クレープ屋で800円の宝石を買った
昨夜、地元の冬のお祭りの屋台で、子どものように出店でなにか買おうと歩いていると、
とあるクレープ屋のメニューに気になる2文字。
「💎宝石」
一度はスルーしたものの、やはり気になる。
私「ねぇねぇ、さっきのクレープ屋さん、メニューに宝石って書いてあったよ。なんだろうねぇ??」
一緒に行った父と母、そしていとこのお姉ちゃんに話しかける。
母「なんだろうねぇ(全然聞いてない)」
いとこ「なんだろうねぇ(全然聞いてない)」
完全にあしらわれる。
他にもクレープ屋はあったものの「💎宝石」の2文字が気になる。
他のクレープ屋は空いていたけれど、そのお店は何人か並んでいたので人気なのかなぁと思ったこともあり、
私「わたし、宝石が気になるからここにする!」
いとこ「いいよ〜、じゃあわたしもそこで買う~」
ということで、並び始める。(この時点で寒いのが嫌いな父は離脱。)
改めてメニューを見るとその隣にも、
「⚾️ホームラン」「🌸さくらちゃん」
クレープ屋では見たことない文字の並び。しかも「800円」と、田舎のお祭りの屋台にしては若干攻めた値段?な気もする。
にしても、宝石ってなんだ…???
私「あ、ASMRでよく見るあのサクサクする琥珀糖でも乗ってるのかなぁ…!?琥珀糖好きだし、いいかも〜!」
母「どんなのかわからない方が、楽しみが膨らんでいいんじゃない?」
たしかに!いいこと言うじゃん、母!
私「さくらちゃんは……「さくら」って名前の子が注文して生まれたメニューとか!?裏メニューが本メニューになったみたいな、田舎の店でよくあるそういう感じかな???」
とかいろいろ考えつつ……
時は経つが、待てど暮らせど列が進まない。
気になって店員さんの様子を覗く母。
母「年配のお父さんとお母さんがふたりでやってるんだわ。あの手つきだと時間かかりそうだね…」
でもまぁ、「💎宝石」気になるし……と思い、母と久しぶりに会ったいとこと、楽しく推しの話なんかをしながら待つ。
メニューの方を見ているといろいろ気になるものが。
クレープの容器にぬいぐるみが刺さっている…!
クレープに刺されるとは思ってなかったであろう猫や少し薄汚れたアンパンマンたちは、哀愁がある。そして…
全部自信作!きよも幸せ
「今日も幸せ」のミス??
もしくはクレープつくっているあのお母さんの名前が「きよ」とか…???
深まる謎……
そしてクレープをつくっているお母さんの方を見ると、着ている黒いコートにどうしたらそんなにつくん?ってくらい生クリームがついている。
ただのクレープ屋じゃないと思い始めた安定思考のいとこはこのへんで離脱。アンパイのクレープ屋へ。母も他の店へ……
わたしの番はまだ来ない……
わたしの番が来るまでに、母はイカの焼いたやつとドラえもんのカステラを帰ってきたし、いとこも別のお店でクレープを2個買って帰ってきた。
そして、やっとわたしの番!
時は満ちた…!!!!!
注文するゼ〜〜〜!!!
「💎宝石をひとつください!!!!!」
👴🏻「あ、これな?(お父さん、見本のクレープを指さしながら」
あ、これなん!?出来上がるまで楽しみにしようと思ってたのに……
でもなんかキラキラしててかわいいし、まぁいっかー!
私「はい、じゃあこれください!」
👴🏻「はいよー。」
わたしの注文を受けてお母さんが真っ先に取り出したのは、
ギンビス!!!!!(ゴマのついた棒状のビスケット菓子)
絶対、お父さん👴🏻のつくったあのシンプルでかわいい「💎宝石」の見本には乗ってなかったよ?????
しかもバナナとか中のクリームとか、クレープの本体部分できてないからね??トッピング早いから!!!!!
気になったけど、まぁわたしのやつに載せるとも限らないから、黙って待つ。
👴🏻「これはな、俺がつくったんだ。」
自慢げに言うお父さん。たしかに、シンプルで若者ウケしそう、結構いいセンスしてる!
👴🏻「おい、上手につくれてぇ(お母さんの方を見ながら)」
※新潟弁で「上手につくれよ」の意
え、でもさ、見本を作ったお父さんはずっと生地焼いてて、クレープを巻くのは横のお母さんらしい。大丈夫かな?????
ちなみに宝石の見本のとなりはなんだ…?
私「これはなんですか?」
👴🏻「これはね、ホームラン」
たしかに、丸いボールっぽいのと、バットに見立てたであろうギンビスが乗ってる。
あ、で、右のが「🌸さくらちゃん」か。
たしかによく見ると「ホー」とマジックでうっすく書いてある。となりの宝石とさくらちゃんにも。
さくらちゃんはどこがさくらなんだ?上に乗ってるのがピンクだから?
てか、なんか「おっとっと」刺さってない…!?
確かにお会計コーナー付近を見ていると「おっとっと」の箱が。
27年と14日の我が人生。かつてクレープ屋で「おっとっと」を目にしたことがあっただろうか……?
しかし、わたしもこの店に立ち寄って早20分。もうそんなことじゃ驚かないからだになってきた。
そうこうしているうちに、お母さんは生地にバナナを乗せ、クリームを絞り、巻き巻き。そして、紙のケースに入れ、さらに生クリームを乗せていくが、その量も多いこと多いこと。
そして、お母さん、手元のクレープを見ながら…
👵🏻「なんか、寂しいな…🤔」
とぼやきながら、明らかにわたしが「これで!」といった「💎宝石」の見本には乗っていないお菓子をいろいろと取り出し、ポイポイ乗せ始める。
もう、なにが正解かわからない。
若い可愛い女の子(←)を前に、あまり会えていない孫でも思い出していろいろ乗せたくなったのか…
はたまた、めったに頼まれないメニューでよくわかってないだけなのか…
(マジで半々くらいの可能性でどっちもありえる!!)
このへんから、もうだんだん可笑しくなってきて、目から水を流して笑っていると……
最後にはイチゴまで2個も乗せるお母さん。
脇でお父さんが、見本と違う、みたいなことをボソボソ言ってる…そんなことにはお構いなしのお母さん。
👵🏻「はい、どうぞ!全部乗せだ!」
もうそれ違う商品だから!!!「💎宝石」じゃないから!!!!!
あくまで心の声。でもまぁ、ご好意でいろいろ乗せてもらったし、ありがたくいただこう!と受け取り、帰ろうとする。
(((( 金払え ))))
もういろいろ面白すぎて、お金を用意しておく時間なんていくらでもあっただろうに、忘れていた。もう一回、お母さんにクレープを預けて支払う。
👵🏻「800円でーーーす!大盛り(そのあとなんて言ってるか聞き取れない)」
無事支払いを済ませ、またクレープを受け取って帰ろうとすると…
👵🏻「はい、おまけ!」
と、最後にメレンゲを固めたピンクのお菓子を渡される。
いやいや、なにゆえのおまけ?てか、持てないしwww
私「ここに乗せちゃってください!笑」
念願の「💎宝石」(絶対違うけど)を買って帰るのだった……
そして、家に帰って念願の「💎宝石」(?)を食べようとするが……
こちとら、すでクレープ屋での数十分で笑い疲れ、このエピソードを車で待ちくたびれていた父に話すなどしたあとで、もうクレープを食べたい気持ちなんてとうに薄れてしまった…。
なんとか食べ始めるが、トッピングの大渋滞(※文末に特集:宝石の解剖図あり)で、クレープの本体?とも言えるバナナとかチョコソースの部分に全然辿り着けない。
そして、お母さんの裁量で増えまくった生クリームが、20代後半ともなると重たい……
昨夜は結局食べきれず、タッパーにいれ冷蔵庫で保管し、今日と合わせて2日間かけて食べたのだった……
新潟の片田舎で、若い頃からクレープを焼き続けてきたかもしれないあのふたりには、あのアラザンでキラキラしたクレープが宝石に見えたのかな……なんて思うと、じんと胸に来るものがある…
※800円で、宝石を買う以上に素敵な体験が。昭和にタイムスリップしたような体験が、あなたを待っている。気になる方はぜひお祭りの際に、探してみてね。
※うしろにも並んでる人が何組かいたし、お会計でばたついてちゃんとお礼言えなかったけど、泣けるほど笑える時間をありがとう。
特集①「💎宝石(絶対違う)」の解剖図
特集②お母さんの後ろ姿
特集③店の脇の写真たち
帰って写真を見返すと、店の脇にいくつか見本の写真がある。
どう注文するととこれが出てくるのか???「星たべよ」とかささってない?しょっぱくて絶対合わないゼ……??世界観重視??
もはやこの写真が、何が出てくるかわからない、魔のクレープ屋の伏線だったとか…??
おしまい