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もはや他人事ではない認知症は、神様からの贈り物


もしもあなたが認知症と診断され、数ヶ月で自分の記憶が全てなくなってしまうとしたらどう感じますか?

もちろん怖いですよね、そんなことは考えたくもないでしょう。

しかし、2025年には65歳以上の人の約18,5%、つまり5人に1人の割合で、程度の差はあれ認知症であると言われています。

もしかしたら、この記事を読まれているあなたはすでにその兆候があるのかもしれません。

薬の開発も進んでいるようですが、そうならないように気を付けるとともに、悪戯に恐れることなく現実を直視することも大切なのではないかと思います。

介護現場で体験した認知症の世界


私はかつて、週末介護士として3年間介護現場に立っていたことがあります。それまでの人生では認知症の方と直接接したことはありませんでした。

両親は比較的早く他界し、家内の両親も80を超えてもお元気で、コロナ以前はしょっちゅう海外へ旅行を楽しむほど健在です。

そんな私が、はじめて介護現場に立った時は衝撃でした。

『カッコーの巣の上で』のような衝撃

映画好きの方ならご存知でしょうが、名優ジャックニコルソンが1度目のアカデミー主演男優賞を受賞した不屈の名作が「カッコーの巣の上で」

刑務所での強制労働を逃れたい男マクマーフイは、精神異常を装って精神病院に入院します。正常者であるマクマフィーから観た病院の世界が強烈で、その違和感が衝撃的なのです。

しかしマクマーフイは最初に感じた違和感よりも、患者の人間性までを統制しようとする病院こそ異常であり、違和感があると思うようになり、それに対して反骨するようになります。

マクマーフイは、入院患者には病院が決めた統一の価値観では測れない、一人一人の価値観や個性があることに気づき、彼らを励ましながら病院の考え方に反発し自由を勝ちとる試みを繰り広げるという話です。

結末はとても切ないのですが胸が熱くなる名作です。

認知症は神様の贈り物

私が勤務した老人介護施設は、1ユニット10名の高度の要介護認定高齢者が共同で生活していました。これが複数ユニットある大型の施設です。

入居者の8割以上は程度の差はあれ認知症でした。

認知症は魂の殺人だとか、心を失う病気と例えられることがあります。しかしこれは健常者から観た一方的な見方です。

最初は私もマクマーフイが感じたような違和感があり、どう接したら良いのか?を迷い、怖かったのです。

でも、介護を通じてわかったことは認知症の方々は決して魂も心も失ってはいないということです。

『ボケるのは神様の贈り物』という言葉がありますが、「老化」のせいで思うように身体が動けなかったり、痛みを感じたり、そんな不安や苦しみと絶望から解放してくれる武器のように思えてきました。

施設で入居者と接して悲哀を感じることはありませんし、みなさんそれぞれとても個性的でユニークで人間らしいのです。

だから、大変なんですけどね!

寧ろ見ていて辛いと感じるのは、頭はしっかりとしているが、思うように体が動かせなくなったり、話すことのできなくなった状態の方たちです。絶望を抱えて生きる苦しみがヒシヒシと伝わってきます。

人間の人生は受け止め方で幸せにも不幸にも感じることができるものです。認知症を取り扱った小説や映画ではシリアスなものものもありますが、コミカルに描かれるものも多くあるのは視点の違いでしょう。

長生きの矛盾、認知症とはうまく付き合う

人生100年時代、人類の寿命は僅かこの数百年で倍になりました。自然の摂理からすれば極めて不自然なことです。

多くの人が、死ぬまで健康でいられないのも無理はありません。人間が呆けていく、これも自然の摂理なのだろうと思います。

だとしたら、最善の予防を意識しながら末長く付き合うしかありません。

もし、ご家族の認知症が進んだとしても、本当に大変かもしれませんが、シリアスになりすぎないことです。

プロに任せていいんです、今まで以上に人間らしく、楽しんで接してください。それは、それで素敵な関係だと思います

認知症の最大の原因はストレスです、ストレスを溜めないことが予防にもなりますし、進行を遅らせることもできます。

人生というドラマをシリアスなものにするか、コミカルに生きるか、どうせなら前向きに捉えた方が得策です!!深刻にならず、明るく人生を謳歌しましょう。


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