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保育士が気づいた、言葉が魔法に変わる瞬間

僕は普段保育士としてたくさんの子ども達と関わっている。
年齢にもよるが、子ども達からは様々な予測不可能な言葉が飛んでくる時がある。
逆も然りで、子ども達はこちらの予期していないタイミングで、言葉を拾ったりする。言葉とは使うのが非常に難しいが、すごく面白い。

「言葉は魔法」なぜこんな事を僕が思ったのか、それはある時の給食がきっかけだった。
普段野菜を残すことが少ない子が、スナップエンドウを残した時に「もういらないの?」と僕が聞くと、その子は「もういらないの」と答えた。
僕はその子が野菜を残すことが珍しかったため、少し言葉を変えて声をかけてみた。
「このお野菜(スナップエンドウ)プチプチで食べると楽しいよ!」
この言葉をきっかけに、その子だけではなく周りにいた子ども達も、みんなでスナップエンドウを探し、食べ始めた。

これは僕の推測だが、子どもたちは『野菜』という言葉自体に苦手意識を持っているだけで、実際にはブロッコリーやスナップエンドウを食べられる子も多い。
つまり、野菜という言葉が嫌いなだけで野菜の味を知れば苦手意識も徐々になくなっていくと思う。
だから僕は、まずは野菜に興味を持ってもらい、そのあとに味を知れればきっと、子どもたちは食べられるものを見つけていけるのではないかと思う。

言葉を使うとき伝わらない歯痒さ、イラだち、不快感。それは相手からくるものなのだろうか。
これは子どもに対してだけではないのかもしれないが、自分の気持ちや考えをただ言葉にするだけでは、相手にうまく伝わらないこともある

相手はどんな言葉が聞きたいのだろうか。今相手はどんな気持ちなのだろうか。

自分がどうしても何かを伝えたいときにこそ、焦らず伝えたいことの本質を自分の中で、しっかりと持つことが必要なのではないだろうか。そうすれば、本質はずらさず他の言葉が出てくるのではないだろうか。

あんなにも、届かなくて苦労していたのに、少し言葉を変えるだけでまるで魔法がかかったかの様に自分の気持ちが伝わる。
僕は子ども達に教えてもらった。自分の思いもよらぬ言葉で相手が気持ちや言葉の内容を受け取ることの難しさと面白さを。
僕はこれからも、自分の言葉に魔法をかけるように工夫しながら、多くの人に自分の思いをしっかりと届けられる人間になりたい。

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