心に耳を傾けて
ある海外文学と出会った。それは「アルケミスト 夢を旅した少年」というパウロ・コエーリョが書いた小説である。
今から34年前に発売された作品でこれまで多くの国と地域で翻訳されている。今回はその日本語訳版を講読した。
あらすじは下記の通り。
そもそもアルケミストとは何なのかというと、英語表記で「alchemist」=錬金術師という意味である。ただ、今回の主人公・サンチャゴは錬金術師ではない。今回の場合の錬金術師は、サンチャゴと旅の中で出会い、導いてくれる存在として物語の中に登場する人物である。「錬金術」については僕も調べるまでよく分からなかったが、簡単にいえば、ある物質から別の物質を作り出すような感じである。卑金属を貴金属に変える?みたいな感じ……常識や今の技術では困難なことを解決、実現させたり研究したりしている人のことを指す。この小説では実際にモノを何かに変えるのではなく、おそらく物事の価値観や考え方、感じ方を変えるという意味で用いられたのだと推測した。
印象に残ったセリフを引用する前に少しだけ感想を書きたいと思う。メルキゼデックという人物の言葉の中で、自分自身が誰であろうと、どんな立場で何をしていようと、何かをやりたい、叶えたいと思った時、その望みは宇宙の魂から生まれたものであり、かつ地球においての自分の使命になっているのだという部分があった。
たしかに僕自身もやりたいこと、叶えたいことが沢山ある。それが宇宙の魂から生まれ、さらには地球という環境に生きている間に自分自身に与えられた使命なのだという考え方にはなるほどなと頷くことができた。夢を叶えたり目標を達成したりすることは難しい部分もあるけれど、諦めずに追い続けたり、自分がそれを望んだのには、自分にとって何か意味を持っているのだと感じたりすることができればより人生も豊かになるのかもしれない。
物語に登場した錬金術師が導いてくれる存在だったのはもちろんだが、主人公・サンチャゴも、実は僕たち読者にとっては、人生のあり方や生き方についてヒントを与えてくれる存在として「錬金術師」とも捉えられるかもしれないなと感じられた。自分次第で人生はいくらでも変えることができる。つまりどんな生き方をするか、どんな夢を追うかは自由なのだ。ただその中で今現在持っている何かを手放さなくてはならないこともある。一方で大切な仲間や自らが積み重ねてきた経験は一生自分の中に残り続けるものである。夢を追い続いて最終的に叶ったり、手に入れたりすることも重要だけれど、その過程で身につけた能力や知識、感じた気持ち、学んだ教訓こそが自分にとって1番重要なものなんだなと気づかされる作品だった。
最後に印象に残ったセリフを引用したいと思う。
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