言語聴覚士や食事を担当されている皆様へ。新患さんが来て「この人食べられる?」とドクターに聞かれたら「食べられません。」と答えよう。

お疲れ様です、伊東零一です。
さて、大胆な題名を付けましたが…これには深い理由があります。
これは、私と一緒に働いてくれている新人さんに向けた文章になっておりますが、役に立つと思いますので良ければ知識としてご覧下さいませ。

新患さん=初めましての人をたった30分~1時間評価して食べられるかどうか分かるわけがない!!

新患さんが入院されて、まさかの一日目。採血や検査もあるのに「摂食評価お願いします」と言われたりしませんか?
急性期や回復期ですぐの判断を求められる場合は通常通りの評価…RSSTやMWST(改定水飲みテスト)、FT(フードテスト)を行い結果によって食べる食べないを判断すれば良いと思います。
が、(私が経験してきた)慢性期病院は一筋縄ではいきません。
誤嚥性肺炎後で絶食になって転院してきた患者様や、COPD(重め)の患者様、老衰によって寝たきりの患者様が転院してきます。前の病院で、「もう食べられませんよ」と言われた患者様も転院してきます。

「家族(または本人)が食べたいって言っているので評価よろしく。」
↑↑
苦難の始まりです。

前の病院で食べる事を諦められて着た患者様を食べられるようにリハビリをするというのは、(若干強い言葉で言いますが)無謀、無理難題、ムリゲーです。

最初に食べられません、と言うのは言語聴覚士として恥ずかしい事かもしれないが、自分を守る手段でもある

前の病院で諦められて来た患者様でも、可能性が0と言うわけではありません。時々ですが、「この人はいけるかもしれない…」と思う方もいます。
ですが、嚥下評価をきっちり行ってその結果安全に食べられないと判断したら…「(理由を言って)今は食べられません。でも、もしかしたらリハビリを実施して食べられるようになる可能性はあると思います」もしくは「今は(食べるの)難しいと思いますが、リハビリで頑張って食べられるようになればと考えています」等と言うと角が立たず良いと思います。
そもそも食べられないと判断されているので、ドクターは本当に食べられないのか、希望は無いのかの確認も含めてオーダーをします。
ですので、少しでもやる意味(可能性)があると感じたら「今は食べられないけれど、今後もしかしたら可能性あるかも?」と伝えると良いと思います。ドクターもその意見は無下に出来ないと思いますので、リハビリ継続できると思います。

ただ、過度に期待させてはいけません。後々「食べられるって言ったじゃない」と、指摘される事もありますので。
言い方によっては自分が思っていた方向とは違う方に進む場合もありますので、ドクターの性格や人柄に合わせて報告出来るようになると良いと思います。

…こちらの意見を聞かずにじゃんじゃん食事を出そうとして看護師さんや言語聴覚士を困惑させるドクターもいらっしゃるので、努めて冷静に「評価・報告」をしましょう。ダメですよ?食べられないって言ってるのに…とか愚痴ってはいけません。努めて冷静に「評価・報告」です。
評価した結果無理だったんだと言って文句を言うドクターは多分いないと思いますので……………(遠い目)

とにかく!無理をして「食べられます」なんて言って誤嚥させては患者様も自分もつらくなるだけです。まずは「今は食べられないけれど、リハビリしたらもしかしたら可能性はあるかもね?」と伝えるようにしてみましょう。それで食べれたらラッキーですし、評価も上がります。
一方、リハビリをしても食べられなかったら、ベストを尽くしたのですからしょうがないと思えると思いますよ。

勿論、食べれそうな人であれば評価次第で食事の提供をしましょう。食べられる患者様なのに「食べられません!」って言うのは変な話ですからね(;'∀')

まとめ:無理はしない。過度な期待はさせない

ドクターによっては「食べられないのならリハビリ終了で」と言われてしまう場合もありますが、その場合は少し食い下がっても良いと思います。
「リハビリやってみたいです」と。
それでも終了と言われたらそこは引きましょう。今後、ドクターとの関係が悪くなればそれだけ言語聴覚士が必要とされなくなってしまいますので、注意が必要です。
こちらの個人的に思っている「リハビリをやりたい。今は食べられないけどリハビリをやったら食べられるようになるかもしれない!」と言うのはあくまで一つの意見としてドクターは捉えます。自分の考えや意見をごり押ししても良い結果にはなりませんので、「自分はこう思っている」「こうしてみたい」と言う意見を淡々と言うようにしましょう。

新人さんもそうですが、いきなり難しい評価をするのは大変だと思います。
どうしても分からない事があると思います。いくら勉強していても、経験を積んでも分からない事は山ほど出てきます。
無理はせず、じっくり評価をするためにも「食べられません」と言うのも勇気だと覚えておいてくれたら嬉しいです。

ちょっと重い話だったでしょうか?(;^_^A
私が新人の時は一人職場だったので(言語聴覚士が周囲に居なかった時代)、食べられるのかどうか判断が出来ない症例が来た場合はすぐに判断せず(できず、とも言う)時間をかけてリハビリをしながら評価していたのを覚えています。患者様やご家族様にすぐ返事が出来なくて申し訳ないなと思う気持ちはありました。すぐに答えを出した方が良いのでは?と言う思いも強く持っていました。
でも、焦って答えを出しても良い事なんて何もありませんでした。大半は失敗します。身の丈に合わないことはしない方が良いんだなーと思った事を今でも思い出します。
頼れる先輩がいるなら頼りましょう。私は居なかった!教科書が頼れる先輩だった!(;'∀')ツラーイ

二日連続、乱文失礼しました。
それでは、また。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集