ショートショート『プール』
「おとうさん、プール!」
「わかってるよ」
「すげえ、おおきい!」
「だから、わかってるって」
息子をプールに連れてきたのは初めてだった。
小学校では何度か入っていたようだが、
民営の大型温水プールを目の前にした息子は
大騒ぎだった。
「おとうさんみてて!」
息子が勢いよくプールの中に飛び込む。
その瞬間、ピピピッ、と大きな笛の音が響いた。
「そこ、飛び込まないで!」
監視員の男性がすぐにこちらへ来て注意をする。
だが当の本人は飛び込んだ勢いそのままで水中を
スイスイと泳いで