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畝のデザインについて


<畝のデザインについて>
「自然界には直線はないが、畑には直線がある」これにも、もちろんわけがある。

まず基本的な畝が南北に敷かれるのは、太陽光を浴びる量を対等にするためだ。作物を栽培する場合、光合成の量を均一にすることですべての作物の成長を合わせることができる。光合成の量にムラがあると、各作物の成長にもムラが生まれてしまう。競争はちょうど同じくらいの方がお互いに成長を促し合うように、限られた面積で生産量を上げようとする場合、この直線は有効なデザインである。

次に、等高線沿いに段々畑のように畝を作る場合も、大きなうねりがなければ自ずと直線となるだろう。これによって土も水も流失を防ぐことができる。自然農では基本的に水の流れを地表面でコントロールするのではなく、地下深く深くへ浸透させていくことを目指す。畑にされるような土地はたいてい作土層が深い場所が多いからこそ、こういたデザインが可能だ。もし作土層が薄く地下深くに水が浸透していかないような場合は思い切って田んぼに切り替えた方が良い。

最後に人間の都合がある。直線の畝は作業がしやすい。草刈りはもちろん、畝立てや種まき、定植など多くの作業を効率的に行おうと思えば自ずと直線になる。また鎌や鍬などの手道具はもちろん、草刈機や耕運機などの小型の機械、さらに大型のトラクターなどでも直線だと作業効率があがり、ムラなく仕上げることができる。

多くの農家や伝統工芸家(陶芸、木工、左官など)はムラなく仕上げることを重要視する。そのために均す。それは美しさだけではなく、速さも丈夫さも同時に生み出すからだ。また直線のような整然とした場では作業のムラや雑ささがよく分かる。こうして自分自身はもちろん、弟子や仲間の調子をはかることができる。

もちろん、直線にこだわる必要はない。等高線がうねっていてればそれに合わせるし、風向きや太陽光の加減に応じて畝のデザインはもちろん畑全体のデザインが変わる。そういった環境に相応したデザインは見た目の美しさばかりではなく、成長の早さも畝の丈夫さも兼ね合わせることになるだろう。結局のところ、畝立てもデザインも自然を読み解く対話によって生まれるものだ。

田畑の整えはとても大切だ。まず考えるべきことは野菜たちにって都合の良いデザインにすること。それによって人間の仕事は一気に減る。もちろん「あなたにとって美しい」と思えるデザインもまた、あなたのやる気を上げてくれる。

「美しく整える」ということはそこで育つ野菜にとっても、そこで暮らすあなたにとっても都合の良いデザインであるはずだ。それを自然との対話によって築いていくという姿勢を忘れないでほしい。だから、一番良くないのは自分の頭の中だけで考えたデザインを押し付けることである。

自然農では基本的に畝を立てたら、直すことはあっても、崩してしまうことはない。しかし、それは完璧なデザインにたどり着いた時のことで、畝を作り直すことを躊躇してはいけない。

自然農の職人たちは弟子にまず畝立てばかりさせるにはわけがある。畝たて一つで作物の成長はもちろんのこと、自分の身体への負担が減るのだからなおざりにすることなく、焦らずに向き合ってほしい。

講座でも畑コンサルでも畝の作り方やデザインについて教えることが多い。ただし、それはあくまでも基本だったり予測の上で考えたものだから、それを決して過信してはいけない。畝を立てるときはあくまでも「仮」のつもりで無くてはならない。

一度畝を立ててみて、分かることはたくさんある。実は水が溜まりやすいところ、実は日当たりが良いところ。それらの逆も然り。

どんな農法でも基本はやはり畝なのだ。畝の形やデザインによって野菜がイキイキすることもあれば、苦しむこともある。だから毎年毎年、畝を作り直すことを躊躇してはいけない。

慣行栽培などではトラクターや耕運機、作業手順など人間都合で畝を立てることが多いからあまり意識することはないが自然農では徹底的に植物にとって都合の良いように作る必要がある。そうすれば人間の仕事はどんどん減る。

畝を一つ立てれば、それだけで風の動きが変わるし、水の流れも変わる。太陽光が当たる箇所も変わるし、それに応じて影の出来方も変わる。季節によって強く吹く風の方向は違うし、作業のしにくさもやってみないとわからない。だから、日々の作業の中でそれらをじっくり観察して、常に最適なデザインを描きなおしていく必要がある。

「月一の講座よりも、毎日の観察」というのは、そういうことなのだ。
講座や本で学んだことなど、あなたの畑から教えてくれる情報に比べたら大して重要ではない。

これはパーマカルチャーを実践&学んでいる人にも当てはまる。
ついつい可愛い形や素敵な形で畝を作りがちだ。それは確かにあなたにとってはウキウキするデザインなのかもしれないが、大切なのはそこで24時間数ヶ月間、暮らす野菜たちがどう感じているかなのだ。
あなたのウキウキはあなた(人間)の都合であって、野菜の都合に合わせたデザインは野菜がイキイキする。

Problem is solution.

野菜たちに何か問題があったら、彼らは身体全体でメッセージを送る。
まるで赤ちゃんが泣くことで、母親に意思を伝えようとするように。
そのメッセージを読み取り、彼らにとって最適なデザインをし直す必要がある。問題は野菜やあなたの才能にあるのでは無く、デザインにあるのだから。

永続可能なデザインは決して永久不変なデザインではない。変わり続けることができるデザインであり、変えることが可能なデザインである。
適正技術もまた同じであり、人間の在り方にも通ずる。

自然界の営みには学校のテストのような絶対的な唯一の答えはない。
いつだって大地との対話の中で、最適な「仮」の答えをとりあえず出していくしかないのだ。

自然に言いなりになるわけでも無く、自然を支配するわけでもない。
自然に抗うからこそ、学びを深めていくことができる。
その学びから生み出される良い塩梅こそが、調和した暮らしを営むコツである。

・畝の幅の基本は跨げる幅(50~60cm程度)、広くする場合は両側から手を伸ばして、畝の真ん中に手が届く幅(100~120cm程度)ただし、広くしすぎると草刈りなどの作業が大変なので注意。

・通路(畝間)の幅は横歩きが余裕でできる幅(30~40cm)。一輪車や耕運機を使う場合はそれが通る幅。畝幅と同じにするのが一番無理のないデザインだが、狭い畑の場合は畝間を狭くする。

・畝の形を変える
水はけをよくするには高畝(高さ20cm以上)、水もちをよくするには平畝(高さ15cm以下)
ほかにも作物に応じてかまぼこ型、U字型、クレーター型など。

・補う資材を投入する
水はけをよくするには砂や籾殻薫炭、水もちをよくするには腐葉土や枯れ草など繊維質のもの

~今後のスケジュール~

<自然農とパーマカルチャーデザイン 連続講座>
・沖縄県本部町 2月11日~12月1日
https://fb.me/e/4ZoQTy8Qd
・沖縄県豊見城市 2月10日~11月30日
https://fb.me/e/1vqPRSvCw

・京都府南丹市 3月16日~11月16日
https://fb.me/e/1GDPiBzoQ
・京都会場 無料説明会 2月17日
https://fb.me/e/50pdW5JJX

<自然農とパーマカルチャー1日講座>
・岐阜県岐阜市 4月21日

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