〔憲法コラム4〕報道の自由
21条1項が保障する表現の自由とは、本来的には特定の思想を表明する自由を念頭に置いたものであるが、報道は思想ではなく事実を知らせるものである。
そのため、報道の自由も表現の自由としての保障を受けるのかが問題となる。
〈論点1〉報道の自由は21条1項の表現の自由の保障に含まれるか。
A説(肯定説 判例・通説)
結論:報道の自由は、表現の自由の保障に含まれる。
理由:①報道のためには報道内容の編集という知的な作業が行われる。そして、報道機関の報道は、国民の知る権利に奉仕するものとして重要な意義をもつ。
②事実の伝達と思想・意見の伝達を厳密には区別できない。
[重要判例]
博多駅テレビフィルム提出命令事件(最大判昭44.11.26)百選Ⅰ(第7版)[73]
「報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の『知る権利』に奉仕するものである。したがって、思想の表明の自由とならんで、事実の報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の保障のもとにあることはいうまでもない」として報道の自由を認めた。