暴力的な余韻のミュージカルイザボーを観てきた
ぼー痛ってぇ〜!
え、今殴られた……?
みたいな謎の衝撃が身体に残るブチアゲ⤴ミュージカル、イザボー観てきたので感想です
ネタバレあり
お暇な方はどうぞ
何に殴られたのか?
「演者の歌唱力」、「ストーリー」、「イザボーの生きざま」
からしたたか殴られて、
いってぇーー!と目を白黒させながら電車に乗り、
なんとか家にたどり着くと、
あれ……?なんか血行が良くなってる……?
みたいな。
そういう感想のミュージカルでした。
ストーリーに殴られる
歴史なんてただの結果論にすぎん!
そこで懸命に行きた命にこそ価値があるだろうが!ボケが!!
とかなんとか言いながら殴られたような感じ。
そうかも……そうかな?と思いながら観た。
イザボーは、もっと民の方を向けなかったのか?
もっと国政に根本から興味を持てなかったのか?
学者に意見を仰ぐとか……
でも、善政を敷けなかったからといって、自分で望んで王妃になったワケじゃないイザボーを責めるのはお門違い、なのはその通りなのだ。
私は物語後半でフランスを窮地から救ったジャンヌ・ダルクは、イザボーから分離したイザボーのインナーチャイルドだったのではないかと感じた。
イザボー自身を窮地から救うため、
イザボーの内面で生き残っていたイノセントが、独立独歩して、フランスだけでも、敵国から奪還したのではないかと……
しかしそうしてしまうと、ジャンヌ・ダルクという一人の人の人生をなかったことにしてしまうので、やっぱり違うかもしれない
歌唱力に殴られる
ミュージカルというよりも
もはや「歌プロレス」という感じ。
当然、観客がそのワザをかけられる。
痛い!痛いって!ギブ!ギブギブ!!!
あれ……?肩のコリが取れてる……!?
みたいな。
超絶歌ウマの歌をきいて
痛気持ち良い(いたぎもちいい)感覚になったことあるだろうか?
私はなかったが今日初めて「音楽で殴られる」体験をしたしだいだ。痛ぇ……
イザボーの生き様に殴られる
見知らぬ人に嫁がされる無力さも、夫を心から愛する純真さも、子供を守ろうとする母性も、なんもかんも上手くいかねえじゃんとキレる絶望も、なんもかんも上手くいかねぇしもういいやと投げやりになる諦めも、現実から目をそむけ続ける逃避も……
ぜんぶ同じ価値の、一人の人間の生き様として優劣つけず、並列かつ等間隔に並べられると、
イザボーの、ひいてはすべての人類の、生き様に良し悪しも優劣もないんじゃい、と言われているような気がした。
そしてそのすべての瞬間においてイザボーは美しかった。
そういう苛烈な生き様に、雷に打たれるみたいな感触がした。
ひるがえって、私の生き方はどうだろうか?
私の場合、美しくもないし権力もない。
しかしこのイザボーという作品をして「人は生きるだけで苛烈だろうがボケが」というメッセージと受け取れ(ちがうかも)
自分の中の、普段あまり意識していない生きるエネルギーみたいなのを、
それも「せっかく生まれたんだから死ぬまで一生懸命、生きてやるよォボケがァ!」みたいなキレ気味の生きる気力をイザボーの生涯を見せつけられることで掘り起こされたような感じだ。
やはり秘孔を突かれていたのか
だから痛みを感じたのかも
その他こまごました良かった所
イザボーが夫から殴られるシーンが悲しくて泣いてしまった
舞台も普段から行きまくっていると、慣れてくるというか、観客の立場で最後まで俯瞰が取れないというか、「フーン」とどこか冷静に見てしまうものだが、このイザボーは途中からイニシアチブをあちらに取られ、なんか「集中させられてしまう」感じがした。
上原理生がちょっと好きなんやけど「気狂い王」をセクシーに演じてて良かった
真ん中のぐるぐる回る舞台セットが面白かった。少し前に末満健一がステージアラウンド東京で劇をやったことを思い出した。あの時は外側が回ってたけど。
1幕ラストのイザボーの絶唱と言うかもはや絶叫みたいな歌が良かった。今の自分も人生のドン底におり……私のための歌かと思った。
だからこそ、2幕のイザボーには転落じゃなくて、V字回復をしてほしかったが……とはいえこの物語が伝えようとしていたのは、「成功」や「没落」の外側にある価値観であったので、救われなくもなかった。
おまけー池袋とアニメイト
ものすごく久々に池袋を訪れたが、
東京建物Brillia HALLの隣に信じられないくらい豪華なアニメイトのビルが建っていて腰を抜かした
なんか……このブリリアホールを含む広場が「アニメイト」を中心に設計されているようでもあり……
ワシが中学生だったころのアニメイトといえば暗い雑居ビルの狭いテナントだったのだが……
えらい時代になったものだ
なんか知らないけど、この前の広場の木や車よけのポールがニットを着ていてめちゃかわいかった
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パッケージがかっこよすぎる