【それでいいんじゃない】ノベルセラピー作品
作 Ryu
私の名前はユーリー。
ここには長い川が流れていてその岸にはたくさんの家があってその一つに住んでいる。
元気で頼りになるお父さんと何かはかなげなお母さんと犬っころみたいにいつもじゃれあっている弟二人と住んでいる。
私の服はいつもシャツと半ズボン。もっと他の服を着たいけれど働くにはこれじゃなきゃダメって自分で自分に言い聞かせている。
そう私はいつも忙しい。舟から食べ物を家に運んだり、畑から野菜を取ってきたり
けんかに負けて泣いている弟をあやしたり、お母さんを助けなきゃいけない。
お父さんが大きな声で笑って、弟たちが喜ぶからやってられるかな。
ある日、ふと思った。私ってどんな大人になるんだろう。
ずっとこの川のそばで大きくなって、お父さんみたいな人と結婚してお母さんみたいになるのかな?
何かつまらないなぁ。だってお母さんもつまらなそうだもん。
そうだ、私とお母さんがもっと楽しくなるものを探しに行こう。
どこかにもっと楽しくなるものがあるはずだもの。
1人で川を下っていると、太っちょのおばさんが、声をかけてきた。
「一人でどこ行くの?危ないよ?おうちの人は知っているの?」
たくさん、おばさんたちが集まって来ちゃって、もうこれ以上は進めない感じになっちゃった。
困った私は逆に聞いてみた「おばさん、何が楽しい?」
「そうだね。市場に行って、作ったごはん売ったり、売られている服を見たりする事かな?」
「市場?私市場に行ってみたい。」
おばさんたちも市場くらいまでなら大丈夫だろうって行かせてくれた。
川をくだって広いところにでたら、たくさんの人が色々なものを売っていた。
綺麗な服もあったし、おいしそうなものもあった。
「でもなにか違うな」私はそう思った。
大きな声でけんかしている人たちもいる。大きな声で笑っている人たちもいる。
たくさんの人が行ったり来たりしているのを見ていたら、なんだかほっとした。
そして笑い声を聞いたら、お父さんに会いたくなった。
「帰ろう、私が楽しいって思うことはどこでもできる。」
シャツで半ズボンはかわらないけど、ちょっとかわいらしくして友達にやり方を教えてあげたりする様になった。
お父さんと笑って、お母さんを手伝い、弟たちの面倒をみるのはかわらないけど
笑って、泣いて、怒ってを何だかフフフって思うのよ。
おしまい。
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