非整地

靴と車の共通項

能登豪雨の状況は、自分に非整地というものを強く印象付けました。車と靴は意外と似ています。特に似ている部分は、どちらも路面に大きく依存していることです。F1カーは、本当に綺麗に整備された整地でなければ、あの能力を発揮できません。これはランニングシューズにも言えることです。そして、能登豪雨は整地を非整地に変えました。

環境

多くの路面が水没し、場所によっては激しい水流に見舞われていました。これは「ただのスニーカーや乗用車が想定する環境ではありません」必然的に、こうした状況ではそうした道路を歩いて避難すること自体が危険な行為になります。ただし、避難行動をしなければもっと危険という状況がありますから、どっちの危険がより現実的か?という話ではあります。

問題は、靴の主要機能である「歩行ができない」ことです。大抵の靴はこのような状況を想定しません。濁流が流れ、その下は更に厄介な泥だったりします。そんな中を歩くことは想定しないので、殆どの靴は十分にグリップできません。滑って転んだら、それだけでそのまま川に流されるということになりかねません。

非整地を踏破する

軍用車両や軍靴の顕著な違いは、非整地を想定することです。場合によれば、本物の原野、道なき道、悪路を移動できなければなりません。もっとも、主張したいことは軍用を買えということではなく、「水害が想定される地域では、軍用じゃなくていいから悪路を歩ける靴を買っておいた方がいい」ということです。

必要な条件

1、悪路踏破性が高いこと 2、半長靴(ミッドブーツ型)であること 3、できるだけ外装部分が引き裂きに強いこと

とにかく歩けなければ仕方ないので、深く彫り込んだブロックパターンとグリップ性能が高いソールが望ましいです。代表的なものはタンクソールと呼ばれるものです。軍用や登山や林業など、非整地を歩くための代表的なソールとして様々な悪条件で活用されている代表的なパターンです。

ソールパターンと路面の関係

グリップとは、1、路面 2、体重 3、ソールパターン によって構成されます。深く彫り込んだブロックパターンと言いましたが、スニーカーはその理由を端的に説明しています。殆ど平坦で、彫りは浅く、良くてちょっとギザギザしてる程度です。ほぼソールの素材と人間の体重と整地路面の摩擦でグリップしているということです。普通の道路ならそれで充分ですが、非整地や水の影響下では路面の摩擦が低かったりなくなったりしますから、普通の靴では転倒しやすくなります。ただの悪路でも転倒しやすいのに、濁流という条件までつくと、もっと危険ということです。

悪路になると、第一に整地が作り出すグリップを失います。路面が土砂や泥だったりと安定しません。そこにきっちり食い込んでグリップし、歩行できるのがアウトドア系ソールの顕著な特徴です。アウトドアを想定した車やMTBのタイヤも深いブロックパターンで構成されますね。理由は全く同じです。ブロックは爪だと思ってください。ブロックパターンは通常の靴よりも引っ掻く力があって、よりグリップしやすいのです。

能登豪雨

と同じような状況に陥る可能性のある地域は他にもあります。豪雨の中、最悪真夜中に、しかも非整地を避難という状況が発生することを能登豪雨は証明しました。その危険のある場所でも、今後準備をしておけば危険を減らせるということです。能登の状況で避難に必要なのは、ライトと悪路を歩ける靴でした。真冬だと更に防寒衣まで加わったかもしれません。

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