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「デマ~『3びきのうさぎ』~」
『3びきのうさぎ』 文: ゼルク・ゾルターン 絵: レイク・カーロイ 訳: マンディ・ハシモト・レナ (文溪堂)(2011/11)
2012.03.15記録
今の時世に気になる事もいろいろある中、以前書き留めていた文があったのでここにも少しばかり書いておこうと思います。
学生時に講義を受けた情報学ゼミの中で、“デマ”について書かれていた項がありました。
いわゆる虚偽の情報の怖さやなぜデマが発生するかとかの内容だったと思いますが、如何せんウン十年前の勉強なので、細かいことは忘れてしまいました><;
とにかく、特に人の口伝えというものには枝葉がつきすぎたり、逆にそぎ落とされたりしてしまったりで、元情報とは似ても似つかない内容になってしまいがち。
伝言ゲームがそのいい例で、以前よくTV番組のゲームに使われたりしていましたね。
でも公的な情報にとって、これほどやっかいなものはありません。
特に、災害時におけるデマは絶対にあってはならないものです。
もっとも、原発事故で流れた情報の信ぴょう性は、意図的なものもあったり、大元の政府・国、現場のはちゃめちゃな状況により、かなり疑わしいものではありましたが。
こちらの絵本は、まさに伝言があっというまにいろいろ付け足されたり、大幅に誇張されたりと、最初の情報からかなりかけ離れたことが伝わっていくというブラックユーモアなおはなし。
(もちろん、子どもが安心して楽しめるゆかいなおはなしです。)
読んでいるこちらはゆかいでおもしろいおはなしですが、出てくる動物たちにとっては伝えられるはなしは命にかかわる大変な情報となっていきます。
そんな命を脅かされるという恐怖が、かえって気持ちを高ぶらせ、正確な情報を咀嚼することができず、オーバーな表現になって伝わっていってしまうのでしょうね。
東北の震災時、携帯メールでのチェーンメールのことが大々的に報じられました。
当時、長男にも私にもやはり届きました。親しい人からそれぞれ届いたものでしたが、どちらも不安・恐怖・心配をいっぱい抱えて、何も知らずに送ってしまったメールでしょうが、チェーンメールとデマの怖さをよく知っているので、長男にはそのままストップさせ、私は送り主にやんわり指摘してあげました。
最近では、やはり姉から幸運を呼ぶという画像が送られてきました。
これ、本当!?というような画像でしたから、信じるに値するものではありませんでしたが、特に害をもたらすものではなかったのでそのままにしておきました。
しかし数日後、本人から謝罪メールが届きました。
別の人から(同じように良かれと思ってこの人物にも送ったのでしょうね)
「この画像は東北の震災の時に広まった偽画像だよ!」
とたしなめられたそうで、すごく申し訳なさそうでした。
害があるにしろないにしろどちらにしても、本当の情報ではないので良かれと思ってもデマは広めてはいけないのです。
絵本については、子供たちもきっと楽しく読んだり聞いたりしてくれるいい本なので、もし見かけたら手に取ってみてくださいね。
絵がまたかわいくて、いい味出しています(特に表紙のうさぎの表情がいいですね)
東欧(ハンガリーの絵本です)らしい絵柄ですよ。
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このレビューをはじめに書いた当時(2012年)もそうですが、今現在でも世の中にはありとあらゆる情報があふれています。あまりの情報過多に、私たちはいったい何を信じて考え行動すればいいのか一瞬わからなくなってしまいそうです。
どの情報も信憑性がありそうで、内容をついそのまま鵜呑みにしてしまいがちですが、そこはやはり一旦落ち着いてその情報の出所を一度確認することが大事でしょうね。
ちゃんとしたデータや事実確認が取れていると確証されたもの、信じるに足る公的機関や書物などで確認できる情報かを自分で手に入れることが求められます。
そこを踏まえて、他の誰かに拡散してもOKかを見定められるようにしていきたいですね。
自分が手に入れた情報を、安易に広めないようにしたいものです。