組織発酵学の裏側 ~発酵と育成の関係その1~
組織発酵学を創る動機、キッカケをお伝えするシリーズ、第3弾。
今回は、なぜ「発酵」だったのか。
それが、育成や教育とどう結びついているのか?
恐らく、皆さんが一番気になるであろう点についてお伝えします。
以前のnoteでは、発酵的思考に出会った人材育成の体験についてお話ししました。新規事業開発の1年間のワークショップをしている時に、悪玉菌的な(やる気がない、悪態をつく)メンバーが、1年間のプロジェクトを経ていく内に、変容して自主性や積極性を出していくに至った、という”原点の原点”です。
今回は、発酵の世界と出会い、醸造に携わる方々や発酵を勉強していった時に、人材育成の世界とまるで一緒じゃないか!と、ヒラメキ、感動、驚愕していった「出会いと感動」をいくつかご紹介して参ります。
まず1つ目は『発酵は内から起こる』という点である。
ご存じの方も多いと思うが、発酵は菌の力が大事であり、醸造人は菌が生きるための環境を整えてあげることに心血を注がれている。ある面、菌の力に任せている=力を借りている面が大きい。外からではなく、内からの力を大事にしている。
この話を聞いて、僕が人材育成の世界で、ずっと違和感を持っていたこととつながったのである。それは「人を変える」という言葉への強烈な違和感であった。人材育成の世界に長年居て、躾ける、教え込む、強制する、という方法、状況、あるいは誰かが発する言い方への違和感である。
外から人を変えるのではなく、内から学びたくなる、やってみたくなる、そういった環境を整えることが人材育成にとって大事なのではないか?とつながった瞬間である。
そして『発酵も腐敗も捉え方次第』という点。
人にとって良い作用があれば発酵、悪い作用があれば腐敗と言われる。しかし、発酵であっても腐敗であっても菌自体に悪気はない、ただ彼らも生きているだけだ。つまり、人という”立場・視点”から見ると、腐敗や雑菌と言われるだけなのである。
これは、我々のビジネスの世界でも、同じような事が沢山あるのではないか。とかく、前例や習慣的に、良い悪い、正解不正解、などと我々はジャッジしがちなのではないか?。特に、企業活動の中では、同じ業界、同じ職場、同じ仕事をしているからこその暗黙の了解や前提が出来上がっていて、効率的な判断をするために、ジャッジしがち、思い込みがちである。僕自身も、これは痛い思いをした課題であった。良かれと思ってしてきたことで、多くのミスリードや勘違いを生んできた。
しかし、このジャッジや思い込みこそが、成長であったり、イノベーションを生むための大いなる阻害要因である、と自身の経験と人材育成の現場を見ていて、痛感した。(自身への内省も込めて)発酵も腐敗と同じ様に、人が勝手に決めつける、思い込む、固定概念にとらわれていないだろうか。発酵と腐敗のように、見方次第、捉え方次第と、ジャッジを手放し、少しでもフラットに違う見方ができたら、、、。こう感じたのである。
まだまだ共通点を挙げればきりが無い。以前このnoteでも取り上げた、「3M=観る、待つ、任せる」などもそうだ。
発酵の世界に起こる現象、大事なことを学んでいくと、驚くほど、人や組織の成長と共通事項が多い!と驚愕したのである。取ったメモは書ききれないほどノートにとった。そしてとどめは、この本との出会い。
「発酵道~酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方」寺田啓佐
知る人ぞ知る、寺田屋本家という昔ながらの生酛造りを徹底的に追求している酒蔵の先代の書かれた本である。この本からは、組織発酵学の構想でもやもやしていたことがクリアになっていくお話しが満載でした。
中でも、自然界には法則があり、それは微生物(菌)でも人も同じ自然界の法則の元で生きている という点に大きな自信を頂いた。そうか!人も微生物も同じ自然界の生き物だ!だったら、共通事項が沢山あるのは当たり前か。ならば、ここからピンと来る人、あ、そうか!と気づく人、だったら~と思う人もいるはず!と大きな自信を得ていったのです。
組織発酵学をやりたい!必ず、必要とされるはず!
というエネルギー、熱量になったことを、今でもよく覚えています。
こうして、発酵の世界に起こる現象・共通点をまとめた結果が、組織発酵学 7つの法則というカタチになっていったのです。
組織発酵学 プロデューサー
Brew株式会社
原 佳弘
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