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~あなたの大切な作品を守るために~文化庁×SARTRASの新制度で費用面の不安を解消しよう
ネット上で作品を公開していたら、以下のような事態に出くわした!そんな経験はありませんか?
「自分のイラストがSNSで勝手にシェアされていた」
「全然知らないECサイトで、自分の作品を使ったグッズが販売されている…」
「サイトに作品が無断掲載されているけど、投稿者の正体がわからない」
こんなとき、どう対応していいか迷ってしまう方も多いはず。削除申請や損害賠償を請求したいけど、個人で弁護士に頼むのはハードルも費用も高そうで躊躇してしまう…そんな場面で頼りになる制度がスタートしました。
文化庁とSARTRAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)が手を組んで、2025年(令和7年)1月14日から始めた「インターネット上の著作権侵害等に対する個人クリエイター等による権利行使の支援事業」。
これは、作品の無断利用者への権利行使にかかった弁護士費用の一部を補助してくれるありがたい仕組みです。
今回は、この制度が個人クリエイターにとってどんなメリットがあるのか、と、制度の具体的な流れなどをまとめてみました。
どんな制度なんだろう?
個人で作品を作っている方の場合、規模の大きい企業と異なり、法的手続きを踏むことに慣れていなかったり、経済的な不安があったりしますよね。そんなハードルを下げるための、弁護士費用の一部を支援してもらえる制度です。支援対象となる主な手続きと、支援金額の上限の情報は、以下の通りです。
(支援対象手続き)
・著作物の削除請求
・発信者情報の開示請求(投稿者の特定など)
・損害賠償請求
・その他、日本の裁判所で認められる特殊な手続き
(支援金額の上限)
・損害賠償請求を含まないケース:最大150万円
・損害賠償請求を含むケース:最大400万円
※いずれの場合も、申請時に11,000円(税込)の自己負担(前払金) が必要
制度が生まれた理由
ネット上には海賊版や無断転載が横行しており、特に個人クリエイターが被害に遭いやすいという現状があります。でも、実際に動こうとすると「弁護士に依頼する費用が高いのでは?」と萎縮してしまう。
そこで文化庁とSARTRASがタッグを組み、権利行使の際の費用面のサポートを実現。これにより、より多くのクリエイターが諦めずに権利を守れるようになります。
どうやって使うの?具体的な流れ
制度の概要をつかんだところで、実際のステップをざっくり見ていきましょう。
1)法律相談
まずは、文化庁「インターネット上の海賊版による著作権侵害の相談窓口」 に相談しましょう。無料で弁護士に相談できるので、自分の相談内容が「著作権侵害にあたりそうかどうか」を判断してもらいます。
2)申請
相談窓口の弁護士が「権利侵害の可能性(蓋然性)が高い」と判断した場合、本支援事業への申請手続きを案内してもらえます。申請フォームに必要事項を入力し、SARTRASから委託を受けたJNCA(日本ネットクリエイター協会) に提出する流れです。相談窓口の弁護士に申請のお手伝いをしてもらうこともできます。
3)審査・支援内定通知
申請内容が審査され、OKとなれば「支援内定通知」が届きます。条件付きになる場合もありますが、その内容を確認して問題なければ次へ進みます。
4)前払金の振り込み
支援内定の内容に納得したら、11,000円(税込)の前払金 を振り込みます。弁護士への着手金のイメージですね。
5)支援決定通知・弁護士紹介依頼
前払金の入金後、正式に支援決定通知が届きます。
ちなみに、希望すれば、弁護士知財ネットという弁護士団体から適切な専門家を紹介してもらえるので、どの弁護士に頼めばいいのか分からない…という方も安心です。
6)権利行使
クライマックスです。
担当弁護士が実際に削除請求や発信者情報開示請求を行い、加害者が特定できれば損害賠償請求などの必要な手続きを進めます。
7)実績報告
対応が一通り完了したら、実績報告書を提出。どのような手続きが行われて、どのような結果になったのかをまとめます。
8)精算
最終的な支援金額が確定すると、JNCAから対応した弁護士に報酬が支払われます。もし損害賠償請求で賠償金が認められた場合は、受け取った金額の一部を返還しなければいけないこともあるので、そこは条件をしっかり確認しておきましょう。
どこに相談すればいいの?
相談先の情報は以下の通りです。
文化庁「インターネット上の海賊版による著作権侵害の相談窓口」
まずはこちらにコンタクトを。
JNCA(一般社団法人 日本ネットクリエイター協会)
申請後の流れや書類確認などのサポートをしてくれます。
まとめ:諦める前に“相談”してみよう
SNSやWebサイトで勝手に自分の作品を使われるのは、本当に腹立たしいし悲しいですよね。でも、そこで我慢してしまうと、さらに被害が拡大するかもしれません。この文化庁×SARTRASの支援制度は、「費用面が不安で動けない」というクリエイターにとっての大きな味方。
「もうちょっと早く知っていれば、あの時泣き寝入りしなかったのに…」
「弁護士に頼む勇気が出なくて放置していた作品がある…」
という方は、ぜひ一度、「インターネット上の海賊版による著作権侵害の相談窓口」を訪れてみてください。弁護士に直接話を聞いてもらうだけでも、かなり気持ちがラクになるはずです。
自分の作品をしっかり守るためにも、まずは一歩踏み出してみましょう。