変革に対応できる脳、できない脳/加藤健太さん(WS PARTNERS Managing Director)
加藤健太さん プロフィール
WS PARTNERS PTE LTD Managing Director
「人・組織の可能性の最大化」を自身のミッションとして、キャリアを歩む。大学卒業後、(株)リクルートスタッフィングに入社し、中小企業から大企業の顧客に対する営業に従事。入社3年目には全社2000名の中で最優秀賞を受賞。
また、リクルートグループ新規事業コンテスト(New Ring)にて準グランプリを受賞し日本初となる「精神障がい者の紹介事業」の事業企画、立ち上げ、拡大に貢献。その後、研修・人事コンサルティング会社である(株)ウィルシードにて、日本国内の大企業に対する人材・組織開発のコンサルタントとして、尽力。現在はWS PARTNERS PTE LTD(シンガポール本社)のManaging DirectorとしてASEAN日系企業の現地化、ローカル社員の自立化に向けた支援を中心に行う。
(四方)
こんにちは!スパイスアップ・シンガポールの四方健太郎です。
「人事」のHRと「トランスフォーメーション」のXを掛け合わせて「HR-X」と名付けた当番組は、「トランスフォーメーション人材で組織を変革する」をスローガンに、「人事」と「トランスフォーメーション」、つまり「変革」というキーワードで様々な取り組みをしているゲストをお迎えしてお話を伺っていきたいと思います。
今回のゲスト「Mr.X」には、シンガポールに居ながら、ASEANの日系企業を中心に現地人材の育成や駐在員の現地適応、組織や人材上の問題解決をするWS PARTNERS社の加藤健太さんをお迎えしました!
加藤さん、こんにちは!
(加藤さん)
こんにちは!
よろしくお願いします。
(四方)
よろしくお願いします。
加藤さんとは、ひょんなきっかけで街角のカフェでお会いしてからググッと仲良くなって、お互いHRの仕事をしてることもありますが、僕は神奈川県鎌倉市で、加藤さんは東京都新宿区で地域リーグ・都道府県リーグのサッカーチームの運営をしていたり、すごい共通点があって会った日も同じポロシャツを来ていたり。
(加藤さん)
今日もそのポロシャツで来ています!
(四方)
本当だ!
それから健太と健太郎と名前が似てたりで距離が近くなり、せっかくなので動画で対談しようよ!ということで今回機会をいただいたのですが、改めて自己紹介をお願いできますか?
(加藤さん)
はい、四方さんの方からご紹介いただきました、WS PARTNERSの加藤健太と申します。
よろしくお願いします。
WS PARTNERSという会社自体は、シンガポール中心にアセアンのインドネシア、タイ、マレーシア、ベトナムの国で日系企業様にいらっしゃる日本人駐在員の方、もしくは現地マネージャー、スタッフの人材育成と組織開発を支援させていただいております。
私は2017年にシンガポールに赴任して参りまして、そこから今回のテーマである「変革」=日系企業の現地化みたいなところをご支援しながら今に至るという形でございまして、今日はその辺りのテーマでお話を進められたらなと思っておりますので、ぜひよろしくお願いします。
(四方)
はい、よろしくお願いします。
早速、本題に入っていきたいと思うのですけど、まさに変革≒日系企業の現地化というところを支援する事業をされているんですけど、言ってみれば今はコロナ禍ですけど、コロナ禍の前からも現地化、現地化なんて話はキーワードとしてあったかと思うんですよね。
変革をしなきゃいけない状況というのは、ずっと言われている中で、そもそも現地化しづらい要因はどんなところがあるんでしょうか?
日系企業が「現地化」しづらい要因は?
(加藤さん)
そうですね、私もずっとこちらに居ながら色々考えてきたのですが、一番大きなところは、駐在員の方たちの駐在歴がだいたい3年から5年とかなり短スパンで回っていくので、一貫した組織体制が作りづらいというのが構造的な問題であるかなと思っています。
そもそも現地化ってどういう状態なのかという定義が必要だとは思うんですが、それはちょっと置いておいて、現地化するということは日本人が持っている知見や考え方をどうローカルメンバーに受け渡ししながら、日本とローカルそれぞれの良さを活かしながら組織を経営していくことだと思うんですけど、言葉の壁もそうですし、やっぱり認識の壁や価値観の違いですとか、そういったところからお互いに踏み込んだやり取りができないと言うところで、持っている知見がローカルの人へ伝搬していかないというところは非常にあるんじゃないかなと今すごい感じるところではありますね。
(四方)
なるほど。
加藤さんのお話の中で日本人駐在員の現地化が必要なんじゃないかって仰っていて、駐在員の現地化??って思ったんですけど、これどういうことなんですか?
日本人駐在員の「現地化」が必要!?
(加藤さん)
現地化というとローカルの方の能力を伸ばすことが一番最初に言われることなんですけど、そもそも先ほど申し上げたローカルの方の能力を伸ばすということは、日本人が持っている知見とか考え方を受け渡していかないといけないので、日本人駐在員とローカルメンバーが受け渡しできる関係性を築けているのか、つまり同じ釜の飯を食べるみたいな話なんですけど、駐在員の方がこちらに来て、こちらの人たちに馴染んで腹を割って話ができるという、いかに関係の質を高めることをちゃんと意図してやれている企業もしくはメンバーがどれだけいるかというと、なかなか少ないなという感じがしていて、経営の現地化の一丁目一番地はもしかしたら日本人の現地化になるんじゃないかなと思っているところがございます。
(四方)
たしかに自分自身も含めて戒めなんですが、日本人だと日本人同士で仲良くなってそこから出ていかないので、現地の人と腹を割って話せる関係は作れないと思ったりもするんですけど、駐在して最初の3ヶ月くらいをどう過ごすかってすごくキーポイントかなと体感値としてあるんですけど、その辺りは何かありますか?
(加藤さん)
そうですね、いかに自分が現地に馴染んでいくかということですね。
これは組織適応とか組織社会化なんて言い方もしますけど、英語でいうとOn boardingなんですね。
やっぱりこのOn boardingをいかにうまくするかということが1つ大きなポイントかなと思っていまして、最初の3ヶ月っていうとアメリカなんかでは、First 90 daysとよく言われるんですが、例えばアメリカの経営者の方たちは経営者という職で色々な会社に転職していくという中で、最初の3ヶ月でいかに自分色に染めるための下準備をちゃんとするかみたいなことが非常に求められるので、同じことが日本から駐在で現地に来て、自分色に染めるというか自分の考え方や現地化に向けた重要なポイントをちゃんと落とし込んで浸透させていくという中での土台となる関係性作りがちゃんとできているかどうか、なかなか意図している企業や人が少ないなと思います。
(四方)
僕が体感的に3ヶ月くらいって言ったのもあながち間違ってないんですね。
この辺りを先ほどのOn boardingのところを支援できるかっていうのも貴社としてもサポートしているということですね。
(加藤さん)
そうですね、そこもサポートしています。
(四方)
あと自分の体感値という中でいうと、僕ら自身も思うところではあるのですが、海外に身を置いてみると、日本にいる時よりも組織としてよりも個人としてのキャリア観、人生観を見直すケースが僕も含めて加藤さんもそうかもしれないですが、そういうのがある気がするんですけどなんでそういうことが起きやすいんですか?
海外では自分のキャリア観を見直せる良い機会
(加藤さん)
いくつかポイントがあると思うんですけど、仕事でいうと役割が大きく変わるということが挙げられますよね。
特に駐在の方で多いケースでいうと、自分が元々いたポジションの1個上、2個上のポジションに上がり、プレーヤーだった方が課長や部長として、部長だった方は社長として来るなんていうケースは、そもそもポジションが変わるので自分自身の責任と権限の幅が変わっていくなという感じがあって、そういった変化の時やパフォーマンスが発揮できない時期が出てくるので、そうすると自分のこれからのキャリアどうしようと目を向けやすいというのが1つあるかなと思います。
2つ目はですね、四方さんがそうかもしれないですが、日本にいる時って自社の方とのコミュニケーションの方が多くなりやすいというところです。
例えば、1万人規模の会社に所属していると社内完結での仕事ができるんですけど、こっちに来ると色々な出会いが必然的にあって、そこで色々な業界、色々な年代、色々な国籍の方と出会うという中で色々な刺激があるので、そういう意味でキャリアのことを考えるのかなというのはやっぱりありますね。
あとは家族含めたライフなんですけど、日本にいる時は仕事をしてればいいというところが私もあったんですけど、家族、プライベート、自己啓発など統合的にうまく考えながら過ごしていかないと、仕事自体が破綻していくみたいなところもあると思います。
(四方)
同じ会社の人たちとずっと一緒にいて、ずっと同じ役割でレールに乗っかって、人生をした気になるっていうんですかね、ただただ乗っかっているだけというところから、色々な人たちがいて、自分の考えで動いていかないといけない状況で、脳みそに刺激があるというかいつもと違う脳を使っている感覚が僕にはありますね。
(加藤さん)
たしかにそれはありますよね。
先ほど申し上げた、ポジションが変わるみたいなところでいうと必然的に意思決定せざるを得ないポジションに上がっていくなという感覚があるので、この状況の中で何をしていかないといけないんだみたいなところを自分なりに考えて、それをローカルの方に落とすとか必然的に出てくるので、やっぱりその辺はあるかなと思いますね。
(四方)
今、脳って話しましたけど、筋肉と言いますか新しい脳みそを使っていくってところは僕は結構キーワードかなと思っていて、変革というテーマでって言っていますけど、これが変革に対応できる人になるのか、そうじゃないのかというところで、何かこの辺ありますか?
変革に対応できる脳、できない脳
(加藤さん)
そうですね、まさに私もそこは非常に高い問題意識と思っていまして、結局変化できない、変革できない状態って何かと常に同じ部位の脳みそしか使ってないという話ですよね。
なので脳神経が活性化されないというか、脳を使わずにやれてしまっているんですね。
ただ一方で新しいことやると、脳神経の部分とあとは不安なところに飛び込んでいくという扁桃体の不安感がパッと発動した瞬間にそれを乗り越えようというメンタリティを持つみたいなところも含めてだと思うんですけど、やっぱりそういう癖というか日々の生活の中でちょっと違うことをやって、脳神経を活性化させるとか、ちょっとコンフタブルだなって思った瞬間にアンコンフタブルなこと、要は最近ちょっと不安とか、ん?って思う感覚がないなっていうようなこともあれば、そういったことを自分から取りにいくということ自体は脳の活性化にすごい繋がることで、そういうちょっとした繋がりが変革に繋がるんじゃないかなって感じはしますよね。
(四方)
なるほど、僕は脳科学とか全く分からないし、扁桃体?も全く分からないんですが、要は色々な刺激があって、色々なところを使っていると外部環境が変化した時も対応ができるみたいなことなのかなと理解したのですが、海外に来るっていうのがある意味1つ分かりやすい大きな変化かなと思うのですが、このチャンネルを観たり読んだりしている方々全てに海外に行くチャンスがあるわけではないと思うんですけど、日本に居ながらでも脳を活性化させる機会って自分で作れるものなんですか?
(加藤さん)
そうですね、色々な切り口があると思うんですけども、人間は社会的な生き物と言われてますので、新しいネットワークに参加することが一番の刺激になるとは思いますね。
つまり自分が興味ある分野が一番良いと思うんですけど、興味ある分野でかつ新しいコミュニティに参加してみるということで、今だとすごいやりやすいと思うんですね。
それって1日セミナーに参加するというところから、今だとある特定のテーマでこういったコミュニティをやっているのでそこに自分から手を挙げて参加するとかっていうことで、新たな人、新たな考え方の中で自分のバリューをどう発揮していくかというところで、脳が活性化せざるを得ないというようなところはすごいあるかなという風に思います。
もっと言うと、日々日々の生活意思決定の中で新しいことを取り入れること、例えば今まではこの道を通っていたんだけど、今日は違う道を通ってみようというのも、ちょっとした新しいチャレンジだと思うんですけど、そういったことも含めて、日々新しいことを自分の生活に取り込むみたいなところは、一丁目一番地であるのかなという風には思います。
僕の場合は今年ファスティングというのを始めたんですけど。
(四方)
ファスティングは日本語で言うと何ですか?
(加藤さん)
断食ですね!
(四方)
断食!?
(加藤さん)
はい、これは自分にとって非常にチャレンジで、3日間から5日間物を食べないなんてことは想像できなかったですけど、そこに一歩踏み出してみて、成功体験とかその中でのコミュニティが生まれるので、そこで刺激されてそこから新たなコミュニティに参加しようとか。
(四方)
ちなみに断食でどれくらいの効果が出たんですか?
(加藤さん)
私は4ヶ月で20kg痩せましたね。
(四方)
相当ですよね!
大丈夫なんですか、それは。
むしろ元気になってるとか?
(加藤さん)
むしろ元気でして、脳が活性化されてみたいな話なので。
(四方)
そこも脳なんですか!
(加藤さん)
これ以上話をしていいのか分かりませんが、ファスティングでいうと腸が元気になると脳が活性化されるし、やっぱりそこでの成功体験が脳を活性化させるし、色々な方のファスティングの話を語ったりもするので、そうするとそれによってさらに新しいことをコミュニティ作ってやらないかというので結構やっていますけど、そういう日々日々の習慣や新しい行動習慣、生活習慣を取り入れるみたいなところから、特にコロナ禍でやれることはいっぱいあるんじゃないかなと思いますね。
(四方)
なんかある意味、身体の変革ですね。
変革というテーマで話をしていますし、元々は組織とか駐在員の変革の話を伺いたかったのですが、最後は身体の変革、脳科学だとか話し出したら止まらないんじゃないかというのがありますが、番組上、まとめていくとやっぱり日々のちょっとし生活なり仕事で変化球を付けていくとか、変化ってなんだ?って話になると、新しいことをちょっとやってみるとか新しいコミュニティに一歩踏み出してみるとか、そういうことの積み重ねが脳を刺激するのもそうだし、自分の引き出し、知識という意味でも普段の生活、仕事の中でないものが入ってきて、こういうようなことを日々日々やっていると例えばコロナとか外部環境の変化に耐えられる個人になっていくし、そういう人がたくさんいると組織も変化に強くなる、変革しやすくなるということに繋がるのかなということですね。
(加藤さん)
まさにそう思います。
よくFixed MindsetやGrowth Mindsetって言いますけど、固定された考え方なのか、常に自分が成長できる開かれたマインドを持ちながら生活していくのかってありますけど、やっぱりそういうマインドが多い組織であればあるほど、新しいものを取り入れていくということがあると思うので、Growth Mindsetや日々ちょっとした変革を自分の中に取り入れて、色々な情報を得るような態勢をとっておくみたいなところが、本当に変革しなければいけない時に1つのアクションに繋がるかなとは思いますね。
(四方)
Growth Mindsetというキーワードが出て参りましたが、今日は色々勉強になる話を本当にありがとうございました。
そして、加藤さんの脳科学の話や身体の話もまたぜひ聞かせていただければなと思います。
(四方)
さて、HR-Xではこれからも「人事」と「トランスフォーメーション」というキーワードで、様々なゲストをお呼びしてお届けしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
それでは今回はこの辺で!
四方健太郎でした。
加藤さん、どうもありがとうございました!
(加藤さん)
どうもありがとうございました!
四方健太郎(株式会社スパイスアップ・ジャパン取締役/ Spice Up Singapore PTE LTD Managing Director)
立教大学を卒業後、アクセンチュア株式会社の東京事務所にて、主に通信・ハイテク産業の業務改革・ITシステム構築に従事。2006年より中国(大連・上海)に業務拠点を移し、台湾・香港を含む大中華圏の日系企業に対するコンサルティング業務にあたる。2009年にフリーランスのコンサルタントとして独立。独立後、1年かけてサッカーワールドカップ2010年大会に出場する32カ国を巡る「世界一蹴の旅」を遂行し、経済界社より『世界はジャパンをどう見たか?』を上梓。
現在、東南アジアやインドでグローバル人材育成のための海外研修事業に従事。株式会社スパイスアップ・ジャパン取締役。シンガポール在住。
株式会社スパイスアップ・ジャパン
公式ウェブサイト https://spiceup.jp/
公式フェイスブック https://www.facebook.com/SpiceUpJP/
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