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ジェンダーバイアスは明治政府が作ったって知ってる?本当は男女差なんて無かったんだよ
突然ですが、我々人間の種であるホモサピエンスの歴史を語ります。
ホモサピエンスには20万年の歴史があり、そのうち19万年は放浪していました。現在のように定住をはじめたのはわずか1万年です。
移住時代では、泉の湧いている場所を見つけ、キャンプの場所を決めます。男は鹿やマンモスの狩りに出かけ、女はハチミツや木の実を探しに出かけます。そのため、赤ちゃんは一か所に集めて預け、ケガをした人や高齢者が面倒を見ていたんです。女が住みかを守っていたわけではありません。
また、グレートジャーニー(人類が世界に広がっていった人類最大の旅路)、移住時代のホモサピエンスの食料の6割以上は女性が集めてきたものだったのです。
だから、女性は家にいて、赤ちゃんの面倒を見る余裕も無かったし、そんなことをしたらホモサピエンスも食べる物が無くて死に絶えていたわけです。
そもそも人類は、女は家、男は外で狩り(仕事)という役割分担ではなく、それぞれの体力・力の特性を活用しつつ、集団で生活を行っていたことが分かります。
ではなぜ、現代のようなジェンダーバイアスが生まれてしまったのでしょうか??
1. 歴史的に見ると、実は日本は女性が強い国
日本の歴史を振り返ると、実は女性が強い国だということが分かります。
日本という国号ができたのは701(大宝元)年で、天皇という称号もこのときにできましたが、日本という名前も、天皇という称号を作ったのも女性の天皇(持統天皇)です。
日本の天皇家は(一部では)男系と言われていますがそんなことはなく、日本の天皇家の祖先とされているのは天照(あまてらす)で、こちらも女性です。
江戸時代には代々徳川家から将軍がつながれていましたが、その将軍を決めていたのも前の代の妻、つまり女性が決めていたという説もあります。日本は江戸時代までは、女性の権力がとても強かったんです。
2. 明治維新から男尊女卑が始まった
明治維新での朱子学の取り入れと家制度のはじまり
明治以降、これが逆転したのはなぜか。
明治維新でネーションステート(国民国家)をつくるとき、チンギス・ハンやジャンヌ・ダルクといった、誰もが納得する英雄が日本にはいなかったので、天皇制をコアにする際に男尊女卑で有名な朱子学(中国からの儒学)を取り入れ、一家の長である戸主(こしゅ)が家族を統率する「家制度」もセットで実行したのです。家制度は当時の結婚の形を象徴するもので、現代でも「○○家に入る」「家業を継ぐ」など「家」の意識は残っています。
家制度の主な特徴は次の通りです。
家族は戸主の命令・監督に服従する
家の財産と戸主の地位は、原則として戸主の長男が継ぐ
家族は戸主の同意がなければ結婚できない
戦前までの結婚は、妻が夫の家に入って子どもを産み、夫の家を存続させることが主な目的でした。妻は夫の家に入り、子どもは生まれた家の家族になるため、いずれも家の氏(名字や姓のこと)を名乗りました。
また、明治民法で妻は「無能力者」と位置づけられ、夫の許可がなければ働けなかったほか、土地の売買や借金などの契約を結ぶこともできませんでした。
3. 高度経済成長の歪んだ制度
これに加えて、戦後日本は国を復興するため、製造業の工場モデルに過剰適応したことがジェンダーバイアスの原因として挙げられます。
配偶者控除と第3号被保険者制度
製造業の工場モデルで高度経済成長を果たしたわけですが、製造業は24時間の操業が理想ですよね。製造業の工場モデルにとっては、力の強い男性の長時間労働が適しているので、戦後の日本は「配偶者控除」や「第3号被保険者」という、ゆがんだ制度をつくって性分業を推進してきたのです。
3歳児神話のでっちあげ
さらに、3歳までの赤ちゃんはお母さんが面倒を見なければダメだ、という「3歳児神話」のでっちあげまで行いました。
冒頭のホモサピエンスの歴史でも記載した通り、人類は昔から赤ちゃんは1か所に集めて預け、外に働きに出られない人が面倒を見て生活をしてきました。これを現代に当てはめると、女性も外に働きに出て、子どもを保育園に預けることは当たり前の行動なのです。
4. 現代のジェンダーバイアスの理由は「不勉強」
ジェンダーバイアスがなぜ生まれるのか。その理由は「不勉強」につきます。ジェンダーの問題を考えるときには、これまでに記載したような構造問題を理解しなければならない一方で、歴史や世界の常識に対する理解が浅すぎることが問題なのです。
ジェンダーやインクルージョンについては、表層的な理解で何となく
議論していても何も変わりません。一人一人がエビデンスっやデータに基づいた情報を知り、自分の頭で理解して腹落ちさせていくことが大切です。
(参考)書籍:日経xwoman (編集),早く絶版になってほしい #駄言辞典 ,日経BP,2021年.
(参考)結婚制度って何?「家制度」ができた背景とは
https://mainichi.jp/articles/20221221/osg/00m/040/001000d