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映画の話414 がんばれ!ペアーズ

 小学生の頃、映画館で観ました。人生に失望していた大人と、全然弱くてやる気のかけらもないベアーズの少年たちが、次第にひとつになって戦う姿がベタといえばベタなのですが、シンプルさゆえにとてもすがすがしい気持ちになったのを覚えています。
 当時は部活動とか学校外部でのクラブチームなんか、少なくとも地方の田舎には皆無でした。今でこそ部活や塾、習い事をやっていない者=帰宅部みたいな図式ですが、貧しく、また、何も整っていなかった70年代は、放課後にみんなで小学校か公園にチャリで集まって、広さと人数によって三角ベースかダイヤモンドか都度都度決めて草野球していました。ですから今の時代の少年たちよりはるかに野球が身近にありました。
 「がんばれ!ベアーズ」を観た時、大人の監督までいてこんなに恵まれているのになんでやる気がないのか、とか、ユニフォームがある時点で、凄すぎる、やっぱりアメリカはすごい、とか、まさに憧れの思いがいっぱいでした。ちょうど同年代の少年たちが、かっこいい姿と、十分すぎる施設で野球をしていたのです。「がんばれ!ベアーズ」は、豊かなアメリカの象徴でした。
 果たして、あの頃の私たち少年はユニフォームやベンチつきのグラウンドなど、憧れしかない時代でしたが、今の少年たちと比べてどれだけ幸福なのか、それとも可哀想なのか、などと思います。

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