バリスタチャンピオンシップに挑戦する理由
私たちの取り組みを語る上で欠かせないのが、「ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)」という競技会への挑戦についてです。
競技者自身が選んだコーヒーでエスプレッソ抽出したものを4人のセンサリージャッジ(味を見る審査員)に提供しながら、味の表現だけでなくなぜその味になるのか、工夫した点は何か?などについて言葉や小道具(たまに大道具)を用いてプレゼンし、採点評価によって順位を決める大会です。
こんな感じです↓
はっきり言ってめちゃくちゃ大変です。
ひとつにはとにかく費用がかかります。競技者自身が豆を選べるので、高額な素材を選べば上位進出の可能性は単純に上がりますが、そうなると資金に余裕のある企業から出場するバリスタの優位性も必然的に上がります。
そして近年では結果そのとおりで、上位進出者の所属に着目するとごく数社で独占されていることがわかります。
その他様々な負荷をかけて望むチャンピオンシップですが、私たちの挑戦は2017年からスタートしました。はじめの2年は妻のみが競技者で私がコーチ、そして2019年は初めて私も競技者として出場しました。
夫婦2人で営むコーヒーショップから、夫婦2人とも出場したのは日本で私たちだけだと思います。
費用も時間も掛かり、今から上位進出を実現させるには名だたる業界の有名企業の上をいかなくてはいけない状況です。
なぜ今そんなことに挑戦するのか?
それにはいくつかの理由があります。
・バリスタとして、またロースターとしての技術向上のため
自分で豆を選んで競技できるので、もちろん私が焼いた豆に対しての評価を受けることができます。また競技は主催者が用意したマシンで行うため、普段使っているマシンで抽出した場合との差異を埋め、準備期間で狙った味を本番で表現する為の非常に高い再現性が求められます。そのため様々な検証を準備期間に行うことが推奨され、「大会に出場する」という目的がない状態と比べて様々な気づきが得られ、結果として飛躍的に技術が向上します。
・コーヒーショップオーナー特有の思い上がりを打ち砕くため
スパークコーヒーの味はもちろん私好みにチューンアップされていて、常連になってくださるお客様は当然私のローストを気に入ってくださる方ばかりです。もはやマイナスの評価を下されることは無く、ともすると向かうところ敵なしの「お山の大将状態」に陥ります。スパークコーヒーを中心とした小さな世界ではこれで良いのですが、えてして現状維持になりがちです。ただでさえ大人になってからダメ出しを受けることがなくなっていく中、オーナーになると自分の好きなようにできてしまうため、しばしば客観的な評価を受ける機会が必要です。
・プレゼンが(大変だけど)楽しい!そして勝ちたい!
そしてこれがもはや大部分を占める理由かもしれません。人前で話すことが楽しくなってきます。私たちが経験してきた学校教育の中では少なからず人前で発表する機会がありましたが(それにしても少ない)、社会に出てとりわけショップオーナーになってしまうと、よほど成功して起業セミナーに講師として華々しく招かれたりしない限りは、自分のアイディアを聴衆の前で発表する機会など無くなってしまいます。バリスタチャンピオンシップは、自分の大好きなコーヒーについて口を挟まれることなく10分ないし15分間も好きに語りながら、しかもその場で味わってもらえる希有な機会です。コーヒーというものは嗜好品ですし個々人の好みに委ねられることに異論はありませんが、自分が良いと思っているアイディアが評価されればそれがトレンドとなり、影響力を得られます。「コレいいかも!」と思ったやり方やコーヒーがあったとすれば、それをより多くの人に広めたいと思いませんか?
そして単純に勝ちたい=ジャイアントキリングを実現したいです。仙台の個人店から割って入っていきたいですね。
・応援してもらえる(←おまけ)
これはわりと最近気づいたことですが、挑戦し続ける姿勢を示すことはお店のファン獲得につながります。あらゆる情報格差がなくなり、長い年月の修行などしなくても美味しいものを出している店はコーヒーに限らずいくらでもあります。実際に新規参入したロースターの方が「どこどこの店で何年焼いてました!」みたいなところより美味しかったりします。これからますますその傾向が強まる中、情緒的価値の重要性が高まるのは必至です。似たようなお店がいくつかあったとしたら、チャレンジングな取り組みをしているところにお金を落としたい=「応援したい!」と思いますよね。チャンピオンシップへの挑戦は、非常にわかりやすくその姿勢を示すことができます。
ほかにも高い豆を使う口実になるなどさまざまなメリットから、もはや挑戦しない理由が無いと現状では考えています。昨年の出場者は全体で90人で、日本全国にバリスタが何十万人いるのかは定かではありませんが、一万分の一くらいの希少人材であることは間違い無いでしょう。それだけ当事者になることには価値があると思いますし、バリスタチャンピオンシップに限らずあらゆる競技会に出場している人たちを心から尊敬しています。
さて、そんなチャンピオンシップに今年も挑戦し今年こそは上位進出をと目論んでいるのですが、JBCの優勝者は当然ですが世界大会(WBC)へと派遣され、理想的にはそこで優勝することが求められます。
つまり、JBCは世界で勝てるバリスタを選出する選考会であると言えます。
そのためには、世界大会がどういうものであるかを知る必要があります。
今年の世界大会は5/4-7の期間、オーストラリアのメルボルンで開催されます。そこに直近の優勝者である石谷貴之さんが出場されます。正直なところ(優勝しちゃうんじゃないかな、、、)という予感もあり是非現地で応援したいのと、いろんなことを吸収しに行きたいと思っているのですが、、、。
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