6.実母の介護と他界とエリザベス・キューブラー=ロスと
その後、ある事件をキッカケに私も本人も、治療から介護へと気持ちを転換させた。区の援助もあり、保健婦、訪問看護婦、ヘルパー、かかりつけの医師による自宅介護の生活が始まった。
自分としては、どんなに疲れている時でも、なるべく、エネルギーを貯めて明るく接するように心がけた。
母は、末っ子で寂しがりやだった。それと同時にプライドの高い人だった。
「病気を治したい」という想いが断ち切られた時、その運命を受け入れて、余命をどうすれば、有意義に、穏やかに、そして安らかに過ごすことができるのだろう。
・何を支えに生きてゆくのか?
そんな母にかける言葉は、毎日、毎日、その日、その日を大切に生きてゆこう。
朝、目が覚めたら、あ~今日も一日生きられると、神様、仏様に感謝して暮らしてゆこう。
いくら健康な人でも、明日はどうなるかわからない。天災や事故に会うかもしれない。
大丈夫、次の世界は間違いなくあるのだから・・・。
しかし、 ・・・誰も母にはなれない・・・
残り少ない母のこの世での日々、そして’命’を考えていたら、その問いは、自分にも向けられていった。
何のために生きているのか?
1997年9月、母は、自宅で、眠るようにあの世に旅立っていった。介護にも力が入っていた矢先だった。プツリと糸が切れたように・・・・・・。
最後の10日間は、あまり感情の変化もなく、今思うには、あちらの世界とこちらの世界を行ったり、来たりしているようだった。
なるべく、迷惑がかからない様にと思ったのか、日を選び、時間を選び、最後まで気を使って旅立っていったように思えた。目に見えないものには敏感な人だったが、心から、身をゆだねようとはしなかった。
母が亡くなって、しばらくの間、自分のエネルギーの放出先が無くなってしまい、迷い子のような状態になってしまった。それでも、日々に流され、時間に追われ、時は流れていった。
しかし、
「何の為に生まれてきたのか」
「何の為に生きているのか」
の問いかけは、自分自身のしこりとなって、なおくすぶり続けていた。
1999年・記
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後述するかもしれませんが、忘れないうちに・・・・
エリザベス・キューブラー=ロス著の「死ぬ瞬間」という本があります。
キューブラー=ロスは200人の死にゆく患者との対話の中で「5つの死の受容のプロセス」があることを発見しました。
第1段階 「否認」
第2段階 「怒り」
第3段階 「取引」
第4段階 「抑うつ」
第5段階 「受容」
ただし、すべての患者が同様の経過をたどるわけではないとしています。
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下記の本もお奨めです。
下記のブログでは、この「ライフ・レッスン」がまとまっています。
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生涯を通じて「生と死」の考察したキューブラー・ロスによる自伝です。
スイスで過ごした少女時代、難民救済活動、ナチス強制収容所で出会った蝶の壁画の謎、医師への道、結婚とアメリカへの移住、終末期医療と死の科学への取り組み、夫との別離、体外離脱体験、詐欺及び殺人未遂被害、ヒーリングセンターの設立、放火によるすべての焼失…。魂の名医が綴った、愛と死と生の秘密。ページをめくるごとに、希望と感動が溢れてくる一冊。
著者について
エリザベス・キューブラー・ロス:1926年生まれ。医学博士、精神科医。ターミナルケア(終末期医療)、サナトロジー(死の科学)のパイオニアであり、その成果をまとめた『死ぬ瞬間』は世界的なロングセラーになった。人生と生きかたについて綴った『ライフ・レッスン』書店)も大きな話題を呼んでいる。