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男性脳・女性脳を理解し、多様性社会の未来へ
Xで面白い考察を見つけました。
「男性はみんなうっすら自閉症気質」という話です。
そこで別の記事も探したところ、あながち間違いでもないかもしれないと思い、本記事にて深ぼっていきたいと思います。
なお、自閉症や自閉症気質であることを非難しているわけではなく、あくまで特性の1つとして捉えている旨をご理解いただけますと幸いです。
① 自閉症の脳は極端な男性型?男女差とその秘密
1. 脳の男女差とは?
脳にも男女差があるって知っていますか?統計的に、男性の脳は1400~1500g、女性は1250~1350gと少し重さが違います。言語能力に関係する部分は女性の方が発達している一方で、空間認知力に関わる部分は男性が得意だと言われています。
ただし、これらは統計的な傾向に過ぎず、個人差が大きい点に注意が必要です。「全ての男性・女性に当てはまる」というわけではありません。
2. 自閉症は「極端な男性型脳」なのか?
イギリスの研究者、バロン・コーエン博士が提唱した「自閉症は極端な男性型脳」という仮説が注目を集めています。彼は、システムを分析・理解する力(システム化)と、他者の感情を理解し寄り添う力(共感性)に着目し、男女の傾向を調査しました。
その結果、男性はシステム化能力が強く、共感性が低い傾向があり、自閉症の人たちはその特徴がさらに顕著であることがわかりました。このことから、「自閉症は極端に男性型の脳機能を持つ」とする仮説が生まれたのです。
しかし、この仮説には異論も多く、すべてのケースを包括的に説明できるわけではありません。
② 自閉症スペクトラムと遺伝の謎
1. 自閉症の原因は遺伝が大きい?
自閉症の発症には遺伝が深く関与しています。一卵性双生児で片方が自閉症の場合、もう片方も自閉症である確率は50~85%と非常に高いです。一方で、二卵性双生児の場合は20%程度に留まります。この結果から、自閉症の発症には遺伝的要因が大きく関与していると考えられます。
2. 性染色体が影響する?
ヒトには22対の常染色体と1対の性染色体(X染色体、Y染色体)があります。男性はX染色体とY染色体を1つずつ持っています。男性は、X染色体に異常があると補償できるもう一つのX染色体がないため、影響が大きくなりがちです。これが男性に自閉症が多い一因と考えられています。一方、女性はX染色体が2本あるため、遺伝的な補償機能が働くことが多いのです。
3. 女性の「遺伝変異の耐性」
さらに、女性の脳には遺伝変異に対する耐性があるのではないかという仮説もあります。女性が自閉症を発症するには、男性よりも多くの遺伝的変異が必要だとされています。この特性が女性の発症率を低くしている可能性があります。
4. 自閉症スペクトラムの男女差と診断の難しさ
自閉症スペクトラム(ASD)は、男性が女性の約4倍発症するとされています。その理由には、性染色体や遺伝的要因の他、女性の場合、社会的適応能力の高さや、現行の診断基準が男性の症例を中心に策定されていることから、診断が難しいとされています。
これらのような理由から、女性特有の症状や行動パターンを考慮した新しい診断基準が求められ、より多くの女性が適切な診断とサポートを受けられるようになることが期待されています。
③男性脳と女性脳は違うのか?
1. 一方で、男性脳と女性脳の差はそれほどない
①の結果など理由もあり、男性脳・女性脳で得意・不得意の差が生まれると思われていますが、実はそうでもないようです。
まず、男女差が小さい、もしくはない分野としては、数学、言語能力、社交性、誠実性、報酬に対する感度、利他行動、ネガティブになりやすい気質、攻撃的な性格、断定しない話し方、自己肯定感、リーダーシップのスタイルなどが挙げられています。
男女差があった分野としては、
空間把握能力は男性が高い。協調性は女性が高い。物への関心は男性が高く、人への関心は女性が高い。乱暴な動作は男性が高い。
このようにいくつかの分野では、男女の差が認められました。
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2. 脳内神経回路の違い
一般に、男性と女性では脳内神経回路に違いがあります。
男性は左脳なら左脳、右脳なら右脳と、それぞれの中で情報をやり取りする傾向があり、女性は左右の脳で情報をやり取りする連結性が高いという特徴があります。これが男女の行動特性として現れています。
狩猟採集時代、男性は獲物を仕留めるために1日の大半を費やし、女性は周囲と調和を図りながら子育てをしたり木の実を採取していた、というのが象徴的です。男性の脳は一つのことを専門的に追求するのに対して、女性の脳は多様なタスクを並行してこなすのが得意といえるでしょう。
3. 協調性は意識すれば能力を発揮できる
とある研究で、協調性が求められる行動を報酬無しで依頼した場合と、報酬ありで依頼した場合、報酬ありで依頼した場合については女性と同等の協調性を発揮したという話を聞いたことがあります。(情報源を忘れてしまったので参考文献を載せられないのですが、、、)
つまり、協調性が苦手な人も意識することで能力を発揮することができるんです。
意識って大事ですよね。まずは他人の立場になって物事を考えてみよう、と意識するだけで、かなり視野が広くなると思います。
④ まとめ: 多様性社会への一歩を踏み出そう
自閉症スペクトラムの男女差についての研究と、多様性実現の課題を結びつけて考えると、多様性を受け入れるためには、特定の視点や価値観に偏らない社会の構築が重要であることが分かります。他者を理解し、多様な価値観を受け入れることが、より良い社会の基盤となります。
一人ひとりが他者の立場を理解し、異なる価値観を尊重する姿勢を持つことで、多様性豊かな社会を目指して行動すること。それが、未来の明るい社会を築くための鍵となるでしょう。
(参考)
・自閉症が男子に多いのは?
https://www.nise.go.jp/cms/6,4134,13,257.html
・自閉症スペクトラムの男女比に差があるのはなぜ?
https://copelplus.copel.co.jp/column/2406_21/
・男性脳女性脳はもう古い。ジェンダーレスな脳の世界―心理学の研究データに見るジェンダー#1
https://globis.jp/article/57383/
・賢いはたらき方のススメ諏訪東京理科大学共通教育センター教授篠田菊紀さん
https://www.nttcom.co.jp/comware_plus/column/wise_business/201604.html