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J.S. バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調  BWV 971

さて、バッハ作曲の「イタリア協奏曲」は、もともとチェンバロで演奏する想定で書かれました。まずはその音と演奏をお聴き頂きたいのです。
演奏は、マルコ・メンコボーニさん。July 2019に演奏されたものです。


続いて、現代のピアノにて同曲を演奏したものをお聴きください。
演奏は、アンドラーシュ・シフさんです。

原題は『イタリア風コンチェルト(独語:Concerto nach Italienischem Gusto)』で、『クラヴィーア練習曲集第2巻』として1735年に出版されたものです。

ご説明するまでもなく、音の明瞭さ・透明感、音量の幅広さ、強弱の明瞭さ・・・どの角度からも鍵盤楽器の王として改良されてきたピアノに軍配を上げられるでしょう。

このピアノの進歩がモーツァルト以降の音楽を煌めかせ、支えていることは間違いないのです。

このピアノの進歩が、音楽に図り知れない影響を与えていることを証明する音楽を、もう一例、あげたいと思います。

J.S. バッハによる「チェンバロ協奏曲」と「ピアノ協奏曲」を聴き比べてみて頂きたく存じます。

チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV1052
チェンバロ:トレバー・ピノック
伴奏:イングリッシュ・コンサート そして、

ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 BWV1052
ピアノ:ポリーナ・オセチンスカヤ
伴奏:マリインスキー劇場管弦楽団(サンクトペテルブルグ)
収録:2015年 3月29日

ピアノ版の協奏曲の方が数段、バッハの思考を強く表現していることに、
ご異論はないかと存じます。

J.S. バッハが、書き残してくれた音楽を、当時の楽器そのままに演奏すると
バッハの思考・表現を必ずしも明瞭に率直に表現してくれるとは思えないのです。

ご紹介したピアニスト、ポリーナ・オセチンスカヤさんは、次のように
語っておられます。
「現代音楽は単に伝統的な音楽の延長ではない。
「何十年にもわたる盲目的、機械的、魂がなくなってしまった演奏により、失われた伝統的な音楽のアイデアや美しさを、再発見することが重要なのです」と。
(出典:https://dukesoftware.appspot.com/pianist/Polina_Osetinskaya/#:~:text=Polina%20Osetinskaya%20(%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%82%BB%E3%83%81%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%A4)%E3%80%82,%E3%83%A2%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AF%E5%87%BA%E8%BA%AB%E3%80%82

現代は、従って、J.S. バッハが残してくれた遺産を再発見している時代なのだ、と仰っているのです。

ということで、バッハが残してくれた素晴らしい遺産のご案内を続けます。

⇒ J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846‐BWV869 へ
  お進みください。


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