『あるヨギの自叙伝』(パラマハンサ・ヨガナンダ著 森北出版) という本のこと

偶然再会した先輩から急に本をプレゼントされる

 この本に出会ったのは、おそらく13年くらい前のことになる。当時渋谷のあるヨガスタジオに通っていた頃のこと。好きだったシバナンダヨガのクラスに少しだけ遅れ気味に入って行った。90分のクラスを終えたとき、声を掛けられたのが、さらに遠く遡って大学時代の研究室の先輩だった。

 東京のど真ん中、まさかヨガのクラスで再会するとは・・・とお互い大変に驚いて、ちょっとお茶しましょうということになった。別にお互い東京出身というわけでもなく、大学は西日本の山の中。東京で働いていることなど全く知らない。

 先輩は、唐突に、その前に、渡したいものがある。と言って駅前の大きな本屋に入って行った。そこでなぜか先輩が購入してプレゼントしてくれたのがこの本だったのである。ちなみにこの本は5000円くらいする高価な本であり、突然もらうということにはかなり驚きと戸惑いもあり不思議な気分だった。

 先輩に聞かねばその理由はよくわからないが、「よくわからないけれど、この本をあげなければいけないという気がした」と言っていたような気がする。

本をあっという間に読み終わる

 当時、私は人生困難の最中にあった。家は一番しんどい場所だった。寝るのにもいつでもどこにでもいけれるように鍵とかポケットに入れて寝たり・・状況を打開する方法を様々なところに求めていて、ヨガもその一つだった。少なくともこのクラスに行くときは心が穏やかになって幸せな気分になるのだった。

 しかし、先輩はもちろんそんな私の状況は知らない。

 この本は、手に取ればわかるが、大変分厚い本で500ページを超える超大作である。当の先輩は、読むのに大変苦労したとおっしゃっていたけれど、当時の私は貪るように読み、一ページ一ページが終わってほしくないと願いつつ、あっという間に読んでしまった。全ての文章が大切な宝物のように心に響いた

印象に残ったシーン

 内容の全てが心地よく、面白く、目からウロコが落ちるような気持ちだったのだが、今その本は大事な知り合いに預けてあって手元にないのでちょっと引用・・というわけにいかない。ただ、とても印象に残った部分がある。それは、ヨガナンダ(この本の著者であり主人公)が、自らのグル(師)である、スワミ・スリ・ユクテスワに出会うシーンである。街の中を歩いていたヨガナンダは、スリ・ユクテスワを見たとき、勝手に足が止まる。

 その後、気を取り直して、再び通り過ぎようとするのだが、勝手に体が引き返してグルの前に止まったのだった。

 そのような出会い、そのような直感というのがあるのだなあと覚えている。理性ではどうにも説明できないことだと思う。でもそれほどまでに劇的な出会いではないにせよ、人は日々、そのような何気ない出会いを繰り返している。それが自分の人生を左右するような出会いになることだってある。いやむしろ、振り返って見なければわからないほどきっかけは些細なことだったりするのだと思う。

 その本を読んでいた頃はかなりヨガにハマっていたので、本を読んだり、クラスに通ったり色々していた。

 いつしかヨガをしなくなり・・・・

 夏にその本が手元に帰ってきたら少し見直して見たいなと思う。今はどう感じるかはわからないけれど、間違いなく人生の中で思い出深く、影響を受けた本の一つに違いない。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集