見出し画像

SOS子どもの村で育った若者の社会参加                ~ソーシャルメディアのリスクに対処するためデジタルリテラシーを要求~

ソーシャルメディア・チャネルがデジタル環境を支配するにつれ、子どもや若者に及ぼす甚大なリスクがますます明らかになっています。

SOS子どもの村で育ったフィンランド出身の18歳のカタリーナさんは、欧州議会でこうした懸念を訴え、オンラインの安全対策と教育の改善が至急必要だと強調しました。

「世界子どもの日」に合わせて行われたセッションで「私たちは携帯電話やソーシャルメディアにアクセスしながら育った最初の世代です」とカタリーナさんは説明。
「インターネットは膨大な情報へのアクセスや重要な社会的つながりなど多くの利益をもたらしましたが、一方で深刻な問題ももたらしました。最も懸念すべき問題の一つは、子どもたちの個人情報が悪意ある者の手に渡るリスクがあることです」と彼女は語りました。

≪高まりつつある懸念≫
適切なガイダンスがなければ、多くの若いユーザーはウェブハラスメント、プライバシー侵害、さらには個人情報盗難の被害に遭うでしょう。EU Kids Online 2020の国際レポートによると、ヨーロッパの12〜16歳の子どもの少なくとも21%は、ソーシャルメディアアカウントのプライバシー設定に関する知識がありません。より若い子どもたちはさらに脆弱と言えます。
カタリーナさんは、子どもたちのデジタルリテラシーの欠如について積極的な対策の重要性を訴え「インターネット上で適切に自分を守るために必要なスキルと知識を持たない子どもたちが多すぎる」と強調しました。

≪行動を呼びかける≫
カタリーナさんは、11月末に子どものメンタルヘルスやオンライン上の安全性、暴力の問題から気候変動まで、若者にとって重要ないくつかのテーマについて、欧州議会議員らと意見交換するためにブリュッセルを訪れた13人の子どもと若者のうちの1人でした。
子どもたちをオンライン上で安全に保つために、カタリーナさんは多面的なアプローチを提唱しています。
彼女は、大人たちが子どもたちのインターネット利用を見守り、子どもたちがデジタル空間を安全に利用するために必要な情報を確実に得られるよう、より積極的な役割を果たす必要があると考えています。加えて、オンラインの安全性に関する包括的な教育の必要性を強調しています。

オンライン環境であろうとなかろうと、すべての子どもは安全でいる権利があります。この問題について平等な教育を保証するために、欧州連合が介入すべきです。学校でオンラインの安全性を教えることにより、多くの子どもたちに教育が行き届き、必要不可欠なスキルを子どもたちは身に付けることができるでしょう」と彼女は語りました。

欧州議会で発言するカタリーナさん(18歳)

≪提案された施策≫
カタリーナさんは、ソーシャルメディアの若年ユーザー向けに認可方式の導入を提案しています。子どもがアカウントを作成する前に、オンラインの安全性に関する理解度を評価するテストを受けます。テストに合格した場合のみアカウントを作成。この施策により、オンライン上のやりとりに伴うリスクを大幅に軽減できる可能性があります。
 
欧州連合は、「EU子どもの権利戦略」(The EU Strategy on the Rights of the Child)を通じて、デジタルにさらされるリスクが高まっていることを認識しています。この戦略では、スクリーンやオンライン活動への過度な露出が子どもの健康や精神的健康に悪影響を及ぼす可能性があるという懸念が強調されています。ストレスの増加、注意力の欠如、視力の問題、身体活動の低下などの問題は、過度のスクリーンタイムに直接関連しています。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、デジタル時代における子どもや若者の保護の重要性を強調しました。委員長は、問題について助言し、欧州委員会の意見交換の場とするため、すべての加盟国の若者で構成される「大統領青少年諮問委員会」(President’s Youth Advisory Board)を設立することを約束しました。

ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は「この10年間の最大のチャレンジの1つは、子どもや若者の心の健康を守ることだと私は考えています。特にオンライン環境においてです。幼少期や10代は脳や人格の発達にとって非常に大切な時期であり、ソーシャルメディアや行き過ぎたスクリーンタイムによる悪影響を受けやすい時期でもあります。この問題については、オープンかつエビデンスに基づいた議論が必要です。だからこそ、ソーシャルメディアがウェルビーイング(健康)に及ぼす幅広い影響についてEU全体で調査を行う予定です」と述べました。

                         2025年1月8日

原文(英語)はこちら


いいなと思ったら応援しよう!

認定NPO法人 SOS子どもの村JAPAN
ありがとうございます!いただいたサポートは活動のために大切に使わせていただきます。