1000人に一人に選ばれた話
【1000人に一人に選ばれた話 1】
— sori (@soriitisuisu2) June 20, 2021
春と春と。初めての痛みに苦しんだ春のこと
春嵐 安らい知らぬ 花の色
昼さえ出づる 月の群雲
午後6:55 · 2021年6月20日
【1000人に一人に選ばれた話 1】
春と春と。初めての痛みに苦しんだ春のこと
春嵐 安らい知らぬ 花の色
昼さえ出づる 月の群雲
【1000人に一人に選ばれた話 2】
名誉はないよ。誰かの代わりになれるわけでも無い。
頭の中で象が暴れる。
堪えかねた家族に病院を手配され、ついに痛みに降伏した。
病院嫌いだから家族には感謝しかない。
【1000人に一人に選ばれた話 3】
診断によって一次性頭痛はめでたくコンプリート。やったね！
頭痛ビンゴやったら結構良い線行くんじゃないかな。
物心付く前から車の匂いはトリガーで、病み上がりの排気ガスも脳を抉った。中学生の頃には閃輝暗点に出会った。みんな片頭痛と知ったのは成人した後。
【1000人に一人に選ばれた話 4】
当然、鎮痛剤を使えば済むことを知らなかった。
痛みとは生でやり合い、痛みを庇って肩、首凝りから緊張性頭痛を発症した。
【1000人に一人に選ばれた話 5】
鎮痛剤を知ってからは、用法用量をよく守り、症状やタイミングに合わせて薬の強さを使い分け、彼らとはいい距離感を保って付き合えるように。まったく世話の焼ける。
【1000人に一人に選ばれた話 6】
イブプロフェン先輩やカフェインくんはなんだかんだで頼りになるし、アセチルサリチル酸さんの添い寝は優しい。優しさ半分は伊達じゃない。
【1000人に一人に選ばれた話 7】
そしてそこにそいつは突然現れる。
初めての出会いは数年前。
痛み止めの効かなさと、生真面目に毎日定刻に現れる律儀さで疑いを持つ。
当時はネットの情報も今より少なかった。エッチしたら楽になるとか無茶言うな！
そんな余裕あるわけないだろ！
つづく
午後6:36 · 2021年6月21日
【1000人に一人に選ばれた話 8】
色々調べてリドカイン入りの点鼻薬も試した。
タイミングが難しいし、使用制限もある。
なかなか技術も上達しない上、何より反動の鼻閉がえげつないので早々に止める。
こいつとは合わなかったよ。
【1000人に一人に選ばれた話 9】
何より痛みが酷い。ドメスティックなバイオレンスをセルフでしているみたい。
こっちの都合なんかお構いなし。
睡眠中でも平気で叩き起こされる。寝込みを不意打ちで襲うのが好きみたい。
正直全然気持ち良くない。いいから止めて欲しい。
【1000人に一人に選ばれた話 10】
ピーク時は息をするのも忘れるほどで、ただ息をするのでやっと。
時折息をして悶えるだけの生き物。呻くのでさえきつい。
天井の染み？
ぜひ君に数えてみて貰いたいな！
【1000人に一人に選ばれた話 11】
思考は割れるような痛みで引き裂かれる。
だけど服は破らない、破れない妙な紳士っぷり。
当然睡眠不足でコンディションはがったがた。
【1000人に一人に選ばれた話 12】
ネットに酷ければ病院へって書いてある。
だけど、そんな余地は許さない一方的で隙の無い攻め。
その技術、もっと他のことに生かして欲しい。
【1000人に一人に選ばれた話 13】
群発期は決まって毎日数時間、人生を蹂躙される。
自分の為にすることも、好きな人を想うことも、嫌いな奴を呪うことも覚束ない。
その後も怠くてなかなかお出掛けしようなんて気にもならないよ。
【1000人に一人に選ばれた話 14】
痛みを紛らわすために、おでこやこめかみ、頭頂を圧迫する。
爪を立てたくなるから、フードとか布越しがおすすめ。
手が疲れたら、壁とか机とかで押す。
【1000人に一人に選ばれた話 15】
内出血しないように加減するのが難しい。キスマークなら笑い話になったのに。
窒息しそうで喉掻き毟ってできる傷と似たような自傷行為だから。
頭痛が治まった時に、どっちの痛みなのか一瞬分からなかったりする。
【1000人に一人に選ばれた話 16】
歯を食いしばる人もいるみたいだけど、人によるのかな。
効果はあんまりだった。
つづく
午後0:40 · 2021年6月22日
【1000人に一人に選ばれた話 17】
閃輝暗点みたいに予兆がある。
痛くなる方の頭と同じ側の鼻が詰まる。
それに、痛くなくても悲しくなくても涙が零れる。
まあ、頭痛が始まれば痛いし悲しいけど、それで泣いてるわけじゃない。
心だったり薬だったり、場所や格好だったり準備を整えて迎え撃つのだ。
【1000人に一人に選ばれた話 18】
あまりに連日続くから、前兆の鼻閉に怯えるようになる。眠るのも少し怖い。
もともと鼻炎持ちだから、前兆と関係なく鼻が詰まる。
【1000人に一人に選ばれた話 19】
時間に関係ない鼻詰まりも、もしかしたらって思ってしまう。
トラウマの完成。
涙が零れてもそうはならないのは、息がしづらくなる方が危機を感じるからなのかな。
【1000人に一人に選ばれた話 20】
発作がいつも通りの時間に来ないと少し不安になる。
痛みが寂しい？ そんなこと！
単純接触効果！？ スコットランド症候群！？
ほんとに憎くて恨めしいのに。
痛みがなくなったたんこぶを撫でるのが好きなんだけど、それと似てたりする！？
【1000人に一人に選ばれた話 21】
痛い時も痛いのが去っても、倦怠感と感覚過敏と鬱な状態が続く。
これは片頭痛と同じ。もちろん情緒は不安定。
感度3000倍も凄そうだけど、こっちも負けてないよ。
拷問の才能感じるもの。
【1000人に一人に選ばれた話 22】
感覚過敏になると、知覚の全てが不快を叫ぶ。
眩しいし、うるさいし、温度も湿度も風も匂いも味もみんなみんな気持ち悪い。
いつもはそんなことないのに。
ちょっとだけでもいいから、いつもより優しくして欲しい。
【1000人に一人に選ばれた話 23】
自殺頭痛なんて呼ばれ方もするんだって。
痛すぎて死ぬ余裕もなかなかないけど、近くに拳銃とかあったら撃っちゃう人もいるかもね。
痛い上に過敏だから、とにかく身体が触れる世界のすべてが生理的に無理になる。
身体が世界を拒絶する。
【1000人に一人に選ばれた話 24】
自分の身体も自分の居場所じゃなくなって、世界中から居場所がなくなる。
しがみつける場所がなくなる。
それで生きてる意味ないじゃんってなるのなら分かるかも。
【1000人に一人に選ばれた話 25】
痛みが治まっても、感覚過敏と鬱、倦怠。
それだけじゃなくて痛んだ分、身体も消耗してる。
あまりにもなんにもできなくてストレスしかない。もう痛くはないのに。
【1000人に一人に選ばれた話 26】
無理すんなって声に追い詰められる。気に懸けてくれてるって分かるのに。
応答も悪いし、情緒も不安定。いつもみたいに愛想良くも振る舞えない。
【1000人に一人に選ばれた話 27】
普段やれてることが掌から零れていく。
どうしようもない無力感。しがみつく気力を失う。
そういう精神状態だから死にたくなる。このパターンもあるかも。
【1000人に一人に選ばれた話 28】
食欲無くても何か食べる。優しいやつ。
人間、いつ食べられなくなっちゃうか分からない。
だから食べられる時にしっかり頂くのです。
つづく
午後0:36 · 2021年6月24日
【1000人に一人に選ばれた話 29】
1000人に一人は意外と多い。1億人で10万人だから。
だけど探そうとしないと出会うことはなさそう。
だからほとんどいないのと一緒。知らないのが普通。
【1000人に一人に選ばれた話 30】
元気な時はいちいち言わないし、そうじゃない時は説明するのも正直しんどい。
極論頭が痛いだけだしね。
こうして溝は埋まらない。病気に限らずよくあること。
【1000人に一人に選ばれた話 31】
前回はなんとか凌いだんだ。用法容量を守った薬漬けだったけど。
基本あまり効かない。でも飲まないよりはまし。焼け石に水くらいには。
肩首凝りから緊張性コンボにならなように注意して。
塗る鎮痛剤ありがとう。但し貼る鎮痛剤、お前は駄目だ。すぐかぶれるから。
【1000人に一人に選ばれた話 32】
そのせいか、片頭痛で鎮痛剤飲んだ翌日の同じ時間に片頭痛。
片頭痛の残響のような片頭痛。これが噂の薬物乱用頭痛なの？
段階的に薬を弱めたら大人しくなった。
【1000人に一人に選ばれた話 33】
今回の群発は前回よりも痛かった。
経験済みのはずなのに。耳まで痛むとか初めてだ。
中耳炎なりやすかったけど、あの痛みもかなりだけど、この耳はそれほどでもない。
中耳炎や片頭痛と違ってズキズキしないから、連動してるんだろうな。
【1000人に一人に選ばれた話 34】
病院に行くことになったのはいいけど、動けない。
ピークを過ぎてしばらく、なんとか歩けるようになる。
介助とかいらないから、とにかく自分のペースで歩かせて。牛歩だけど。
【1000人に一人に選ばれた話 35】
気温と湿度、匂いと風、喧噪たちが牙を立てる。
呼吸を遮って肌に貼りつくマスクが不快。
頭痛くてゆっくり歩くので精一杯なんだから、追い撃ちとか勘弁して欲しい。
夕方で、もう眩しくなかったのは救われた。
【1000人に一人に選ばれた話 36】
家の車で病院に。脳神経外科。
歩くよりも、立ったり座ったりする方がしんどいんだね。
車内の匂いで何度か嘔吐く。
食べれてないからリバースはしなかったよ！
揺れもきつい。こんなに弱くなってしまった。
【1000人に一人に選ばれた話 37】
病院の側。車を降りる。やっぱり家の近くより臭いし煩い。仕方ない。
病院はビルの二階だって。お母さんが連れ添ってくれてる。
エレベーターは嫌。じわじわ階段を上った。
【1000人に一人に選ばれた話 38】
受付時間ぎりぎり。病院に着く。受付の人が何か言ってる。
ああ、検温と手指の消毒ね。大丈夫。できるよ。
問診票？ あー問診票。読めるよ。
書くのはすごく億劫。字が歪む。読めるかな。これ今ほんとに必要なの？
後で口頭とか駄目かな？
【1000人に一人に選ばれた話 39】
使ってる薬？ そんな多くないけど、今書かなきゃ駄目？
何の変哲もない市販の消炎鎮痛剤だよ。
製品名はガンダムなんとかみたいに紛らわしくて、細かいところまでいちいち覚えてないし、成分名は長いんだよ。
【1000人に一人に選ばれた話 40】
問診票を渡して待つ。
待つ。待つ。
横になりたい。頭を押す手が疲れた。少し眩しい。寒くはない。煩さも大丈夫。
待合の先に来ていた患者さんが減っていく。
もう少しの辛抱だ。
【1000人に一人に選ばれた話 41】
名前を呼ばれる。立つんだ。気合を入れて。
ゆっくり歩いて診察室へ。
看護師さんとお医者さんに迎え入れられた。
促された椅子に腰掛ける。ゆっくり。
【1000人に一人に選ばれた話 42】
「どうしました？」
先生が訊いてくる。
…頭が痛いです。…あれ？声になってない。
話すのってこんなに大変だったっけ？
つづく
午後6:13 · 2021年6月24日
【1000人に一人に選ばれた話 43】
気を取り直して咳払い。声を絞り出す。
説明がしんどい。伝わったかな。
いくつか問答をして先生が言う。
「典型的な群発頭痛だよそれ」
そうでしょうとも。
先生がプリントを手渡して滔々と説明を始める。
そうでしょうとも。
これだから病院が苦手。
【1000人に一人に選ばれた話 44】
医者運が良くないのかな。
話は後で聞くから、とにかく治療をして欲しい。
具合が悪いから来てるのに。
まともな会話なんかできないよ。
先生太ってるなあ。前髪の生え際が後退しておられる。
遮る気力も振り絞れない。心が萎れる。
そうして病院へは足が遠退くんだ。
【1000人に一人に選ばれた話 45】
皮下注（筋）、酸素100％だ！
目下の処置。
看護師さんに寝台に促され、よろよろと横たわる。
「注射、痛いですよー」
覚悟する。…なんだ、頭痛に比べたら象と蜂。
注射嫌いだけど、頭痛やばいな。
【1000人に一人に選ばれた話 46】
吸入用のマスク？を取り付ける。
酸素が流れてきた。
なんか横でぶくぶく言ってる。
水上置換フィルタ？みたいな装置が付いてる。
これが100％？違いが分かんない。
効くのかな？効いたらいいな。
水上置換、懐かしいなー。
あと石灰水濁らすの思い出した。
【1000人に一人に選ばれた話 47】
「涙が…痛いのね。かわいそうに」
看護師さんがティッシュで涙を拭ってくれた。
痛くて泣いてるわけじゃないんだよ。さっき先生もそう言ってたよ。
…泣ける。ああ、天使なんだ。
【1000人に一人に選ばれた話 48】
吸入マスクが下にずれてきて鼻腔を塞ぐ。
それじゃ、吸入させないマスクじゃん。
仕方ないから片手で押さえる。
病院の壁を借りるわけにはいかないから、もう片方の手は頭を圧迫してる。
変な格好で両手が塞がてしまった。
さぞ間抜けな姿でしょうよ。
【1000人に一人に選ばれた話 49】
「寒くないですか？」と看護師さん。
見ないで！なんて声に出せるわけもなく、風が当たらなければと声を絞る。
エアコンを止めてくれた。向きを変えてくれるだけでいいのに。
【1000人に一人に選ばれた話 50】
変なポーズで凌ぐ。
途中で2回、意識が薄れる。
すぐに痛みに引き戻される。
激しい。全然寝かせてくれないの。
【1000人に一人に選ばれた話 51】
30分経ったらしい。看護師さんがやってきた。
吸入は終了だって。これで処置は完了なのかな。
さっきより足取りは確か。
ただ、処置のおかげか、時間経過で発作が治まってきただけなのか分からない。
【1000人に一人に選ばれた話 52】
今度はもう少しは先生と話せるぞ。
分かってはいたけど、酸素も薬も相性とタイミングがあるんだって。
処方された薬は、片頭痛をじわじわ弱らせるセレニカRを就寝前。
それに、さっきの注射と同じイミグランの点鼻を頓服に。
【1000人に一人に選ばれた話 53】
どっちも片頭痛の薬だけど、群発にも効果あるんだそう。
まずはこの薬で様子を見て、合わなかったら変えましょうってことに。
いいよね。じわじわ弱らせるって。
え？今、現在進行形で群発にされてるじゃないかって？
そうだねえ。許せないよね。
【1000人に一人に選ばれた話 54】
点鼻は鬼門。前とは違う薬だけど。
使用制限があって、1日の上限が2回で、インターバルは2時間。
まあ、点鼻にはよくあること。そしてうまく効かすには技術がいるんだ。
なのに制限のせいで練習がしづらい。
【1000人に一人に選ばれた話 55】
即効性と引き換えの習熟難度。
しかも先生が言うには、痛みが出てから頭痛と反対側の鼻に使うんだって。
なんでだろう？しんどくて理由を訊き返せなかった。
【1000人に一人に選ばれた話 56】
処方箋をもらったから、薬局に行く。
調剤薬局は隣のビルの1階にあるんだって。
やっぱりエレベーターは遠慮したけど、少し頭痛が退いたせいか風たちが大人しい。
【1000人に一人に選ばれた話 57】
薬局に着いた。閉店10分前。よく間に合った、偉い！
検温と手指の消毒。そうだね。
また、問診的なやつ？薬局にもあるの？
字は相変わらず酷いや。だから、こっちでも使ってる薬書かせるの？
分かるけどさ、分かるけどさ、今は勘弁してよ。
【1000人に一人に選ばれた話 58】
薬が用意できたみたい。薬剤師さんに呼ばれた。
「今回は片頭痛の薬ですねー」
「はい」
片頭痛に使うわけじゃないけど。
「記入されたお薬が効かなくなったってことですかー？」
そっちには効くけど、こっちには効かないの。説明しんどい。
「…そんな感じです」
【1000人に一人に選ばれた話 59】
病院と同じ説明を受ける。分かる。さっき聞いたやつだ。
つまり聞き間違いはなかった。素晴らしいことだよ。
会計で頓服の値段にちょっとびっくり。無駄打ちが許されない。
習熟難度がさらに上がるよ。
【1000人に一人に選ばれた話 60】
だけど何たって処方薬。
待っていろよ。目にものを見せてくれる。
効くといいな。
つづく
午後6:51 · 2021年6月25日
【1000人に一人に選ばれた話 61】
と簡単に解決するはずもなく。
ないよねー。ないよ普通。
1日2回、変わりなく早朝と昼下がりに襲われる。
たまには休んでもいいんだよ？割と本気で。
じわじわに期待しながら、点鼻の習熟に当たってみよう。
【1000人に一人に選ばれた話 62】
頭痛と反対側の鼻への点鼻、調べてみると詰まってない方の鼻って意味らしい。
その方が薬の効きが良いんだって。
点鼻の成功率は50％。失敗でも少しは効いてると信じたいな。
ところで点鼻のストックが少ない。これじゃ週末戦えないよ。
【1000人に一人に選ばれた話 63】
早朝の頓服が効いてくれた。効くときはね、すぅって痛みが抜けていくんだよ。
感覚過敏と倦怠と鬱はあまり変わらないけど、痛みで消耗してない分、回復も早いんだと思う。
これなら朝一で薬をもらいに行けるぞ！
【1000人に一人に選ばれた話 64】
体調は良い方。天気は弱い雨。だから風たちが乱暴じゃない。マスクも問題なし。
病院に着く。前回とは違うのだよ。てきぱきと受付を済ませる。すごい！
時節柄ワクチンのラインがあるね。この間は気付かなかったな。
【1000人に一人に選ばれた話 65】
今回はかなり先生と話せた。
看護師さんの制服、先生の趣味なのかな？水色の膝下ワンピ。清楚かわいい。
点鼻の使い方の確認も取れたよ。それで合ってるって！
つまり鼻水が少ない方に使う。薬が薄まってしまうから。
【1000人に一人に選ばれた話 66】
それに薬が処方されてからは使うのを避けてた市販の鎮痛剤も組み合わせて使っていいって！
これで怖いものなしとはとても言えないけど、心強いし（精神的にも経済的にも）戦力倍増は純粋に嬉しい。
ただいま、飲み慣れた常備薬たち。これからも一緒だよ！
【1000人に一人に選ばれた話 67】
なんとなく分かってきたこと。
発作の前兆、涙、鼻閉、脳がもやもやから頭痛が始まる。
点鼻のタイミングは、もやもやから痛みが始まる瞬間が良さそう。
痛みが強くなっていくのと、薬が効いて来るのを重ねる感じ。
速くても遅くてもあんまり効いた感じがしない。
【1000人に一人に選ばれた話 68】
ここまでで前の土曜日。
このひと月で体重は3kg減った（BMI18）。
絶対におすすめしない減量法。
よい子のみんなは真似しちゃ駄目だぞ！
あと点鼻薬は苦い。しびれる。あこがれない。
【1000人に一人に選ばれた話 69】
薬がじわじわ効いてきたのかな。痛みは概ね半減したような気がする。
それでも頓服は使わないと頭を抱えてたいくらいには痛いし、のたうちはしなくても何もできないのは変わらない。
【1000人に一人に選ばれた話 70】
そこに久々の閃輝暗点。アセチルサリチル酸は少し前に飲んだばかり。
群発性じゃないいつもの片頭痛であって欲しい。効果の持続を信じてノーガードで迎え撃つ。
【1000人に一人に選ばれた話 71】
発作が3回になった。いっそ断末魔だったらいいのに。
早朝、夕、深夜。勤勉が過ぎる。
それ、ブラックって言うんだよ？どこでそんな訓練受けてきたの？そんなに頑張らなくてもいいんだよ。それで得する人は誰もいないよ。
頓服の上限は1日2回。一度は点鼻に頼れない。
【1000人に一人に選ばれた話 72】
調子がいいとすぐ油断する。
気分が良くて掃除をしたらPCが点かなくなって当惑する。
こうも簡単に心が参ってしまうんだ。
【1000人に一人に選ばれた話 73】
幸いにもケーブルが外れているだけだった。
だからいつも通りはできないって経験したでしょうが！
呼吸がいつもより浅かったでしょ？気付きなさいよ！
【1000人に一人に選ばれた話 74】
点鼻が心許なくなって病院へ。
群発性片頭痛はあるけど、痛みや予定に余裕があるときは頓服を控える。
先生に3回目の発作の話をしたら、どの発作に頓服するのかを考えて選びなさいって。
まあそうだよね。
【1000人に一人に選ばれた話 75】
じわじわは2週間くらい続けてからが本領を発揮し始めるって。
片頭痛と同じで春先、梅雨、台風の時期になりやすいから、余ってたらその時に使いなさいって、薬を多めに処方してくれた。
助かる。
もうちょっとだけつづく
午後0:47 · 2021年6月26日
【1000人に一人に選ばれた話 76】
ここからは群発期が終わるまでの持久戦みたい。
発作の痛みを頓服で捩じ伏せて。
薬が合わなくなるのが先か、頭痛が治まるのが先か。
身体と群発頭痛、どっちが先に音を上げるのかの根比べなんだ。
【1000人に一人に選ばれた話 77】
誰が比べたのか分からないけど、この痛みは陣痛と同じくらいなんだって。
だったら世のお母さんたちはこの痛みが分かるのかな。
この痛みは生産性がなさ過ぎるよ。念力が使えるようになったりもしないし。
陣痛なんか生産性の極みじゃん。
【1000人に一人に選ばれた話 78】
だけど夏目漱石は閃輝暗点を作品に組み込んだって。
視界にモザイクが掛かる片頭痛の前兆。
どうせならモザイク相殺されないかなって試してみたけど無駄だった。
【1000人に一人に選ばれた話 79】
嵐が過ぎるのを備えてのたうって耐え忍ぶ。
備えがあっても憂いをまったく拭い去ることはできない。
そんな時でも、ラジオや配信は本当に救われる。いつもありがとう。
画面を見てなくてもいい。
ただ痛めつけられて過ぎ去る空虚な時間だって支えてくれる。
【1000人に一人に選ばれた話 80】
それでも悔しいものは悔しい。悔しくて泣けてくる。
まあ、悔しくなくても涙は止まらないんだけど。
この痛みに復讐する。
この悲しみ報いるために。
【1000人に一人に選ばれた話 81】
それで前の時は和歌を作った。ちょうど百人一首の本を読んだ頃だった。
31文字にたくさんの思いを詰め込むというのをやってみたくなってみたから。
【1000人に一人に選ばれた話 82】
そして読んだ方はそれに縛られずに想像を巡らせることもできる。
それが冒頭。にわかだけどダイナミックな目まぐるしさに狂気が滲んでて結構好き。
【1000人に一人に選ばれた話 83】
そして今回がこれ。
それなりに生きてれば持病とかアレルギーとか体質とか、
身体の厄介の2つや3つ、誰にだってあるもの。
それはそれぞれ違うし、わざわざ人に言ったりもしない。
だから本当はこんなこと書きたくなかった。
人の苦しみを見たって楽しくないから。
【1000人に一人に選ばれた話 84】
好きで苦痛の記録を読みたがる人はいない。そういう趣味の人は除いて。
悲鳴は嫌だし、悲痛でも駄目だ。
関わるんだったら楽しくあるべき。
関わって良かったって思えた方がいいに決まってる。
【1000人に一人に選ばれた話 85】
だから楽しく書こうと思った。おかげでそこそこ楽しく書けた。
これで少しは取り返してやれたかな。
何が1000人に一人だ、ざまあみろ！
【1000人に一人に選ばれた話 86】
頭痛持ちは酷くなる前に掛かり付けの先生に出会っておいた方がいいと思う。
我慢できるときは我慢してしまうし、我慢できない時にはもう動けない。
いざって時のハードルが下がる。頭痛に限った話じゃないね。
【1000人に一人に選ばれた話 87】
だけど、自分で何とかなる範囲だと病院の手を煩わせたくはない。
って思ったけど、いざって時にいきなり来られるのに比べたらどうなんだろうね。
【1000人に一人に選ばれた話 88】
そこそこ気軽に弱音を吐けたり、人に頼れる環境にいる人はきっと長生きするだろうなあ。
最後に、長々とここまで見てきてくれた人が読んで良かったって思えたなら嬉しいな。
【1000人に一人に選ばれた話 89】
もしも身近で大切な人にそういうのが苦手な人がいたら、余裕があるときだけでいい。
ちょっとでいいからどうか力になってあげて欲しいし、自分自身もそうありたい。
まずは何より、他人の世話を焼けるよう療養に努めます。
おしまい
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