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コロナでしょうがないから・・をポジティブな言い訳にして変革する/高橋浩一さん(TORiX株式会社 代表取締役)

高橋浩一さん プロフィール

TORiX株式会社代表取締役CEO
東京大学経済学部卒業。ジェミニ・コンサルティング(後にブーズ・アンド・カンパニーと経営統合)を経て25歳で起業、企業研修のアルー株式会社に創業参画(取締役副社長に就任)。 商品なし・実績なしの状態から、業界トップレベルの受注率で自ら従業員1000名以上の大企業を50件以上、新規開拓。 その後、創業者が自分で営業するだけでは組織の成長が伸び悩むという課題に直面し、「営業経験なし」「社会人経験なし」のメンバーが毎年入社してくる中で、経営メンバーが現場に行かずとも、自律的にPDCAが回る組織体制と仕組みを構築。売上・利益とも大きく向上させ、3名でスタートした会社は6年で70名規模に。同社上場への成長プロセスにあたり、事業と組織の基盤を作り上げる。
2011年にTORiX株式会社を設立し、代表取締役に就任。 これまで、上場企業を中心に50業種3万人以上の営業強化を支援。行動変容を促す構造的アプローチに基づき、年間200本の研修、800件のコンサルティングを実施。8年間、自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%を誇る。
2019年10月、『無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」』を出版 (発売半年で4万部)。

Twitter
https://twitter.com/takahashikoichi

(豊田)
こんにちは!スパイスアップ・ジャパン代表の豊田圭一です。

「人事」のHRと「トランスフォーメーション」のXを掛け合わせて「HR-X」と名付けた当番組は、「トランスフォーメーション人材で組織を変革する」をスローガンに、「人事」と「トランスフォーメーション」、つまり「変革」というキーワードで様々な取り組みをしているゲストをお迎えしてお話を伺っていきたいと思います。
今回のゲスト「Mr.X」には、TORiX株式会社(トリックス)の代表取締役、高橋浩一さんをお迎えしました。こんにちは!

(高橋さん)
こんにちは!

(豊田)
僕にとって高橋さんといえば、大手人材育成会社アルーの創業メンバーでもあり、そしてなんと言っても昨年出版した「無敗営業」が4万部を超えるベストセラーになってまだまだ売れてる!というのもあるんですが、それ以外にもレインボータウンFMのパーソナリティ仲間というラジオ番組での繋がりとか、漫画事業を一緒にやりましょうよ!という面白い関係もあります。
そんな高橋さんをお呼びしたのですが、まずは自己紹介をお願いできますか?

変革しようとしている組織のサポート

(高橋さん)
TORiX株式会社の高橋と申します。今日はありがとうございます。
今は主に営業組織の人たちを対象に研修とかコンサルティングをやっておりまして、そこから「人と組織の成長を科学する」というコンセプトで組織変革のお手伝いをメインにやっております。
あとは、本を書いたり講演をしたりとかもそうなんですが、先ほど豊田さんが仰った漫画とか活動の幅を個人的に広げていきたいなと思っていて、オンラインサロンなんかも始めました。

(豊田)
本当に幅広いね、活動が。。
僕も色々やっているから、何を持って幅広いっていうか分からないけど、本当色々なことをやっているなと思いますが、仰っていたコロナの影響ということがありましたけど、今、企業とか社会あるいは個人も色々な影響受けていると思うんです。高橋さんの会社はどんな仕事が多いですか?

(高橋さん)
そうですね、営業組織ってコロナの影響でものすごく変わって、お客さんに会いにいけないじゃないですか。
まず組織全員が今までの前提が通用しないので変革を迫られていて、あと研修をやっているとコロナの影響で集合研修がでほぼ難しくなったり、かなり制限を迫られたりというところがあって、自分の会社もやり方を変えなくちゃいけないですし、お客さんの会社もやることを変えなくちゃいけないということなので、関係者全員、今までとガラッと変えなくちゃいけないという中で、どうやって事業とか組織を作っていきましょうか?ということをお客さんとやっています。

(豊田)
具体的にはそれってどういうことをやっているんですか?

(高橋さん)
例えばですね、営業周りの組織だとマーケティングの部分、営業の人がどうやって訪問するかなど色々なプロセスがあるのですが、まずそれを総見直しします。
今まではお客さんと対面で会ってナンボという人たちが大半を占めているので、デジタルとかDX(デジタル・トランスフォーメーション)って世の中でものすごく言われているじゃないですか。
なんかよく分からないけどデジタル化しなくちゃいけないんじゃないかとか、DXの波に飲み込まれようとしているけども、当事者の方々は割と今まで通りの考え方を続けたいという人が多かったりしてます。

(豊田)
たしかに今、多いですよね。
僕、1月から3月にかけて海外を飛び回りながら、日本が大変で海外が大変でない時期もあれば、帰国したら海外の方がドーンと感染が広がって、日本は意外と緩やかだったり、もちろん自宅待機や外出規制ということはありましたけど。とはいえ、緩やかだったりしている中で、いつになったら元に戻りますかね?とか早く終息(収束)して欲しいですね、早くリアルで会いたいですと、そんな言葉ばかりが飛び交っていて。。
会社としてこういう状況だから困ったねと言いながら思考が止まってる。思考が止まると同時に行動も止まっているという風に見受けられて、僕の会社も高橋さんの会社と同じように研修が主体なので、集合型研修が駄目になった、海外研修は尚のこと駄目になった中でどうしていこうか?って、ほんと変革していかなきゃいけないっていう風に考えて行動、考えて行動ってやっていたのですが、多くの方が思考停止していたり、行動停止していると思ったんですよね。
それで本を書いたりしたのですが、高橋さんが仰っていた、今までのやり方をなかなか変えられない人を変えようとするにはどういうアプローチをすればいいのでしょうか?

思い込みとズレ

(高橋さん)
そうですね、僕がいつもやっているアプローチは「思い込み」の存在をハッキリさせるというものがありまして、本でも書いているのは、例えば、今までは営業はキャラクターとかコミュニケーション力、関係性などで決まると思われていたのですけど、実はお客さんと営業のズレということをちゃんと注目してみました。
そのズレを起こさないようにするということをしたら、キャラクターとかコミュニケーションとか色々なスタイルがあっても良くてですね、あとは上司と部下というのも上司がこういう風にしないと売れないみたいに思っているのは、実は事実を見ていくと「そうでなくても売れますよね」と、みたいな思い込みの存在をどうやって組織の中でテーブルの上に上げるかということは一番大事かなと思っています。

(豊田)
本にも「思い込みとズレ」ということが書いてあって、あれ、僕も実はグサっと刺さりました。
僕はどちらかといえばキャラで攻めてしまうところがあるから、高橋さんの本には分析って書いてあって、営業もお客様が本当に求めていることは何なのかを分析して改善していくという風に言っていましたが、僕出来ていないなと思ったんですよ。

(高橋さん)
僕は豊田さんのキャラクターと対極で、豊田さんは明るく太陽みたいな感じの存在で僕としてはそういう人ってすごく羨ましいです。
僕はどちらかといえば、コミュニケーションが極端に苦手で、人と喋るのが上手くいかないところからスタートしてますので、そういうことが苦手な中でもどうやって営業していくか。
ある意味、対極の世界に追い込まれて、そこから必死にやっているうちに自然と行き着いたっていう感じなんですよね。

(豊田)
人見知りがどうやって無敗営業になったのかという話があったじゃないですか。それで、8年連続コンペで負けなしっていうのはすごいなと思っていました。
本を読みながら思ったのが僕も昔、人見知りだったんですよ。

(高橋さん)
そうなんですか?

(豊田)
誰しもが、「いやいやいや・・」って言うのですが。

(高橋さん)
いやいやいやって絶対言うと思いますよ。

(豊田)
一番最初に本を出したのが30代後半だったのですが、その時に講演を頼まれてやる時に嫌だなと思って、一番最初の講演でいただく講演料で、話し方教室に通ったぐらいなんです。それぐらい話すのが苦手で、人見知りだったんです。
でも、人って変われるんですね。

(高橋さん)
人って変われるというのは僕も賛同するところで、変わった後だと振り返ればっていうのはありますけど、その手前のところはこういうことが苦手だから、こういうことはできないんじゃないかということが結構あると思うですよ。
ただ意外とやってみるといけちゃうというのが、豊田さんのラテンマインドの本が大好きなんですけど(笑)

(豊田)
ありがとうございます!

(高橋さん)
「やってみたらなんとかなる」っていうのはすごく大事だなと思うので、さっきの思い込みっていうのも別にかしこまって頭で考えてアプローチする訳ではなくて、やってみたら実はいけちゃうじゃないですか!ってことなんですよね。
典型的にやるのが、営業の方はお客さんに対してこれ以上聞いたら怒っちゃうんじゃないか?とか、こんなこと聞いていいのかな?という思い込みがあるのですが、それを外す練習みたいなことをやるんですよ。
どれだけ聞いても良い商談だったよとか、そんなに聞いてくれて寧ろ嬉しかったよと、営業の人ってそういう思い込みや固定観念があるので、一旦外すといきなりパワーアップしてくるんですよ。
ちなみにうちの会社のロゴって箱から竜巻が出ているような感じでして。

(豊田)
トルネードのね!

(高橋さん)
蓋が外れると、可能性が解放されるようなことはあります。

(豊田)
僕、結構聞きたいことを聞いちゃうタイプだと思っているんですけど、それでもその僕がこの本を読んで、そこまで聞くんだ!?とか、そういうこと聞けるんだ!?とかって、僕も思い込みが完全にあったと思いましたね。

(高橋さん)
人って絶対ありますよね。
僕自身もすごいありますし、思い込みが自分にあるんだと客観的に見られているか、思い込みの中にハマって塞がっちゃっているかの違いだと思っています。

思い込みのはずし方

(豊田)
ここでは変革をキーワードにしているのですが、どうやったら変革するための一歩が踏み出せるかというところで、チャレンジしても良い雰囲気があるとか、心理的安全性とか色々な言い方やアプローチがあるかと思うのですが、「思い込みとズレ」というのはすごく面白い言い方だなと思いました。今、聞いててもたしかにそうだなと思いましたし、思い込みで組織はこうあるべき、人はこうあるべき、もっと言えば25歳なんだからこうあるべき、30歳になったんだからこうあるべき、課長なんだから、部長なんだから、事業部長なんだからっていってすべての人に思い込みがあるじゃないですか。
或いは、もう大人なんだから、親なんだからとか、そういうのを外すということはすごく分かるんだけど、どうやって外すのかな?っていうときには営業に関しては先ほど仰っていただいたように練習をして外していくことだと思うのですが、他にもキーワードや外し方はあるんですか?

(高橋さん)
組織でいうと「キッカケと環境」が大事だと思っていて、最近だとDXとかデジタル化という文脈で営業組織もデジタルでやりましょうっていうことがあるのですが、そこでSFA(セールスフォースオートメーション)という営業支援システムを導入するプロジェクトがあるのですが、システムってすごく便利なので最初に皆さんやるのは色々なことを細かく見えるようにするのですが、粗を探すように細かく細かく作るんですね。
なんですけど、そのシステムはメンバーの人を監視するためのツールではなくて褒めるためのツールなんです。そのように置き換えると、実はこういう風に使った方がいいんじゃないですかと。
だけど、そもそもキッカケは、例えばなんですけど、褒めたくない人に褒めましょうっていっても言うこと聞かないけど、実はこれは組織にポジティブなコミュニケーションを増やすツールなんです!ってキッカケを作って、あとはそれに合わせて色々なことを変えていきましょうという風にすると、なし崩し的に色々なことをついでにみたいな感じでやれちゃうのかなって思っています。

(豊田)
実際にそれは機能しますか?

(高橋さん)
そうですね、やっぱりコミュニケーションを増やしていくときにはもちろん導入するときの注意点はあるのですが、それをキッカケに手段が目的化することだけにはすごく気を付けています。
きっちりこれを運用しましょうとかにならないように。

(豊田)
そうですね、研修のための研修だとかですね。

(高橋さん)
そうそうそう。
今日の分、入力したの?みたいなことではなくて、褒めるためのツールなんですってことで、とにかく手段が目的化しないようにしていくと自然と良い方向に向かっていくなっていうのはあって、キッカケは大きな出来事があったり環境があったりということで、今はすごいやりやすいタイミングだと思いますけどね。

(豊田)
だから今、コロナは大きなネガティブなインパクトを与えていると思うんですね。行動が制限されるとかいままで出来ていたことができないとかあると思うのですが、一方で大きなポジティブな要素もあって、今こういう状況だからこそ変えられること。
それこそ通勤するものだという思い込みがなくなる訳じゃないですか。通勤しなくても成果を出すためにはどうしたら良いのかっていう考えることで、通勤することがゴールではないですよね。
お客様に何か貢献するとか、成果を上げる、或いは売り上げを上げる、社会に良い影響を与えるとか、それらがゴールであって通勤することがゴールではないと。
そこのゴールに向かっていくためには通勤しなくてもできるんだ、じゃあどうやってやろう?って出てくると思うので、思い込みがはずれる外部環境ができつつあるんじゃないかなって、コロナに関しては思いますよね。

(高橋さん)
そうですね。ある意味人も組織もそうなんですけど、ポジティブな言い訳を作ることが大事だと思っています。

(豊田)
ポジティブな言い訳??

(高橋さん)
僕5月からTwitterをすごい頑張ってるのですが、5月時点でフォロワーが2,500人くらいだったのがいまは8,300人くらいになっていたり、あとはオンラインサロンを7月から始めたのですが、元々BtoCの世界に苦手意識があったのですが、コロナだからとにかく個人としての情報発信やるしかないかみたいな言い訳を作って、思い切って飛び込んでみたということがあったんですね。
ポジティブな言い訳にして、今までやってみなかったことに踏み出すキッカケにする。
そこに豊田さんの言うラテンマインドが付け加われば尚良くなるのではないかと思っています。

(豊田)
ありがとうございます、そこに関連付けていただいて。笑
それ、すごく重要ですね、人を行動に駆り立てるのは「欲望と必然」しかないといつも思っていて、すごくやりたいってアクティブな人たちは勝手に行動していくんだけど、なかなか行動できない人たちはやっぱり必然をどこかで作るしかないかなと思っています。
ただ、コロナによって行かなくてもなんとかしなければいけないとか、会わなくてもなんとかしないといけない、それでも稼がなきゃいけないとかそういう必然が本当に生まれたのは人を行動させる大きなキッカケになっているから、これを立ち止まるのではなくてこの良い状況を活用して、組織も個人も変革していくのかというところが、今のある意味良い時期なのかなという風には思っています。
今日話を聞いて、すごく勉強になったのはやっぱり高橋さんすごく分析するし、ゴールのために何をすればいいのかをちゃんと考えるなんて、いつも僕は勢いだけでやっていたなと反省ポイントになりそうですね。

(高橋さん)
でも、僕も自分の行動に関しては結構勢いで、先ほどのTwitterもオンラインサロンもとりあえずやるって決めちゃって、そこからもうやるしかないかみたいな感じになり、だいたい僕の行動のキッカケって全部そうなんですよね。

変革のキッカケ

(豊田)
他人を変革していくとなったときに、高橋さん自身は飛び込んじゃうところがあるけれども、人に対してもっと変わろうよとか、直接は言わないだろうけど、変わるキッカケってどういう風に与えられたらいいか、延いては企業の変革に繋がるという意味ではどんなアプローチがありますか?

(高橋さん)
そうですね、さっき言ったポジティブな言い訳は、「コロナでしょうがないから」という枕詞を付けて、とにかく今までないことをどんどんやっちゃおうということが一番だと思います。
そのうち元に戻るとなると、それだと逆行してしまいますよね。
どうせコロナだから今まで通りだと良い未来がある訳ではないから、もっとやり方を変えていこうよって明るく変わる言い訳を作ってあげるということが一番かなと個人的には思いますね。

(豊田)
すごく楽しい話をありがとうございました。

もしどこかでチャンスがあれば高橋さんの講演の最後にラテンマインドって話で入っていきたいくらいな気持ちがしましたが、今、本当に変わらなきゃっていう状況や環境がある中で、やっぱりせっかくだったら自分たちの組織を良いものにしたいし、個人としても良い人生、キャリアを歩んでいきたいからそこで変わっていくということは必要かなと思う中で高橋さんの話はキーワードがたくさん出てきたなという気がしました。

本当にどうもありがとうございました。短い時間でしたけれども、かなり示唆に富む話で学びがあったと思います。また仕事でもぜひ、仕事だけじゃないな、ラジオでもなんかでも絡んでいきたいと思います。
今日はありがとうございました。

(高橋さん)
ありがとうございます。

豊田圭一(株式会社スパイスアップ・ジャパン 代表取締役)
上智大学経済学部を卒業後、清水建設に入社。海外事業部での約3年間の勤務を経て、留学コンサルティング事業で起業。15年以上にわたり、留学コンサルタントとして留学・海外インターンシップ事業に携わる。
その他、複数の起業を経て、現在は日本を含めた8ヶ国で、グローバル人材育成を中心に様々な事業を行っている。
2018年、スペインの大学院 IE でリーダーシップのエグゼクティブ修士号を取得。
著書は『とにかくすぐやる人の考え方・仕事のやり方』『引きずらない人は知っている打たれ強くなる思考術』など全17冊。
早稲田大学トランスナショナルHRM研究所の招聘研究員、内閣府認証NPO留学協会の副理事長も務める。

豊田が2020年6月に出した『ニューノーマル時代の適者生存』

株式会社スパイスアップ・ジャパン
 公式ウェブサイト https://spiceup.jp/
 公式フェイスブック https://www.facebook.com/SpiceUpJP/

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