施するととても安心する飼い主さんが多いです。
しかし、静脈点滴を除く皮下点滴では、入れることが出来るのは水分、電解質およびビタミンなどで、十分なカロリーを入れることは出来ません。
以前の私は、少し動物の調子が良くなるとは言え、水分が補正されるだけで十分な栄養が補えるわけでもない皮下点滴しかできないことに後ろめたい気持ちがありました。
そんなある日、獣医系の雑誌を読んでいてこんな内容を見つけました。
『何も受け付けず食べなくなった動物に、皮下点滴という処置を実施することで、何かしてあげられたということが飼い主の心に安堵をもたらす』
病気で末期の状態で、もう難しいということは理解していてもやはり最後まで何かしてあげたいと思うもの。
その飼い主さんの前で実施する皮下点滴という行為は、何かしてあげることが出来たと感じる『飼い主さんの心』に効くのです。
人間側の自己満足になるかもしれませんが、飼い主側の気持ちの向上が末期の動物の心にも間接的に効くのではないかと思います。
それ以来、私は自信を持ってこの処置をすることが出来るようになりました。
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