見出し画像

60歳の入試体験と新たなスタート

2月8日、暖冬だった今までが嘘のような寒波が押し寄せる中で、42年ぶりの入試に挑んできました。

受験したのは大阪府立大阪北視覚支援学校の理療科で、視覚に障害のある人が
鍼灸師・あん摩指圧師の国家資格の受験資格を得るための学校です。

おかげさまで、2月14日、無事に合格通知が届き、この春から頭ピカピカの還暦で1年生としての生活が(も)スタートします。順調にいけば、3年間この学校に通う予定です。

受験の実態と試験内容

さて、42年ぶり、大学受験以来の入学試験を受けるにあたって、気になるのは専攻試験です。試験科目は、25問の一般常識問題と、400文字の作文。加えて適性検査が実施されました。

説明会で、昨年の試験問題をもらうことができたのですが、その内容は常識問題で、難しいものではありません。作文の議題も一般的なもので、日頃文章を書く仕事をしているので大丈夫だろうと感じました。

テストの出題は「ペーパー」「音声」「点字」
の3つから選べます。ペーパーの場合は光学拡大鏡という必殺兵器の貸し出しがあり、これを使うと私の視力でも読むことができるのでペーパーによる出題を選びました。

パソコン禁止!筆記と口述、どちらを選ぶ?

問題は解答方法です。解答は「筆記」「口述」の二択でパソコンを使うことは許されていません。

視覚障害ですが、日頃はパソコンやスマホのアクセシビリティ機能を使うことで文字を読んだり、入力をすることができます、この文章もバックライトを黒くして、文字を白く浮きあがらせて、自分の目で文字を見ながら書いております。

ところが、紙に文字を書いても自分の書いた文字を読むことはできません。手元が見えないので、文字の大きさもバラバラになってしまいます。漢字は、部首やつくり、へん、が重なってしまい、何が書かれているのか解読できません。

そもそも罫線やマス目も見えないので、文字が蛇行し、飛び飛びになって規則性を持った文章を書くこともできない。何度トライしても、まるで、文字を覚えたばかりの幼児が画用紙に書いたいたずら書きのような作品が出来上がるのです。(涙)

かといって、口述で作文を書くというのも慣れていませんので、案外難しい。どうすべきか悩みました。

ちなみに、前述した光学拡大鏡を使うことは許されていますが、モニターに映し出された手元を見ながら文字を書くのは、宇宙船でマジックハンドを使いながら、船外で精密作業をするような感覚で、よほど慣れていなければ難しい!

一発書きのマジック論文

結論として学校側に相談して、罫線をおもいきり太く濃くしてもらい、マジックペンで文章を書くことにしました。それでもなかなか真っ直ぐ書くことができないので、下敷きを罫線にあてて書くことにしました。

マジックだと書き直しができませんので、文章を頭のなかでまとめてから一気に書かないとなりません。普段は書きながら文章を構築するスタイルなので苦労しました。なんだか、改めて自分が普通でないのだと自覚することに!

この体験で、パソコンやスマホがない時代であったなら、もはや自由に文章も書けないのかと情けなさを感じながらも、つくづく良い時代であるといった思いも交差しました。

試験会場でのサポート—学校側の配慮に感謝


そんなこんなで、不安を抱えながらの受験だったのですが、試験を受けるまでに直接学校に赴き、どのようなスタイルで受験をすれば良いのか、あれこれアドバイスを頂くことができました。

例えば、光学拡大鏡の使い方や、先述のように文字の書き方など実際に私の現在の状況を見て最適なアドバイスと、事前訓練に3回も付きあって指導していただけたのです。支援学校とはいえ、入閣前の還暦のおっさんに丁寧に付き合っていただけたことに感謝です。

おかげさまで、桜を咲かすことができました。

東洋医学を学ぶ意義—既存事業との相乗効果


4月からは、月ー金で学校に通い、毎日6限の授業を受ける生活です。自営業で、基本的に在宅ワーカーであり、商談や会議も可能な限りwebで行なっており、なんとかスケジュ―ルを駆使しながら頑張るつもりです。

鍼灸の資格取得は、東洋医学を学ぶことになります。これは現在の仕事である温浴事業を健康事業として位置づけ、集客をアドバイスするコンサルタント業や、執筆業に幅をもたすことにもなります。

また、支援学校に通うことで、視覚障害に関わる様々な情報を得ることもやはり学びや気づきが多くあるでしょう。そして何より新たな技術を学ぶことにワクワクしております。

還暦の1年生、がんばります!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集