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内陸性気候区


<<内陸性気候区>>
海から離れている内陸のため、夏と冬の気温差、昼と夜の気温差が大きい。全般的に降水量は少なく湿度も低い。

東北の内陸地帯ではフェーン現象が起こりやすく、山形市では40℃以上を記録したことがある。
寒暖差が激しい山形盆地や新庄盆地などではサクランボや西洋ナシなどの果樹栽培が盛ん。これは台風や地震などの自然災害が少ないことも大きな要因となっている。日本でも早くに西洋養蜂が取り入れられた地区。

群馬や栃木など関東圏の山間部は夏の季節風によって運ばれた暖かく湿った大気が山地にぶつかり、大量の雨を降らせる、とくに入道雲を形成させて雷と強い雨、つまり夕立を起こす。栃木では昔から雷を「らいさま」と畏敬の念を込めて呼び、雷神を崇める風習がある。しかし現在では神様でも落雷保険の保険料は他の地域よりも高く設定されているという。

その暖かい大気が都市圏のヒートアイランド現象によってさらに温められて、両県まで届けられるため、陸地の性質も相まって非常に高温を記録する。

冬には北西の季節風によって山間部には大量の雪を降らせるが、平野に近い都市にはからっ風となって吹き下ろしてくる。そのため乾燥が強いとともに気温も低くなる。さらに体感温度は実際よりも数℃低く感じる。首都圏に近い地の利を生かして、江戸時代からさまざまな農作物を栽培してきた。
群馬ではコンニャクとキュウリ、栃木ではカンピョウとイチゴの生産量が日本一。

冬のからっ風は山の連なりの隙間を通り抜けて吹き下ろしてくるので、だいたい通り道が決まっている。上州名物のからっ風は清水峠と碓氷峠を通り、前橋付近で合流し利根川に沿って流れていく。
栃木では那須連山から吹く那須おろしが有名だ。この二つの風の通り道には屋敷林を設けている百姓家屋が見られる。

埼玉は東部が太平洋側気候、西部は内陸性気候と狭いわりに気候の多様性がある。
日本一の最高気温を競う熊谷市などはマンゴーやアボガドの栽培に挑戦する農家もいる。

山梨・長野・岐阜などは典型的な内陸型気候。海から遠く離れているため海流や季節風に左右されにくい。そのため降水量は極めて少なく、沿岸部の半分程度しかない。ただし、寒暖差が激しく北海道並みの豪雪と寒さを記録する。
周りを囲むように高い山々が連なるおかげで、風も比較的弱く、また盆地のほとんどが扇状地が発達して形成されているので稲作よりも果樹栽培に適している。リンゴ、ブドウ、モモ、ナシ、サクランボなど各盆地の土壌と気候を生かしている。
また乾燥しやすい気候からコムギやソバ、ジャガイモが主食だった。

内陸部でも木曽谷や伊那谷南部、富士五湖、富士川流域などは降水量が多い。

岐阜県は海を持たない内陸県だが、標高差が大きく、地形が複雑なため地域によってさまざまな気候を持つ。県南部の美濃地方は太平洋側のように夏は非常に暑く、県北部の飛騨地方は日本海側の豪雪地帯、東濃の恵那地方は内陸性が非常に強く名古屋市内のヒートアイランド現象によって全国でも有数の高温地帯。しかし、全体的に内陸性気候をもっているため寒暖差が激しく、人が多く住むエリアは降水量が少ない。

滋賀県は内陸性気候区でもあるが、大きな琵琶湖があることで寒暖差はそれほど激しくない。そのためあらゆる農作物が栽培されているし、平野が多く水も豊富なので稲作も、二毛作も盛ん。

京都、奈良、滋賀などが接する山間部は急峻で複雑な地形から、稲作などはあまり行われてこなかった。その代わり一大お茶産地として栄えた。京都盆地や奈良盆地では都市が築かれたために、あまり耕作面積は多くないがその周辺の里山周辺では京野菜や奈良野菜などさまざまな農作物が文化とともに発展した。徳島県西部でお茶が栽培されたのも同じ。

・岩手内陸部:二子サトイモ、矢越カブなど
・山形内陸部:ひろっこ、蔵王カボチャ、最上赤ニンニク、甚五、ヱ門イモ、悪戸イモ、漆野インゲン、畑ナス、雪菜、赤根ほうれん草、もってのほか、神代豆、うこぎ、おかひじき、馬のかみしめ、高豆くうりなど
・福島会津;会津小菊カボチャ、会津赤筋大根、会津地ネギ、雪中あさづき、舘岩カブ、荒久田茎立、会津丸ナス、立川ゴボウ、真渡瓜、かおり枝豆、、信夫冬菜、とこいろ青豆、モモなど
・群馬;幅広インゲン、国分ニンジン、陣田ミョウガ、下仁田ネギ、宮内菜、宮崎菜、在来水ブキ、なこまなこなど
・栃木;かき菜、中山カボチャ、野口菜、ユウガオ、イチゴなど
・山梨;あけぼの大豆、紅花インゲン、大塚ニンジン、落合イモ、鳴沢菜、長禅寺菜、八幡イモ、水かけ菜、ブドウ、モモなど
・長野;小布施丸ナス、ばたんコショウ、ひしの南蛮、上の大根、戸隠大根、ねすみ大根、守口大根、下栗イモ、野沢菜、木曽菜、松本一本ネギ、清内路黄イモ、沼目越瓜、穂高インゲン、切葉松本地大根、王滝カブ、常盤ゴボウ、あかたつ、安曇野わさび、ブドウ、モモ、リンゴ、ナシなど
・岐阜;宿儺カボチャ、マクワウリ、あじめコショウ、桑の木豆、あきしまササゲ、十六ササゲ、飛騨紅カブ、種蔵紅カブ、キクイモ、紅ウド、堂上蜂屋カキ、南飛騨富士カキ、千石豆、藤九郎ギンナン、島ゴボウ、高原山椒など
・滋賀:万木カブ、日野菜カブ、北ノ庄菜、赤丸カブ、近江カブ、伊吹大根、秦荘のヤマイモ、水口かんぴょう、鮎河菜など
・京都:賀茂ナス、山科ナス、鹿ケ谷カボチャ、万願寺トウガラシ、伏見トウガラシ、壬生菜、ミズナ、桂ウリ、京タケノコ、聖護院大根、すぐき菜、九条ネギ、うぐいす菜、京セリなど
・奈良北部:大和三尺キュウリ、大和丸ナス、ヒモトウガラシ、宇陀ニンジン、軟白ズイキ、大和イモ、大和真菜、紫トウガラシ、千筋水菜、花ミョウガ、大和きくな、筒井レンコンなど
・徳島山間部:ごうしゅういも、美馬太キュウリなど

<瀬戸内式気候区>

大阪は大阪湾を囲むように位置しており、北部と南部で多少気候の違いはあるが、梅雨を除いて雨が少なく安定した気候。奈良北部の平野部では昔から大きな河川がなかったために「大和ひでり」と呼ばれるほど水不足に悩まされた。そのためか大型古墳は貯水池としての役割も担った。ほかにも小規模、中規模の溜池が多く存在する。

兵庫県は全国で一番溜池が多い県で、約4万以上あるという。
淡路島は周りを海に囲まれ、大きな山がないため、冬は暖かく夏は涼しい。日照時間が長く、降水量が少ない。大きな河川がないため灌漑用の溜池に依存してきた。約2万ほどの溜池が一つの島に集中している。
乾燥地帯を活かしてコムギ栽培が盛んで、素麺作りにつながる。
香川県ではうどん。

中国山地と四国山地に季節風が遮られるため降水量が少なく、しばしば水不足に悩まされる。気候は温暖で日照時間も長い。瀬戸内は常に風下となり、風も弱いく、穏やかな晴天の日が多くなる。
山に囲まれた瀬戸内は一つの大きな盆地のよう。気候も内陸性に似ているが瀬戸内海のおかげで寒暖差はゆるい。
瀬戸内海沿岸で製塩業が盛んだったのも、この地方の気候と地形のため。内海なので干満の差が大きく、遠浅で良質な砂にも恵まれていた。雨が少なく晴れが多いおかげで塩田としては最適だった。この塩田地を埋め立てて工場やカキの養殖場が生まれた。

岡山と広島では西に行くほど降水量が多くなる。山陰側とは真逆の現象。南東からくる季節風は西は豊後水道を通り、東は紀伊水道を通る。するとちょうど真ん中に位置する岡山市は四国山地で遮られるため、一番雨が降らない。そのおかげで岡山では桃やブドウなどの果樹栽培が盛ん。昔から稲作よりもコムギやサトウキビが栽培されていた。
広島ではミカンやレモンなどの柑橘類。

台風シーズンの9月から10月にかけて広戸風という局地風が岡山北部で発生する。那岐山系から津山盆地に吹き下す風で、屋根が吹き飛ばされたり、稲穂がなぎ倒されたりする。山形県の清川だし、愛媛県のやまじ風とともに日本最大悪風の一つ。台風が四国沖から紀伊半島方面へ通り抜けていくときに特に強い広戸風が吹く。この地域では、広戸風対策として防風林に囲まれた民家をよく見かける。

広島の北部にある三次盆地では海から離れ散るため内陸性気候が強く出る。しかし定期的に氾濫するほどの広域面積を持つ江の川の上流でもあり豊富な水を持つ地域もあって、稲作から畑作、果樹まで幅広い農作物が栽培されている。霧がよく発生する町でもあり、鵜飼も有名な城下町。

山口は日本海側も瀬戸内側も内陸部を除けば、比較的温暖な地域で、太平洋側気候に近い。萩の夏ミカンや周防大島のミカンなど。

愛媛も香川も徳島県北部も水不足に悩まされてきた県。そのため、溜池も非常に多く、コムギやソバ、果樹類の栽培が多かった。香川県は1万5000以上の溜池を有し、密度では日本一。どちらの県も果樹栽培、とくに日照時間の長さと温暖な気候を利用した柑橘類が多い。

瀬戸内海沿岸では凪がよく見られる。陸は温めやすく冷めやすい、海は温めにくく冷めにくい。1日の中でその陸と海の温度差が海風と陸風をそれぞれ生むが、1日の中で海風と陸風が入れ替わる朝と夕方に海では凪が生まれる。瀬戸内海沿岸は風がもともと弱いため、凪が長時間続くことがあるのだ。夏に発生することが多いが、穏やかな天気の日にも発生する。

・大阪:泉州ナス、勝間カボチャ、毛馬キュウリ、玉造黒門越瓜、大阪しろな、泉州黄タマネギ、吹田クワイ、碓井エンドウ、田辺大根、守口大根、天王寺カブ、金時ニンジン、三島ウド、四十日大根、石川早生イモ、八尾若ゴボウ、河内一寸ソラマメなど
・兵庫南部:ペッチンウリ、丹波黒大豆、武庫一寸ソラマメ、岩津ネギ、尼イモ、御津の青ウリ、丹波ヤマイモ、加古川メロン、姫路若菜、朝倉山椒など
・岡山:岡山サラダ菜、宇土川ゴボウ、備前黒皮カボチャ、黒スイカ、キビ、万善カブラ、間倉ゴボウ、ブドウ、モモなど
・広島:広島菜、観音ネギ、わけぎ、広島オクラ、観音葉ゴボウ、祇園パセリ、レモン、リンゴ、ブドウなど
・山口:萩たまげナス、岩国レンコン、笹川錦帯白菜、山口甲高タマネギ、あざみな、夏みかん、白オクラなど
・香川:さむき長さやソラマメ、まんば、三豊なす、さむきしろうりなど
・愛媛:西条絹かわナス、伊予緋カブ、ミカン、ポンカンなど


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