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スパークコーヒーの品質について、中の人はこんなことを考えています④まとめとアップデート

常日頃コーヒーのことはもちろんあれこれと考えてはいるものの、お店を経営していたり、子供ができたりすると考えることやインプットは多岐にわたります。

そんな今だからこそ、自分が提供しているコーヒーについてのポリシーを今一度確認、アップデートすべく、このシリーズを締めくくる記事を書いてみようと思います。

スパークコーヒーとしてウェブサイトに掲げている品質ポリシーは以下の通りです。

SPARK COFFEE ROASTERSが焙煎するコーヒーは、私たちが100%の信頼を置く、産地を知り尽くし、生産者と太いパイプで繋がれたインポーターによって調達されています。より厳選された素材です。
品質に関して大切なことはたくさんありますが、まず第一には木の実であるコーヒーが収穫される時点において、きちんと完熟しているかどうかということ。それが、コーヒーの風味の豊かさにつながります。
焙煎については、ロースター(焙煎人)の哲学が反映されるべきと考えています。「素材本来の味を引き出す」という表現をコーヒーにおいてもよく目にしますが、少々説明不足です。 そのコーヒーの味作りをしていく上で、香り、酸味、甘味、口に含んだ質感、またあるものは苦味など、 数ある要素の中でどの部分に重きを置くか。そのバランスの取り方こそが重要です。
即ち、個性的なコーヒーとは、素材とロースターとの融合によって作られると私たちは考えています。私たちだからこそ出せる味わいのコーヒーを、是非ご家庭でも。

以前の記事はこちらです。

今回の記事では最後の段落について再考してみたいと思います。

即ち、個性的なコーヒーとは、素材とロースターとの融合によって作られると私たちは考えています。

ほぼ前回までの記事でカバーされていますが、コーヒーの品質については素材も大切だし、焙煎も大切、というのが私の理念です。

先日とあるところで、日本におけるスペシャルティコーヒー界の権威のような方が、「焙煎で自分の味を出そうとするな、と常日頃言っている」「素材のポテンシャルを引き出さなければならない」という趣旨の発言をされていました。

確かにサンプルローストした豆をカッピングすることによって、その豆の個性を理解した上でプロダクションロースト(販売用の焙煎)をすることは非常に大切です。

しかしながら、焙煎技術の行き着くところが単に「豆のポテンシャルを引き出す」ことだとすれば、ある特定の豆の焙煎はどこのお店に行って全く同じになるはずです(同等レベルの焙煎技術を持ち合わせていると仮定して)。

実際にはそんなことはあり得ませんし、同じ豆だとしてもロースターによる味わいの表現の違いを楽しむお客様もいらっしゃいます。



ここで非常に重要なキーワードであるお客様が出てきました。



そうなんです。前回記事でも述べたように、ロースターとして私が味づくりで重視するのはバランスの取り方です。では、そのバランスを考える上で決め手となる要素は何かというと、、、自分の好みもありますが、お客様が飲んでどう感じるかに思いを至らせることだとも思っています。

そういった意味で、コーヒーの味づくりにはお客様が大きく関わっていると言えます。


となると、今まで掲げていたこの1文はちょっと違うような気がしてきました。

私たちだからこそ出せる味わいのコーヒーを、是非ご家庭でも。


私たちだからこそ出せる、というよりは生産者からお客様まで含めた全員で作っている、と言ったほうが今ではしっくりくると思います。

ということで、この最後の段落を修正してみようと思います。


旧:即ち、個性的なコーヒーとは、素材とロースターとの融合によって作られると私たちは考えています。私たちだからこそ出せる味わいのコーヒーを、是非ご家庭でも。


新:即ち、私たちのコーヒーは生産者とロースター、そしてお客様との融合によって作られると思っています。ぜひ皆さんも、私たちのコーヒーの担い手になりましょう。

うん、とりあえずこれでしっくりきます。


5年と少しコーヒービジネスを自分でやってみて、「自分たちの好きなことだけをやって支持される存在になろう」などという考えは毛頭なくなりました。

いや、もともとしっかりバランスを取ろうと心がけてはいたものの、いかに顧客目線が不足していたかを痛感します。

結局のところ、ビジネス的な健全さがなければコーヒーのクオリティは保つことができません。その意味で、味づくりにおいてもお客様を常に意識することは非常に大切だと考えています。


あの偉大なドラッカー先生も言うとおり、事業の目的はただ一つしかなく「顧客の創造」です。趣味ではなく事業としてコーヒーをやる以上、常に顧客の事を考えるべきであるのは、もうずっと昔に結論が出ている事で、多くの場合忘れ去られていることでもあります。

その上で、ロースターとしての「バランス」を決定するのは私です。その仕事は、とてもエキサイティングなものだと思っています。




さて、近々ウェブサイトの方は修正しておくことにして、独り言のような記事のシリーズにお付き合い頂きありがとうございました。

コーヒーの品質や味わいについての見解は本当にお店によって異なり、その違いが消費者目線では選ぶ楽しみにもなり、コーヒーの魅力の一つです。

ぜひ自分好みのコーヒー屋さんと、自分なりのコーヒーのスタイルを見つけてみてくださいね!



ちなみに、焙煎について(特に深煎りについて)の見解はこちらの記事もとても参考になる大切な気づきを与えてくれます。

僕の違和感はきっとここに起因するのだ。全ての人が品質を同じように評価しようとする世界。行き着く先は均質化された世界であり、個性のない世界なのだろうか。

そんな世界は、お客さんが望んでいないですよね。




最後までご覧いただきありがとうございました!そんな私たちのコーヒーのオーダーはこちらからどうぞ。

https://www.rakuten.co.jp/sparkcoffeeroasters/


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