「冬の朝」
朝つゆが光る冬の朝
まだやかんは湧いていない
ストーブの上で焼く餅が朝食
あっという間に膨れてく餅
まだ寝ている
ふくれた顔とふくらんだ餅がそっくりだ
片方の靴下が見当たらない
脱ぎっぱなしの
酔いも覚めぬまま
手づかみで餅をひっくり返す
猫の手じゃなくて良かった
指先は指紋が消えかかっている
手を軽く払ってから
ギターを弾いた
まだ寝ている りんごのホッペ
今度はニタリと笑ってる
何の夢をみているんだろう
台所から醤油の小瓶を持ってきて小皿に少し垂らす
窓に日差しが延びてきた
もう朝だというのに
あの子はまだ寝てる