わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 感想

こんにちは。
ほしあかりです。

今日は作品への感想だよ。


わたなれやばいね

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 
通称「わたなれ」を最新巻まで読んだ。
漫画も読んだし、原作小説も読んだ。

小説リンク


漫画リンク


思っていたよりすごい作品だったので感想会をしたい。

あらすじ

いったん、あらすじ。

陰キャ女が高校デビューしてみたら勢い余って初手王手してしまった。
みたいな話だ。
公式サイトを読めば分かる。


各巻の概要としては

  • 小説1巻、漫画1~3巻

    • 王塚 真唯との話

  • 小説2巻、漫画3~4巻

    • 琴 紗月との話 (おそらく)第一部

  • 小説3巻、漫画5~7巻

    • 瀬名 紫陽花との話

  • 小説4巻

    • 小柳 香穂との話、そして甘織 れな子の大立ち回り

  • 小説5巻

    • 他クラスとのいざこざの話

  • 小説6巻~

    • 甘織 遥奈との話

だろう。
全部読んだから全体的に話をしたい。


かんそう

おそらくラノベに分類されるであろうこの本は、ライトなだけあって手軽に読めた。妹である遥奈との話は巻をまたぎそうだが、基本的には1巻で話がまとまるので読みやすかった。

現行漫画最新巻の7巻、紫陽花編を読んだときは「コメディどこいった?」という気持ちでいっぱいになった。
真唯と紗月編はコメディだったけど、真唯と紫陽花はしっかり三角関数になってしまって、紫陽花が抱えているものからすると絶対に茶化せないから本当にどうするのだろうと。
気になったので原作小説を読んだ。

こんなことをするとは。

ここ最近百合漫画というか恋愛ものを多く読んでいたが、れな子は大変問題のある主人公だった。すごい。こんな手があるのかと若干引いた。

そもそも、僕は結構れな子を気に入っている。
思考のヘタレ具合や「嫌われたくない」の方向性がよく理解できる。
そのうえで、人に言わなきゃいけないことはしっかり言える人で良い。
土壇場で他人に踏み込める人は強くてかっこいい。

この作品でも紗月が言ってた気がするし、一般的にも言われているが「何かを選ぶということは、何かを選ばないということ」という問題がある。
そしてれな子にもこの問題が降りかかった。真唯と紫陽花、どちらを選ぶのか。この高校で仲良くしていたグループに亀裂を入れない方法があるのか。
で、漫画7巻が終わった。そら続き読むでしょ。
続きとしては、香穂とのイベントを経てれな子が手に入れた答えが

「全ての関係性を極限まで壊さず、2人の気持ちを受け入れる。代わりに社会的信頼を捨てる」

というものだった。最高。
もともと社会的信頼に好かれていない陰キャにしかとれない選択肢だなと思った。
普通の人にこの選択をさせるのは酷というか、著しくキャラクターの魅力を損なう選択なので本当にシビア……というか。
れな子は「女の子同士で付き合うなんて普通じゃないので、それが許されるなら普通ではない二股だって許してくれ」という論をぶち上げていた。
これは、まじで、すごい。いや肯定はしないけど……。否定もできないというか……。関わってる皆が良ければいいんじゃないかな……。

この結論を読んだときに「ラブコメだったわこれ」と思った。
そしてこの作品はこの流れで進むのか~と理解した。
れな子の社会的信頼性はあんまり高くないので、これをコストにしていけばコストを踏み倒せるわけだ。
悲しいことに、れな子はド陰キャなので自分の魅力に気が付けていない。これからどれだけの人がれな子を好きになっていくのか楽しみですねぇ。


甘織れな子は強い主人公なのか

「強い百合主人公」といえば誰だろう。個人的には黄前久美子なんだけれども。黄前久美子だとしても『やがて君になる』の小糸侑だとしても、彼女たちとれな子を比べると、あまりに方向性が違う。
ただ、土壇場でれな子は自分の強みを最大限に発揮できるので大変立ち回りが強いように思う。紗月もときどきやられているみたいだけど、あれ見せられたらなぁ。そりゃあみんな好きになる。
黄前久美子は感覚だけではなく理屈で踏み込めるので本当に強い。

実はれな子は土壇場の強さだけではなくて、ふとしたタイミングで輝いている。真唯と香穂はこっちにやられたっぽい。可哀想に……。
これを考えると、れな子は「強い」というより「悪い」になる気がする。
でもれな子が悪いかというと、違う。
れな子は頑張ってただけで、悪いのは真唯、紗月、紫陽花、香穂といった周りのメンツな気がする。「自分が付き合う相手が複数人と付き合うなんて普通絶対に許さないけど、このメンツ間の強さなら、まぁ……」みたいな温度感があったりするだろう。あるだろ。なぁ。
究極の話、真唯と紫陽花がもっと恋愛に対してきっぱりしていたらこんなことにはならなかったわけで。

このメンツに対して、自分の意見を通し切ったれな子は「強い」。
間違いなく強い。


「恋愛」って何

この作品のテーマの1つだろう「『恋愛』って何」という話。
僕も結構悩んだことがあるので1つの答えを教えてもらえてよかった。

(れな子が恋人はいらない、大切な友達がほしいだけ。と過去に言っていたことについて)

どっちも結局、人間関係なんだな、って……。
(略)
人が人を大切に想う気持ちって、たぶん、こう、原始時代とかからあったと思うんですよね……。それって男女だけじゃなくて、女同士とかでも
(略)
そういうのって、後から名前がついただけなのかな、って……。
(略)
根底にあるのって、ただふたりを大切にしたいって想いだったりして……
(略)
これって、別に、友達でも、恋人でも、家族でも、変わらなくて……

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 6巻 れな子のセリフより

……逆に言うと、体感している最中にそれが恋愛かどうかはわからなくて、あやふやな感情に名前を付けた時点で、それが恋愛だと定義されるってこと……?

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 6巻 紗月のセリフより

なるほどなぁ。
分からんくもない。

これに関しては本当に1つの答えでしかなく、例えばわたなれ内でも真唯とはここの価値観がれな子と合わなくて困ってたんだし。
とはいえ、「他人を大切にしたい」という感情はそのままであって、後から名前が付いたのでは?という仮説は面白いなあと思う。
僕もちょっと前まではそう思っていたし、前の僕ならこれが答えだと断じていただろう。

最近はちょっと違う。
「大切にしたい」の中に結構多くのグラデーションがあることを知った。種類がある。これをちゃんとひも解いていけば、僕の中では答えが見えそうな気がしている。

というか、どう考えても紗月も香穂もれな子に惚れてそうで、2巻くらい後には4股してるんじゃなかろうかと思うのだけれど、どうするのだろう。



おわりに

僕は甘織れな子のファンです!
あいつ面白い女すぎる。
最近まともな恋愛しか見てなかった(僕ヤバとか着せ恋とか)から、堂々と二股宣言できるれな子がまぶしく映った。もしかしたらこのまぶしさは対岸の火事の火だったかもしれない。よく燃えてるなぁ。恋愛核実験でもしてるのか?

ハーレムもの且つ百合ものみたいなのは時々あるし、この5人間も相当アツアツなのでまぁ、いいんじゃないですかね!さっさと全員と付き合って5人同時に風呂入れ。
僕はれな子を応援しています。

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