👂【True Love】ノベルセラピー作品

by  mamy

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黄色いパーマにそばかすほっぺのローリーは、おっとりマイペースな16歳の男の子。
今日も大好きな歌を歌いながら学校から帰ります。

帰り道の途中にあるエリーザ広場はローリーのお気に入りの場所です。
赤いレンガの石畳が広がっていて、中央には噴水がありその周りには赤、黄、紫、青、白、色とりどりの花が美しく咲いています。
ベンチに座り絵を描いている人、イヤホンで曲を聴きながら休んでいる人、ジョギングしている人など、それぞれ自由気ままに過ごしています。そして、夜になるとランプの電灯が灯り幻想的な風景になります。

ローリーは、広場の真ん中で気分がとっても良くなって両手を広げて大きくターンをしました。その瞬間……

ミ「いたっ」

ロ「あ！ごめんなさい。」

ローリーはびっくりしました。
すらっとした女の子の肩に当たったのでした。

名前はミッシェル。ミッシェルは目鼻立ちがくっきりとしていて、茶色いサラサラロングヘアーに赤い眼鏡をかけています。ツンとしている感じがしていて頭もよく学校では優等生。ピアノが得意でみんなのあこがれの的です。ローリーと同じ16歳。


ミッシェルはピアノのレッスンのために家に帰るところでした。目の前に急に腕が出てくるからびっくりしましたが、急いでいたので何事もなかったかのようにその場を去りました。


あの女の子、どこかで会ったことがありそうだな…そんなことを考えながらローリーは家に帰りました。


次の日、学校の休み時間に中庭を眺めているとベンチに座っておしゃべりしている女の子にハッとしました。

（あ！この前広場で僕とぶつかった女の子だ！）           

ローリーはすぐにわかりました。

そうです。ローリーとミッシェルは同じ高校に通っていたのでした。

その後、二人は時々一緒に帰りエリーザ広場で話をするようになりました。ローリーは歌を歌うことが大好き。ミッシェルはピアノを弾くことが大好きだったので、二人は大好きな歌やよく聞く曲の話をして時を楽しみました。


ある日、恋の秘薬「かのこ草」の新芽が空から舞い降りてきました。そして二人のハートに留まりました。
ローリーとミッシェルは見つめ合い一瞬で恋に落ちました。

ローリーはミッシェルの瞳の奥に、この人だ！という感覚を覚えました。ミッシェルはローリーの事をずっと前から知っているような懐かしい感覚がしました。
二人は見つめ合ったその瞬間、遥ずっと昔から繋がっていたことを思い出しました。そしてそこに言葉はいりませんでした。

恋に落ちた二人はお互いにプレゼントを贈り合うことにしました。

ロ「何がいいかな～そうだ！僕のお気に入りのメロディーに歌詞をつけて歌を贈ろう！」

ミ「いつもローリーが歌っている歌をアレンジして曲をプレゼントしてみようかしら」

ミッシェルは、ローリーの事を思いながらピアノを弾いていると、いつものレッスンしている時のような緊張感は全くなく、心からメロディーを楽しんでいるのが分かりました。

ピアノを弾くのがこんなにも楽しいなんて！心の中でメロディーと共にローリーと踊っていました。

プレゼントを渡す前日、ローリーはふと気になり始めました。

（この歌、ミッシェルは気に入ってくれるかな～気に入らないって言われたらどうしよう…）

なんだか心がもやもやしてきました。

ローリーは、そっと目を閉じ瞼の向こうにミッシェルを見ました。そしてお気に入りのメロディーをハミングしました。すると、瞼の向こうにいるミッシェルが踊り出しました。ローリーも手を取り一緒に踊ります。楽しく身をゆだねていると言葉がどんどん降りてきました。

（新しい歌が出来たー!!）

ローリーは嬉しくなりました。明日への不安はもうありませんでした。


次の日、エリーザ広場で待ち合わせをしてプレゼント交換をしました。二人はお互いドキドキしながら贈りました。


ローリーは出来立てほやほやの歌を贈ります。ローリーの歌声はミッシェルの心の奥に響き渡りました。ミッシェルは自分のために歌を作ってくれたことに感動しました。


ミッシェルはピアノの演奏の録音を贈ります。そしてローリーと一緒に聞きました。
ローリーは大好きな曲がこんなにも素敵な曲になるなんて！びっくりしました。


ロ「ありがとうミッシェル、君の作った曲は僕の宝物だよ！ずっとずっと大切にするよ。」


ミッシェルは喜んでくれているローリーの笑顔をみて嬉しくなりました。


それからの二人は学校の音楽室で時を過ごすことが多くなりました。ミッシェルがメロディーを奏で、ローリーが歌います。とっても楽しい時間が二人の間に流れます。


自分の楽しさを感じ続けてきたローリーは、初めて相手のことを考え思い悩む経験をしました。そして相手を感じながら歌を完成することが出来ました。


ピアノの技術をずっと高めてきたミッシェルは、ピアノのレッスンではいつも緊張ばかりでした。ローリーと出会ったことで音楽を心から楽しむことを教えてもらいました。ミッシェルのピアノの旋律が更に豊かに深さを感じられるようになりました。

そして二人のメロディーは音楽室の窓から風に乗って街中に響き渡りました。

おしまい