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【読書日記#01】『金曜日のアンナ : 不思議なことばの世界へ』Anna på fredag : en ungdomsroman om språk og språkvitenskap

1.概要

ヘレーネ・ウーリ著 ; 福井信子訳 (1999) 『金曜日のアンナ : 不思議なことばの世界へ』大修館書店.
原題は、Anna på fredag : en ungdomsroman om språk og språkvitenskap

内容
物語の中に広がることばの万華鏡

アンナはビョルンの妹のベビーシッター。毎週金曜日にやってくる。アンナに導かれ、ビョルンはことばの世界へ引き込まれる。物語の中に繰り広げられることばの万華鏡。――アンナとは、いったい誰? 読みやすくわかりやすい、児童書風の言語学入門書。

株式会社大修館書店「金曜日のアンナ 不思議なことばの世界へ」2024年2月4日アクセス<https://www.taishukan.co.jp/book/b196920.html>.

目次
1 アンナとの出会い…プロローグ
2 バイキングのことばはどうしてわかりにくい…ことばは変わる
3 発音どおりに書かないのはなぜ…文字について
4 いろいろな言語があるわけ…印欧語について
5 2種類のノルウェー語があるわけ…ノルウェーの言語事情
6 ことばはどんどん旅をする…外来語と借用語
7 ことばを使うのは何のため…言語の役割
8 限られた材料で無限の表現力…言語の構造
9 何語を話すかで世界も違って見えるの?…言語の相対性
10 子どもはいつごろ話し始めるの?…言語の習得
11 人間は習わなくても話せるようになるの?…言語の生得性
12 左脳は学者で右脳は芸術家…脳について
13 バナナ泥棒に出会った…動物と人間のちがい
14 アンナは誰?…言語とは

株式会社大修館書店「金曜日のアンナ 不思議なことばの世界へ」2024年2月4日アクセス<https://www.taishukan.co.jp/book/b196920.html>.

2.感想

ノルウェーの文学が読みたいと思い、図書館へ。数冊手に取ったところで、この本と「目があった」。
本書は、上記・内容にも引用した通り、「児童書風の言語学入門書」である。
学生時代、言語学をちょっとだけ齧り、また苦い思いもした私だが、本作にもっと早く出逢いたかった。

内容自体は、言語学の入門書なので、言語学を学んだ人には正直物足りないだろう。だが、本書の面白い点は、「ノルウェー人のビョルン」からの視点で、言語学に触れていくところだ。
ノルウェー語を学びたいと思っていたときにこの本を読んだため、ノルウェー語の特徴であるとか、ノルウェー語話者の観点であるとか、自分がノルウェー人の少年になった気分だった。

本書の一番読み応えがあるところは、本編もそうではあるのだが、何よりもpp.206-227の、「金曜日のアンナ――注」が面白い!
各章の注がまとめてられており、読み物として非常に楽しめた。

ノルウェー人から見た言語学であったが、これが私の視点で展開する物語ならどうなるのだろうか。
間違いなく、日本語の歴史の中での分断であるとか、文字の移り変わりは入るよな。余白があれば宜蘭クレオールとかも入れたいよな。
なんて想像するのも楽しい。

ブークモール以上に、ニューノシュク(本文には、ニーノシュクではなく、ニューノシュクと記載)への興味が更に湧いた。
手元において置きたい本。

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