男の一人旅 高雄・台南・屏東🇹🇼編②
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2日目も高雄の観光名所を周ることにした。
朝食:興隆居(Xing Long Ju)
まずは朝食の確保である。僕にとって朝食から美味しいものにありつけるかは、旅の最重要課題である。
ホテルからほど近いところに興隆居という「湯包」で有名なお店があったので、初日はここに行くことにした。
まず列に並ぶ前に、その列の先に何があるのか、周りの客はどうしているのかを観察した。
観察していると、どうも一番左の列は湯包のみを購入する列のようで、おばちゃんに個数を伝え湯包を受け取ると、真ん中の列を無視して奥のレジで会計して良さそうな雰囲気だった。
対して真ん中の列は、湯包以外の他のメニューも食べたい人が並んでいる列で、食品ケースから好きなものを取って会計する形式のようだった。
もし行かれる方がいれば、参考までに。
この湯包の何がいいかというと、島木譲二のようなスキンヘッドのおっちゃんが店前でせっせと蒸しあげており、出来立てほかほかが食べれることである。
中には十個以上買っていく人もいて、地元の朝食を支えているような店だった。
もちろん英語が伝わらないので、お得意のジェスチャーを駆使し、無事2個購入することができた。
その足でホテルまで戻り、早速実食してみた。
噛んだ瞬間、肉汁が溢れんばかりに飛び出してきて衝撃を受けた。こんなジューシーな肉まんは日本で食べたことがない。
湯包は小籠包に近い料理とのことで、実際には肉まんではないのだが、この店の湯包は肉まんくらいのサイズがあるので、あたかも肉まんと錯覚する。それにも関わらず、1個100円くらいなので安すぎである。
外の生地はもっちりふっくらしていて、弾力がある。中の具材は忘れてしまったが、豚肉ベースにキャベツやネギが入っていて、とにかく肉の旨みがすごい。
こんなに美味しくて 1個100円なら、そりゃ行列になるのも納得の味だった。
ここでなんとなく感じたことは、人が毎日のルーティンをこなすことが日常の平和につながっているのかもしれないということである。
毎日毎日行列ができて、湯包を蒸したり、箱に詰めたり、接客をしたりと、忙しそうには見えたが活気がとてもあった。そこには考えるという隙がなく、日々やるべきことを各々がこなしているように見えた。余分な無駄がない。何か「ちりつも商売」の良いところを発見できたような気がした。
高雄三鳳宮(Sanfong Temple)
続いて、これまた歩いていける距離にあった高雄三鳳宮に行った。ここには、毘沙門天の息子と言われる中壇元帥が祀られているらしい。
結構有名な場所のようだったが、平日の朝ということもあってか、参拝者はほぼいなかった。
無料で見学できるにしては、装飾が細かく造りがしっかりしている。チェンマイでもそうだったが、この手のお寺の装飾には尋常ではない人手がかかっていて、現代では到底及ばない過去の遺物の凄みを感じられた。
蓮池潭(Zuoying Lotus Pond)
次に、高雄北部にある湖である蓮池潭にバスで向かった。蓮池潭の付近は歴史が古く、最も廟が多いエリアとして知られ、高雄のパワースポットとなっているらしい。
高雄市内はバスが充実していて、定刻通り来ないことも多いが、1回13NTD〜(約70円)で乗れるので重宝する。
バスの乗り方は日本と同じで交通系 IC カードを乗車時に読み取り機にタッチし、降りる時もタッチする形式。
また、バスの前面に番号が表示されているので、google map を使えば行き先も迷うことはない。
ちなみに、優先座席は台湾人も日本人と同様に、利用者がいなくても座らない傾向が強かった。
このように、現地の電車やバスの乗り方を一つ一つクリアしていくことが楽しい。些細なことだが、一人旅だとちょっとした自信がついていく。
鳳山縣舊城(Fongshan Old City)
1722年に築かれた台湾初の土城の跡地。第一級古蹟に指定されている。
龍虎塔(Dragon and Tiger Pagodas)
医療の神である保生大帝を祀る慈濟宮が設けた二つの楼閣。
城邑左營慈濟宮(Chiji Temple)
春秋御閣(Spring and Autumn Pavilions)
1899年創建の関帝を祀る啓明堂がその目の前に建てた2階の楼閣で、その間には龍の背に乗り慈悲救世を行う観音菩薩の像が立つ。
左營元帝廟北極亭(Zuoying Yuandi Temple)
蓮池潭の真ん中に鎮座し、存在感を放っているのは高さ24mの北極玄天上帝の像。足元を見ると亀と蛇を踏みつけているが、これは魔王を退治したという神話のエピソードから。
左營孔子廟(Kaohsiung City Temple of Confucius)
蓮池潭の北端近くにある、台湾最大の規模を誇る孔子廟。
哈囉市場(Ha Luo Market)
左營孔子廟を抜けた先に、哈囉市場があったので少し様子を覗いてみた。
魚や野菜、果物が豊富に揃っており、近隣住民がバイクで買いに来ているのが印象的だった。また、衣料品や生活雑貨も売っていて、タイやベトナムの市場に雰囲気が似ていた。
昼食:名家手工潮州餛飩麵(自強店)
その後、バスに乗り込み、厚得福湯包麵食專賣店(Hou De Fu Soup Dumplings and Noodles)という人気の店で昼食を取ろうと思ったのだが、生憎満席だったので、近くの別の店に入った。
乾麺(ガンミエン)は、「スープのない麺料理」を指し、麺に直接タレや具材が絡められており、つけ麺のように汁に浸さずに食べる料理。
日本でいうところの「まぜそば」に近い印象で、麺はラーメンというよりビーフンに近かった。かといって、日本のビーフンのような覚えのある味でもなく、割と美味しかった。
もっと美味しかったのが、紅油炒手(ホンヨウチャオショウ)という水餃子。名前の「紅油炒手」は「ラー油ワンタン」という意味だそうだが、豚とエビが餡に入っていて、シンプルだが旨みが深い。
味の決め手は、たっぷりとかかった甘辛のソースで、これが水餃子に抜群にマッチしていて抜群に美味しかった。
ふらりと入ったお店だったが、当たりだった。
デザート:鍾家高雄綠豆湯大王
昼食の量が物足りなかったので、近くの鍾家高雄綠豆湯大王というデザートが有名なお店に入った。
メニューを眺めても、何が何だか分からなかったので、おばちゃんにオススメを聞いたが全く通じ合わず、大々的に推されていそうな緑豆湯を頼んだ。
緑豆湯(リュードウタン)は、高雄市の伝統的なデザートスープで、緑豆(緑小豆、もやしの豆)を煮て作る甘いスープは暑い季節に特に人気があるようである。
また、緑豆には体を冷やし、熱を取り除く作用があるとされ、夏場の清涼飲料として親しまれているらしい。
実際に食べてみると、スープと緑豆自体はそこまで甘くない。写真には写っていないが、底に甘い小豆が沈んでいて、それと一緒に食べると美味しかった。
どこか台湾風のぜんざいのような印象で、甘さ控えめで健康に良さそうな感じがした。
旗津(Cijin)
鍾家高雄綠豆湯大王から近くのバス停まで歩き、そこから旗津という半島を目指した。調べると、もともと陸続きだったが、港の建設に伴い独立した島になったそうである。
バス停で待っていると、白髪混じりの中年男性に英語で声をかけられた。
中年男性「What’s this?」
指さされた先には、無数のロッカーみたいな荷物置き場みたいな施設があり、男性はこれが何か知りたかったようである。
僕は「I don’t know.」と返すと、男性は「君は台湾人ではなく...」と言ってきたので、日本人と答えてあげた。
その後、英語で会話のラリーが続き、おじさんが韓国人であることが分かり、「大阪にも福岡にも行ったことがあるよ」と若干話が盛り上がった。
おじさんの風貌から優秀なビジネスマンの気がするのだが、終始鼻毛ががっつり出ていたことがやけに頭に焼き付いている。
旗津には鼓山輪渡站(Gushan Ferry Pier Station)というところからフェリーが出ている。フェリーといっても5分くらいで着いてしまうので、広島の宮島フェリーと同じ感覚である。
旗津は観光名所だけあってか観光客が多く、旗津老街沿いにはお店が並んでいた。
一方、海水浴場があるので、若い地元住民がサーフィンを楽しむ姿もあり、気軽にサーフィンに来れるなんて、やったこともないが羨ましく感じた。
特にすることもなかったので、海沿いを歩いていたところ、男女4人組がバギー車でこちらに向かって進行していたのだが、帽子を落とすのが見えたので、自分の頭とバギー車の後方を指さすと、ようやく気づいたらしく、「シェイシェイ、シェイシェイ!」と何度もお礼された。
僕は日本にいる時も、目の前でボールペンや帽子など何かを落とされることが極めて多く、その度に拾ってあげているのだが、何もないと思いつつも、徳を積んだ気分になるので気持ちがいいものである。
斗六冰城 旗津二店(Dou Liu Ice Town )
ここまで台湾の気候について触れてこなかったが、昼間は 11月というのに半袖半ズボンでいける感じである。
歩き疲れたので、斗六冰城というアイス屋さんに入った。
このお店は1978年創業のレトロなアイスクリームパーラーで、添加物不使用の自家製にこだわっているらしい。
今回は道沿いにあった2号店の方に入ったが、店内は扇風機の前で暑そうにしている店員さん一人で他は誰もいなかった。
12種類から3つ選べる定番アイスを注文し食べてみると、ラクトアイスとシャーベットの中間といった食感だった。
驚くほど美味しいわけではなかったが、昔ながらの味といった懐かしい感じだった。
旗津星空隧道(Cijin Tunnel)
再び歩き出し、港方面に戻り、旗津星空隧道というトンネルに向かった。
トンネル自体は特に凄い感じでもなく、言い過ぎだが、梅田スカイビルに抜ける地下通路となんら変わりない印象だった。
珊瑚礁岩壁(Coral Reef Cliff)
一方、トンネルを抜けてからの景色は圧巻だった。
船越英一郎が火曜サスペンスで犯人を追い詰めるかのごとく、岩肌の剥き出した崖が現れ、そこに波が激しく叩きつけられていた。
もう少し夕暮れ時に来れば、より荘厳な景色が観れると思ったが、それを除いても素敵な場所だった。
西子灣觀景臺(Sizihwan Lookout)
珊瑚礁岩壁にしばらく滞在した後、再びフェリーに乗り込み、鼓山側へ戻った。港から少し歩いたところに夕日鑑賞スポットである西子灣觀景臺という場所があったのでそこへ向かった。
この西子灣觀景臺であるが、高雄八景にも数えられる有名な場所で、家族連れやカップルで賑わっていた。
おそらく、人生で夕日を眺めるためにどこかに足を運ぶという経験がなく、こんなに綺麗な夕日を観たのは初めてのことだった。
写真はまだ明るいうちだが、ここから少し暗くなっていき、太陽が紅赤色に輝き、だんだんと地平線に消えていく姿は感動的だった。気づくと、ここで一時間くらいベンチで座っていた。
夕食:洪家炒飯
そこから一度ホテルに戻り、夕食を何にしようか考えたが、目当ての店が定休日だったので、しょうがなく前日訪れた洪家炒飯で夕食をとった。
前日とはメニューを変え、キムチ炒飯と卵スープを注文してみた。
炒飯は目の前のでっかい鉄鍋で炒めてくれるので安定の美味しさだったが、卵スープが意外にも美味しかった。
熱々の甘めのスープ(おそらく味噌入り)に卵が入っているだけなのだが、予想外の旨さがあった。日本をちょっと離れてみるだけでも、食の発見があるので面白い。
食後のお茶:濃厚舖青草茶 六合總店(Nong-hou-pu Herbal Tea)
台湾に来たのにまだお茶を飲んでいなかったと思い、最後に濃厚舖青草茶というお茶屋に入った。
地球の歩き方に「飲むと胃がスッキリとし、食後にオススメ」と書いてあった薄茶を注文した。
ホテルに戻って飲んでみると、薄茶という名前からは想像できないキシリトール入りハーブティーみたいな味だった。
美味しくはなかったが、確かに胃はスッキリした。
つづく