「インドほうれん草」とよばれる野菜
英語で「インドほうれん草」とよばれる野菜があります。日本のスーパーでもふつうに買えるんですよ。知ってました?食べたことあります?笑
インドではカレーにしたり、スパイスで炒めて食べてるんですが、日本でそうやって食べるって話はきかないなぁ。
な~んてもったいぶって書きましたが楽天レシピの料理名に書いてあるね。本日のお題は「ツルムラサキ」です。
■インドでの食べ方
では、インドでどうやって食べているかみてみましょう。「インドほうれん草」で検索すると、ふつうのほうれん草のレシピも出てきてしまうので、別名の「マラバールほうれん草」の検索結果がこちら。
あぁ、天ぷらにするのはおいしそうですねぇ。インドの天ぷら(パコーラー/pakoda)は衣が豆の粉なので日本のより重たいし、上手に揚げればガリッとするから、あの厚くてねっとりした葉っぱに合いそう。もちろん衣にもスパイスの粒や粉を仕込むんです。
加熱したときの香りが合うからでしょうか、エビと組み合わせた料理も多いね。カレーにしてもよし、炒めてもよし。プリッとしたエビでも、干しエビでも、これなら日本の野菜炒めでまねしやすいかもしれません。
■熱帯野菜なのに日本での主産地は東北
別名が「マラバールほうれん草」と書きましたが、マラバールはインドの地名ですね。インドを顔だとすると向かって左のほっぺ…アラビア海に面した西側の南部、ゴアのあたりから南端にかけて、カルナータカ州とケーララ州の海沿いが「マラバール海岸」です。
その地域の中でも、特にマンガロール地方の人たちはこの野菜にご執心だとか。(下に少し詳しくふれました。)有楽町にバンゲラズキッチンというレストランができて知られるようになった、あのマンガロール料理で使われるとなれば、カレー通の皆さんになら刺さるでしょうか。
ちなみに私が初めてツルムラサキを食べたのは、忘れもしない、新卒で勤めた会社の社員寮に住んでいたときです。上の階に住む同期のMちゃんが「これ、おいしんだよ~」って勧めてくれて。たぶん会社の帰りに一緒にスーパーの野菜売り場を歩いてたと思うんですよね。
さっき調べて知ったのですが、Mちゃんの故郷の山形県はこの野菜の生産量トップランキングの常連らしい。どおりでね!
■マンガロール地方での偏愛ぶり
↓↓こちらのブロガーさんはインドで育ち、今はアメリカ中西部にお住まいだそうです。ツルムラサキを好んでよく食べるというマンガロール地方の想い出話、面白いので少し抜粋、意訳してご紹介しますね。
「私自身はタミルナードゥ州で育ったので、ルーツはマンガロールにあるとはいえ、マンガロール育ちのうちの母がなんでここまでツルムラサキを偏愛するのか共感できたためしがありません。」
同じ南インドとはいえ、西海岸のカルナータカ州マンガロールと東海岸のタミルナードゥ州では好まれる野菜も違ったのでしょうね。
子どものころ、夏休みはお母さんの故郷に帰省していたそうですが、休みを終えて家に戻るときの想い出が圧巻。
マンガロールを離れる列車のホームに見送りにくる人たちは、手に手に餞別としてツルムラサキの束を持ってきていたというのです。車窓からお母さんに渡し、発車するまで延々と、ツルムラサキのおいしい食べ方、レシピを情報交換しあっているのを子ども心にうんざりしながら聴いていたとのこと。
記事のオチには、アメリカでお友達(マンガロール出身者)の家に遊びに行ったら、庭の畑で育てているツルムラサキを愛おしそうに見せてくれたので、マンガロール人のツルムラサキ愛に気絶しそうになったというエピソードも。笑
■煮込むときのコツ
インドのレシピを見ていると、元々の発想から違うよなーと思ってしまうのは、とりあえず刻んだツルムラサキを圧力鍋で加熱!とか…
ためらいなく煮るよね。それも、クッタクタに。
実は、そのまま煮込むと青臭いです。青菜ってそういうものだと思いますが、ツルムラサキも例外ではありません。冒頭に紹介した、ツルムラサキとカボチャのカレーでは、仕上げにシナモンを少し振っています。それは青臭さを消すためなのです。
炒め物やスープのときも、青臭いなと思ったら、ほんの微量のシナモンパウダーをかけてみてください。味見をしながら、そっとです。スパイスを入れるといっても、スパイスに気づかないような仕上げ方にもできるんです。
カレーでもないのに、さりげなくスパイスをひと振りして野菜料理を仕上げるって、できるようになるとほんとに便利よ。