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別れを描いた恋愛映画 第1回 レボリューショナリー・ロード

 私が普段観る映画の9割以上は恋愛映画なのですが、一口に恋愛映画といっても色々なものがあります。大波乱の末に成就するロマンチックなものや、戦争・病気などに運命を翻弄される悲恋もの。

そして、最近私が立て続けに観たのは、当事者が自ら別れることを選んだ作品です。別れる理由はどの作品も少し似ているし、でも少し違っていて、色々比較してみると面白そうだなと感じたので、今回は時代や状況が異なる別れをテーマにした恋愛映画を3回に分けてご紹介しようと思います。

レボリューショナリー・ロード

2008年/イギリス・アメリカ/レオナルド・ディカプリオ, ケイト・ウィンスレット

あらすじ

 1950年代のアメリカのある夫婦を描いた作品。彼らは郊外の庭付きの大きな家に住み、2人の子供に恵まれ、経済的にも安定した暮らしを送っている。

 一見、絵に描いたような幸せな家族のように見えるが、妻のエイプリルは俳優志望だったものの挫折。夫のフランクも仕事にやり甲斐を見出せず、漠然とした空虚感を抱えていた。

 そんな状況を見かねて、エイプリルはかつてフランクが憧れていたパリに移住し、悠々自適な生活をすることを提案する。
フランクもこの案に賛成し、一時は一家に希望が差し込んだように見えたが、思わぬ事態により計画は頓挫。
その後、夫婦の仲は完全に決裂し、物語はさらなる悲劇へと向かう。

感想と考察

 この夫婦の関係が崩壊した原因は、「理想」と「真実」という言葉に集約できると思います。まず、理想について。エイプリルは理想的な家族ということに徹底的にこだわっていたように思います。

彼女が夢に描いていたのは、女優の夢を叶え、夫も趣味を謳歌するような余裕を持つような平凡だけど特別な夫婦でした。
でも、実際には自分は女優にはなれないし、夫もごく普通のサラリーマン。

現実に安住したフランクと、あくまで特別な存在でいたかったエイプリル。
ここが、関係に亀裂が入った原因の1つ目だと思います。

そして、2つ目の真実について。エイプリルは、徹底的に真実ということにこだわっていました。常にお互いの本心を明かし、理解し合いたかったのです。

でも、いくら夫婦とはいえ、いつも相手に100%正直というのは無理です。
「しっかり話し合えばいいのに」という意見もあるかもしれませんが、時にはあえて相手の考えとか根本的な部分を掘り下げない方が上手くいく関係もあるのでしょう(物語のラストにこの点に関して粋な演出があります)。

さらっと流すべきことも全て白黒はっきりさせようとしてしまったところにも、問題があったように思います。

こうみると、エイプリルばかりが悪いように見えますが、エイプリルの良くも悪くも妥協できない部分は自分にも心当たりがあり、決して一方的に非難することはできないなと感じました。

よく後味の悪い作品といわれますが、映画全体としては1950年代のアメリカの雰囲気を堪能でき、芸術性も高い作品なので、個人的にはおすすめです。




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春風
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